旅行業界を目指したいけど、総合旅行業務取扱管理者の資格試験にチャレンジしたいな。でもとても難しくて試験範囲も広いみたいで難関の資格ってよく聞く。独学の良い勉強方法はあるかな。
この記事は、そんな疑問に答えます。
・総合・国内旅行業務取扱管理者:約款編①
こんにちは、ツバサです。
旅行業を目指す、あるいは旅行業界であると便利な資格が「総合旅行業務取扱管理者」や「国内旅行業務取扱管理者」の資格です。
国家資格でもある総合旅行業務取扱管理者は試験範囲がとても広く、難関の国家資格です。
2019年度の全科目受験の合格率は13%でした。
すでに旅行実務に携わっている人にとっては、約款や実務など日々目にすることが多いですが、実務に携わっていない人にとってはとても難しい内容です。
この記事では、総合旅行業務取扱管理者の約款のポイントについて紹介します。
☆令和5年度版☆
☆合格者が作ったツナグ旅オリジナル☆
☆直前対策向け教材&問題集☆
☆累計販売数1,000部突破☆
合格者のツバサ自身が試験勉強をもとに
ポイントまとめや問題集を作りました
<合格者の声>
こちらから
【国内地理オリジナル問題集】
購入はこちらから
【法令・約款ポイントまとめ】
購入はこちらから
【海外地理オリジナル問題集】
購入はこちらから
【JR運賃計算オリジナル問題集】
購入はこちらから
★ツナグ旅大学インスタグラム★
フォローするだけで
総合・国内旅行業務取扱管理者の問題を
ストーリーのクイズで勉強ができます
総合・国内旅行業務取扱管理者:約款編①
約款と聞くとすでに抵抗感が出るくらいいろんな条件があるんだろうなという感覚になりますが、ポイントをおさえておけば点数が取れる項目になります。
約款のポイントをまとめていきます。
約款とは?
約款とは、簡単に言うと業者と顧客の間の約束事です。
例えば、ビジネスをする上での取消料などが良い例です。事前に決めておかないと後々トラブルになりかねません。
こういったことを業者と顧客の間で取り決めする約束事を約款と言います。
旅行業界の場合は旅行業約款というものになります。
旅行会社がこの旅行業約款を作ってしまうと旅行会社有利の内容になってしまうため、もし旅行会社が旅行業約款を作成した場合は観光庁長官の認可を受けなければなりません。
一から旅行業約款を作って認可を受けるのは非常に大変なことです。
そのため、この認可を受けなくても旅行会社が使用できる旅行業約款があります。
それを「標準旅行業約款」と言います。
この標準旅行業約款を使用すれば、観光庁長官の認可を受けたものとみなされます。
ほとんどの旅行会社がこの標準旅行業約款を使用しています。
標準旅行業約款に含まれている内容とは?
標準旅行約款に含まれている内容は主に次に内容となります。
・募集型企画旅行(パッケージツアー)
・受注型企画旅行(修学旅行や社員旅行など)
・手配旅行(航空券や貸し切りバスなど)
・渡航手続代行
・旅行相談
・特別補償規定
標準旅行業約款:募集型企画旅行契約の適用範囲
旅行会社と旅行者の間で締結する募集型企画旅行に関しての契約は、標準旅行業約款に定められた内容にて取り決めがされています。
募集型企画旅行というのは、旅行会社が主催するパッケージツアーのことをいいます。
標準旅行業約款ではパッケージツアーの契約に関していろんな取り決めがされていますが、標準旅行業約款の内容だけでは全て網羅することはできないことがあります。
その場合は、法令や一般的に確立された慣習に基づいて、ルール決めをする場合があります。
例えば、法令に関して言うと消費者契約法や個人情報保護法などがそれに当たります。
また、標準旅行業約款の規定にかかわらず、旅行会社は旅行者と特約を結ぶことができます。
特約というのは、例えば、今回は特別に取消料の規定を30日前ではなく、20日前にしますなど、特別に定める約束事です。
ただし、特約に関しては次の3つの要件を満たさなければなりません。
・法令に反しないこと
・旅行者の不利にならないこと
・書面を発行すること
例えば、取消料の規定を30日前から20日前に緩和する場合は旅行者の有利となるため、特約として定めることができますが、30日前から40日前に条件を厳しくすると旅行者の不利となるため、特約としては認められません。
標準旅行業約款:募集型企画旅行契約の定義
募集型企画旅行というのは、旅行会社が主催するパッケージツアーに当たります。
つまり、旅行会社が旅行者の募集のために事前に旅程を計画し、旅行代金の金額を定め、旅行を実施することをいいます。
国内旅行と海外旅行の定義
それでは、国内旅行と海外旅行の定義を説明します。
・国内旅行=本邦内のみの旅行
・海外旅行=国内旅行以外の旅行
この表現は理解するのが難しい表現となるため、例を挙げます。
【国内旅行】
東京→大阪→ユニバーサルスタジオ→京都→東京
【海外旅行】
成田→ロンドン→パリ→成田
ここまではイメージしやすいですが、次の例は国内旅行になるのか、あるいは海外旅行になるのか、どちらでしょうか?
静岡→東京→お台場→成田→バンコク→成田→静岡
⇒これは国内部分が入っていても「海外旅行」になります。
国内旅行と海外旅行の定義は、次のような表現にはならないので注意しましょう。
国内旅行=海外旅行以外の旅行
海外旅行=本邦以外の旅行
⇒共に間違い
通信契約の定義
通信契約というのは、簡単に言うとインターネットでパッケージツアーを申し込んで、クレジットカードで旅行代金を支払うということです。
インターネットの部分は電話やファックス、郵送なども通信手段になるので該当しますが、最近はインターネットでの申し込みが一番多いでしょう。
通信契約の解釈で間違うパターンは次のような表現です。
インターネットでツアーを申し込み、銀行振り込みで旅行代金を支払う
⇒通信契約ではない
店頭でツアーを申し込み、クレジットカードで支払う
⇒通信契約ではない
つまり、通信契約で大事なことは、次の2つの要件を満たしていなければなりません。
・インターネットなどの通信手段で旅行の申し込みをする
・旅行代金をクレジットカードで支払う
標準旅行業約款:募集型企画旅行契約の申込み
募集型企画旅行契約の申込みは、次の2つのポイントが重要です。
・旅行者は申込書を記入の上、提出しなければならない
・旅行者は申込金を支払わなければならない
つまり、募集型企画旅行の契約の申込みには、旅行者が申込書の提出と申込金の支払いをしなければなりません。
クレジットカードで支払いをする場合は、クレジットカード番号(会員番号)を旅行会社に通知したタイミングとなります。
特別な配慮が必要な場合
契約の締結のタイミングで重要なことは、何か特別な配慮が必要とする旅行者は申込時の段階でその内容を旅行会社に伝えなければなりません。
特別な配慮とはどんなことを言うのかというと、例えば、
- 車椅子などを使う障害者
- 食べ物にアレルギーがある
- 車酔いや船酔いをしやすい
などとなります。
旅行者が特別な配慮が必要と申し出た場合は、旅行会社は「可能な範囲内」でこれに応じます。
可能な範囲内という表現のため、全て対応するわけではありません。万が一、対応することで費用が掛かる場合は旅行者の負担となります。
旅行開始日に申し出ても時すでに遅しとなるため、注意が必要です。
契約締結の順位
契約の締結のタイミングは、申込書の提出と申込金の支払いということを書きましたが、契約締結の順位に関しては注意しなければなりません。
次のようなケースでは、どちらが契約締結の順位としては上位に当たるのか見てみます。
ツアーの予約受付日 | 申込金入金日 | |
田中さん | 4月1日 | 4月4日 |
佐藤さん | 4月2日 | 4月3日 |
一見、申込金の入金を済ませた佐藤さんが締結の順位が上位に当たりそうですが、標準旅行約款では先にツアーの予約をした田中さんを締結の順位にするとしています。
つまり、申込金の入金日が期日までに行われていれば、ツアー予約の受付けの早い人が契約締結の順位が高くなります。
標準旅行業約款:募集型企画旅行契約の拒否
旅行契約を締結することもあれば、その逆で拒否をすることもできます。
どんな時に旅行会社は契約の拒否をすることができるのかというと、以下6つのパターンに限ります。
1:参加旅行者が条件を満たしていない時
(年齢や資格、性別など)
2:募集予定数に達した時
3:団体行動の円滑な実施を妨げる恐れがある時
4:クレジットカード決済ができない時
5:反社会的勢力や暴力的な時
6:業務上の都合がある時
1~5までは理解しやすい内容ですが、6に関しては疑問に思うかもしれません。
実際どういったことかというと、「業務上の都合がある時」というのは、一番わかりやすい例はブラックリストに載っている顧客を断る時に使います。
例えば、いつも仮予約しては二重予約等を繰り返し、結果キャンセルする顧客や毎回クレームを挙げる顧客などは旅行会社側のブラックリストに名前が記載されています。
そういった顧客の受付けを断る際、いつもクレームを挙げるのでとは言えません。そのため、「業務上の都合によりお断り致します」と伝えます。
標準旅行業約款:募集型企画旅行契約の成立の時期
募集型企画旅行契約の成立の時期はいつになるかというと、次の条件を満たす時です。
旅行会社が契約の締結を承諾し、申込金を受理した時
これをもって、募集型企画旅行の契約の成立が成されます。
標準旅行業約款:募集型企画旅行契約の契約書面と確定書面
旅行会社で働いていると顧客に対して予約確認書や請求書など発行する書面がいくつかあります。
旅行商品の申込後の流れは次のような流れとなります。
旅行申込み時 | 取引条件の説明 |
※旅行条件書など | |
契約時 | 契約書面の発行 |
※予約確認書など | |
旅行の約1~2週間前 | 確定書面の交付 |
※最終日程表の送付など | |
当日 | 出発 |
これが一般的な旅行会社が行っている業務の流れです。パンフレットに掲載されている旅行商品の場合は、パンフレットにすでに取引条件の説明や契約書面の一部を記載しています。
実際、標準旅行約款では契約書面や確定書面について、どのように定められているかというと次の通りです。
・契約の成立後に速やかに契約書面の発行を行う
・確定した旅行日程や運送や宿泊の名称を記載できない場合は限定して列挙しなければならない
・旅行開始日の前日までの契約書面に定める日までに確定書面を交付しなければならない。
・旅行開始日の7日前以降に申込みのあった契約の場合は旅行開始日当日までに確定書面を交付しなければならない。
一般的な旅行会社の業務の流れはまさに標準旅行約款に定められた内容通りです。
一部パッケージツアーでは、旅行申込時に航空会社が決定していないツアーやホテルが同等クラスになっているツアーがあります。
その場合は、パンフレットに利用予定航空会社や利用予定ホテルを全て記載しなければなりません。それが「限定して列挙」という意味になります。
確定した航空会社やホテルを確定書面にて記載することになります。
約款編①は以上となります。
約款は業務の流れを考えながら勉強していくと覚えやすいです。
それでは、良い一日を!
標準旅行業約款とは、旅行業法に基づき、旅行会社と旅行者が交わす旅行契約に関し、観光庁および消費者庁が定めた約款のモデル。
引用:JTB総合研究所