旅行業の営業保証金と弁済業務保証金の違いがよくわからない。どんな違いがあるのかな。手続きとかも違うみたいだし、わかりやすい説明を聞きたい。
この記事は、そんな疑問に答えます。
・旅行業の営業保証金と弁済業務保証金の違いとは?
こんにちは、ツバサです。
旅行業の営業保証金と弁済業務保証金の違いって、とても分かり辛いですよね。
何となく同じようなものというイメージができる人は多いのですが、実際に説明しようとするとよくわからなくなることがよくあります。
この記事では、その旅行業の営業保証金と弁済業務保証金の違いについて、詳しく解説したいと思います。
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旅行業の営業保証金と弁済業務保証金の違いとは?
旅行業の営業保証金と弁済業務保証金の違いは、一言で言うと登場人物が異なります。
図で表すととても分かりやすいので、図を使いながら説明していきたいと思います。
旅行業の営業保証金の流れ
旅行業の営業保証金の流れを図で確認します。
登場人物は「旅行業者」「登録行政庁」「供託所」の3者です。
① 登録行政庁から旅行業者へ旅行業の登録の通知
② 旅行業者から供託所へ営業保証金の供託
③ 供託所から旅行業者へ供託交付書の交付
④ 旅行業者から登録行政庁へ供託の届出
上記の営業保証金の流れは、旅行業の登録の通知を受けた日から「14日以内」に供託の届出までの手続きを行わなければなりません。
※14日以内に届出がない場合は7日以上の期間内に催告があります。
※旅行業者は登録行政庁へ供託の届出をして初めて旅行業を開始できます。
営業保証金の額は旅行業の登録業務範囲によって異なります。
登録業務範囲 | 営業保証金の額 (取引額400万円未満) |
第1種旅行業 | 7000万円 |
第2種旅行業 | 1100万円 |
第3種旅行業 | 300万円 |
地域限定旅行業 | 15万円 |
また、旅行業者は毎事業年度終了後、「100日以内」に旅行者との取引額を登録行政庁へ報告をしなければならず、その金額によって営業保証金の額が増減します。
旅行業の営業保証金の還付手続き
旅行業の営業保証金の還付について、登場人物は「旅行者」「旅行業者」「登録行政庁」「供託所」の4者です。
営業保証金の還付の流れについて図に表すと次のようになります。
供託所から還付の通知が届いた旅行業者(⑧)は、還付の通知の日から「14日以内」に追加供託(⑨)をしなければ、旅行業の登録を取り消されることになります。
営業保証金を追加供託しなければならない場合は、旅行者からの還付請求の時以外にもあります。
追加供託のルールをまとめてみます。
追加供託の事由 | 期限 |
国土交通省令の改正 | 省令施行の日から3カ月以内 |
取引額の増加 | 事業年度終了後100日以内 |
業務範囲の変更登録 | 期限は決まっていない ※届出がされるまで変更後の業務範囲を開始できない |
営業保証金の還付 | 通知から14日以内 |
旅行業協会を脱退 | 保証社員で亡くなった日から7日以内 |
営業保証金については取戻しと公告手続きについても注意が必要です。
取戻し事由 | 公告手続き |
登録業務範囲の変更 | 必要 |
旅行業登録の抹消 | 必要 |
旅行業協会への加入 | 必要 |
省令改正による額の引き下げ | 不要 |
取引額の減少 | 不要 |
保管替えの請求ができない時 | 不要 |
※保管替えとは主たる営業所の移転により、移転後の最寄りの供託所に営業保証金を移動させる手続きのこと。現金のみの場合は保管替えが可能だが、現金+有価証券あるいは有価証券のみの場合は保管替えができない。
続いて、弁済業務保証金についても見ていきましょう。
旅行業の弁済業務保証金の流れ
旅行業の弁済業務保証金の流れを図で確認してみましょう。
登場人物は「旅行業者」「旅行業協会」「供託所」の3者です。
① 旅行業者から旅行業協会へ弁済業務保証金分担金を「納付」
② 旅行業協会から供託所へ弁済業務保証金を「供託」
※供託所は旅行業協会の最寄りの供託所に供託します。
旅行業者が営業保証金ではなく、弁済業務保証金を選択する場合は、次の理由があります。
・旅行会社が旅行業協会へ納付する弁済業務保証金分担金の額は営業保証金の「1/5の額」となる。
・弁済業務保証金分担金を納付すると旅行業協会の「保証社員」となる。
つまり、供託所に営業保証金を供託するよりも旅行業協会へ弁済業務保証金分担金を納付した方が旅行会社設立の初期費用をおさえられるということになります。
例えば、第1種旅行業の場合、営業保証金の供託を選択した場合は7000万円ですが、旅行業協会へ弁済業務保証金分担金を納付することを選択すれば1/5の1400万円で済みます。
登録業務範囲 | 弁済業務保証金分担金の額 (取引額400万円未満) |
第1種旅行業 | 1400万円 |
第2種旅行業 | 220万円 |
第3種旅行業 | 60万円 |
地域限定旅行業 | 3万円 |
※旅行業者から旅行業協会への弁済業務保証金分担金の納付は現金のみとなります。旅行業協会から供託所への供託に関しては有価証券等でも可能となります。
ただし、1点だけ弁済限度額について注意が必要です。
営業保証金と比べると弁済業務保証金分担金の納付額は1/5となりますが、旅行者等に還付される弁済限度額は1/5にはならず、営業保証金と同額になります。
例)第1種旅行業
弁済業務保証金分担金:1400万円
旅行者への弁済限度額:7000万円
旅行業の弁済業務保証金の還付手続き
旅行業の弁済業務保証金の還付について、登場人物は「旅行者」「旅行業者」「旅行業協会」「供託所」の4者です。
弁済業務保証金の還付の流れについて図に表すと次のようになります。
弁済業務保証金については、誰が何をするのかをしっかりおさえておけば、還付の流れを理解しやすくなります。
弁済業務の流れを見ると、旅行業協会が間を取り持ってくれていることがわかります。
そのため、追加で納付が発生する場合は期限が異なります。
納付の事由 | 期限 |
旅行業協会への加入 | 加入しようとする日まで |
取引額の増加 | 事業年度終了後100日以内 |
業務範囲の変更登録 | 変更登録を受けた日から14日以内 |
弁済業務規約の変更 | 弁済業務規約に定められた日まで |
還付充当金納付請求の通知 | 通知を受けた日から7日以内 |
※供託所から旅行業協会へ還付の通知をした際は旅行業協会は21日以内に追加供託を行わなければなりません。
もし旅行業者が還付充当金納付の通知を受けた日から7日以内に還付充当金の納付ができなければ、旅行業協会の保証社員としての地位を失います。
以上となります。
営業保証金と弁済業務保証金の違いは一度読んだだけではイメージできないかもしれません。
図を見てイメージしながら読むと理解がしやすくなります。
それでは、良い一日を!