明後日から楽しみにしていた海外旅行なのに台風が接近してる。出発当日台風が直撃したらどうなるんだろう。旅行会社のツアーのキャンセル料はどうなるのかな。
この記事は、そんな疑問に答えます。
- 海外旅行直前に台風が近づいてきたらやるべきこと
- 台風が直撃した場合の対応やキャンセル料
- 個人手配の場合の対応
- 台風時の対応のまとめ
こんにちは、ツバサです。
旅行業界で長く働いているといろんなトラブルを経験しますが、間違いなく修羅場となるのは「台風」の時です。
台風が接近してくると、「頼むから進路を変えてくれ!」「夜中の間に過ぎ去ってくれ!」と神頼みをしたものです。
台風が直撃すると飛行機の遅延や欠航はもちろん、フェリーやスピードボートの運航停止、さらには街中の道路の冠水を引き起こします。
また、スタッフが通勤できないなんてこともあります。まさに同時多発のトラブルです。
この記事では、「台風が直撃した場合の対応やキャンセル料」を詳しく解説したいと思います。
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海外旅行直前に台風が近づいてきたらやるべきこと
台風が接近してきた場合は、いつも次の4つを頻繁にチェックしていました。
- ウェザーニュースの台風情報
- 各航空会社のフライトインフォメーション
- 成田空港などのホームページ
- フライトレーダー24
ウェザーニュースの台風情報
ウェザーニュースの台風情報はリアルタイムで台風や熱帯低気圧の情報を確認することができます。
また、アジア広域のエリアで台風を確認することができるため、日本からカンボジアあたりまでのエリアの台風情報をチェックすることができます。
■参考:ウェザーニュース
各航空会社のフライトインフォメーション
各航空会社のウェブサイトにはフライトインフォメーション(運行状況)のページがあります。
例えば、フィリピン航空のホームページの例を挙げると次のような画面になります。
「出発日」と「フライト番号(フライト便名)」を入力すると運航状況の情報が表示されます。
航空会社によって異なりますが、フィリピン航空では2日前から2日後までの運行状況を調べることができます。
■参考:フィリピン航空ホームページ
成田空港などのホームページ
成田空港などのホームページには当日の全フライトの運行状況を調べるページがあります。
出発当日のフライトしか調べることができないため、航空会社のホームページのように翌日や翌々日のフライトまでは確認することができませんが、空港のホームページだけに情報のアップデートは非常に早いです。
■参考:成田国際空港ホームページ
フライトレーダー24
旅行業界で働く僕にとっては、この「フライトレーダー24」を携帯アプリでいつも見ているのですが、全く飽きないアプリです。
リアルタイムに全フライトがどこを飛行しているのかを調べることができます。
(ATRのようなプロペラ機は表示されません)
台風が接近してくると、台風の進路上には全く飛行機が飛ばなくなりますが、このフライトレーダー24のマップ上でもフライトの表示が一切なくなります。
■参考:フライトレーダー24
このように台風が接近してきたら、「ウェザーニュース」「各航空会社のフライトインフォメーション」「各空港の出発当日の運行状況」「フライトレーダー24」の4つをチェックして、台風の進路やフライトの状況を確認します。
また、旅行会社のスタッフは航空券予約システムでもフライトの状況を確認することができます。
例えば、予約済みの航空券予約をシステム内で確認すると、すでに予約済みのフライトが予約取り消しになっていたり、代替便が表示されていることがあります。
台風が直撃した場合の対応
台風が直撃した際、旅行会社の海外パッケージツアーを予約している場合は、基本的には旅行会社の指示に従うこととなります。
ここで注意したいことは、旅行会社のスタッフは台風によるフライトの遅延や欠航などに関しての情報収集に奔走していますが、それらの情報は空港などの「現場」で一番早く情報収集できることが多いです。
台風が直撃した際に確認するべきポイントは次の通りです。
- 出発当日の旅行会社の緊急連絡先
- フライトが運航されるかどうか
- フライトが遅延の場合は何時間後になるのか
- ツアー自体の催行はされるのかどうか
- 現地到着後に乗り継ぎ便がある場合は最終目的地までいけるのかどうか
- オーバーナイト(翌日)のフライトになる可能性があるのかどうか
- 解除権はどのような時に使えるのか
ここで覚えておくとよい言葉は「解除権」です。
国土交通省が定める標準旅行約款には契約の解除という項目があり、「旅行者の解除権」と「当社の解除権=旅行開始後の解除」の2種類があります。
標準旅行約款の一部を抜粋すると次のように記載があります。
大事な部分は、「天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。」です。
つまり、台風などの天災地変によって旅行サービスが中止され、パッケージツアーの実施ができなくなった場合は解除権が発生するということです。
解除権が発生するとどうなるのかというとキャンセル料なしに「全額返金」されることとなります。
「全額返金」ということで誤解がないように説明をすると、台風が接近していてもフライトが通常通りに運航する場合は解除権を使えません。
また、台風の影響でフライトが欠航となり出発ができない場合、解除権を使い全額返金となりますが、この全額返金は旅行会社との間で旅行契約を交わしている旅行サービスに限ります。
そのため、自己手配の空港まで移動、例えばタクシーや電車、日本国内線の費用は旅行契約に含まれていないため、全て自己負担となります。
旅行開始前にフライトが欠航となった場合
旅行開始前に台風の影響によりパッケージツアーが円滑に行うことができなくなった場合、パッケージツアー代金は全額返金となります。
ただし、空港までの移動など、自己手配部分は全て自己負担となります。
どうしても海外旅行に行きたい、台風が過ぎるのを待ちたいということであれば、通常であれば、解除権を使用して予約済みのパッケージツアーの全額返金を行い、再度別のパッケージツアーの申し込みをし直すという方法が取られます。
その際、ツアーの差額が出る場合は支払わなければなりません。
【予想される自己負担の費用】
空港までの移動費、ツアーの予約し直しの場合の際の差額
旅行開始前にフライトの欠航が決まっていない場合
旅行開始前にフライトの欠航が決まっていない場合は必ず空港に向かいましょう。
なぜなら、フライトが欠航しない限り、パッケージツアーは催行されるためです。
フライトが通常通り飛ぶ=ツアーが催行されるということは、空港に行かなかった場合は通常のキャンセル料が発生するということになります。
つまり、フライトが飛ぶ、飛ばないがツアー催行の判断基準となり、自己判断による不参加はキャンセル料の対象となります。
しかしながら、空港に頑張って向かったものの、結果として予定していたフライトが欠航になる場合もあります。
その場合は、ツアー自体は中止となりツアー代金の全額返金となりますが、空港までの移動費は自己負担となります。
【予想される自己負担の費用】
空港までの移動費
旅行開始後の対応
旅行が開始し、海外滞在中に現地で台風が直撃した場合も、現地の旅行会社のスタッフの指示に必ず従いましょう。
ただし、この場合も最新情報は空港などの「現場」で一番早く情報収集できることが多いです。
台風の直撃により復路便に影響が出そうな場合でも、基本的には「空港に向かう」ということを優先します。
「空港に向かう」ということは非常に大切で、例えば、離島に滞在している場合、空港のある島までボートで向かうことになりますが、台風の雨風が穏やかに見えても海上は荒れている場合が多く、ボート運航ができなくなる場合があります。
つまり、フライトは運航しているにもかかわらず、ボート運航ができず離島から出ることができないということになります。
旅行会社のパッケージツアーの場合は、現地スタッフにそのあたりの経験もあるため、ボート運航が止まりそうな時はお客様の離島滞在を減らしてでも空港に向かってもらいます。
その際、宿泊地が変わりホテル手配が発生した場合は自己負担となります。
台風直撃時の現地旅行会社の優先事項としては、「お客様を離島から出す」「日本行きのフライトが出発する都市までとにかく行かせる」の2つです。
【予想される自己負担の費用】
離島を減泊したことによる移動後のホテル代金
帰国便が欠航となった場合
日本に帰国する日に台風が直撃した場合、現地旅行会社のスタッフにとっては一番の修羅場です。
なぜなら、多くの人が翌日から日本で仕事があるためです。「何としてでも帰国させろ!」と怒鳴られたことは何度もあります。
旅行会社のスタッフが航空会社へ「お願いだから帰国便を飛ばして」とお願いしてフライトが飛んだら、どんだけ楽なことか。
台風の影響でフライトが飛ばないものは飛ばないため、対応策は次の通りです。
- 翌日などのフライトに変更
- 臨時便を運航する可能性がある
翌日などのフライトに変更
台風の影響によりフライトが欠航となった場合は、航空会社にフライトの変更交渉を行います。
この場合、旅行会社のパッケージツアーに申し込んでいる人は全て旅行会社のスタッフが交渉を行ってくれるため、とても楽です。
ゴールデンウィークや年末年始などの旅行繁忙期の帰国便の場合、翌日のフライトに空席がない場合もあり、翌々日便なんていうこともあります。
フライトが毎日飛んでいない都市の場合は3日後、4日後の帰国という場合もあります。
台風は天災のため、旅行会社も航空会社も免責事項となり、もし宿泊が必要となった場合は自己負担にてホテル手配をすることとなります。
【予想される自己負担の費用】
ホテル代金、ホテルから空港までの移動費、食事代、日本への国際電話代
臨時便を運航する可能性がある
台風の場合、半日後には台風が過ぎ去っているということもあり、昼間のフライトが欠航になっても、台風が過ぎ去ったその日の夜などに臨時便を飛ばす場合も稀にあります。
【予想される自己負担の費用】
食事代、日本への国際電話代
このように旅行開始前や旅行開始後など、状況によって対応するべきことも異なります。
欠航証明書の発行
台風が直撃すると空港内は大混乱します。
そのため、航空会社からすぐに欠航証明書が発行されることはありません。
一般的には後日カスタマーセンターへ連絡してくださいと言われます。
そのため、現地の旅行会社にフライトが欠航したこと、追加でホテル費用や送迎費用がかかったことなどを記載した証明書を発行してもらいましょう。
その書面があれば、基本的には海外旅行保険の保険申請が可能となります。
僕が現地の旅行会社で働いていた時は、お客様が帰国する前に必ず書面を発行して、保険申請に使えるように渡していました。
個人手配の場合の対応
最近多くなってきている個人手配旅行、例えば、航空会社から航空券を購入し、ホテルはOTAから購入するような場合は、台風が直撃した際、全て自分自身で航空会社に交渉し、ホテルの手配なども行わなければなりません。
英語が堪能であれば交渉なども可能ですが、言葉に自信のない方はパッケージツアーを利用した方が安心です。
海外赴任をしていた際に、フィリピンのマニラに台風が直撃し、空港周辺の道路が冠水したため、空港にアクセスができない時がありました。その日は全便欠航し、冠水の影響もあり空港からは出られない状況となってしまい、空港で一夜を過ごす人が数千人いました。フライト変更の手続きのため、空港内にある航空会社のカウンターはたくさんの人で溢れかえっており、まさに修羅場でした。整理券も2000番台を突破しており、もし個人手配旅行だった場合は途方に暮れるしかない状況だったと思います。
台風時の対応のまとめ
折角の海外旅行でも台風が直撃しそうであれば、次のことを覚えておきましょう。
- ウェザーニュースや航空会社のホームページを小まめにチェック
- 基本的には旅行会社の指示に従う
- 解除権とは何かを理解しておく
- 離島へ行く場合は復路便に対して余裕のある旅程作成をする
- 台風による追加手配は自己負担
- 海外旅行保険に必ず加入
以上となります。
海外旅行の際に台風が直撃すること程、テンションが下がることはありません。
台風が来てしまうものはしょうがないため、その時々で対応をしっかりしていきましょう。
台風が直撃した海外旅行でも、後々になれば全て笑い話です!
それでは、良い一日を!
第十六条 旅行者は、いつでも別表第一に定める取消料を当社に支払って募集型企画旅行契約を解除することができます。通信契約を解除する場合にあっては、当社は、提携会社のカードにより所定の伝票への旅行者の署名なくして取消料の支払いを受けます。
2 旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除することができます。
一 当社によって契約内容が変更されたとき。ただし、その変更が別表第二上欄に掲げるものその他の重要なものであるときに限ります。
二 第十四条第一項の規定に基づいて旅行代金が増額されたとき。
三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由 が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。
四 当社が旅行者に対し、第十条第一項の期日までに、確定書面を交付しなかったとき。
五 当社の責に帰すべき事由により、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の実施が不可能となっ たとき。
引用:標準旅行約款