総合旅行業務取扱管理者の試験の法令について、詳しく知りたいな。法律に関してはさっぱりわからないから、重要なポイントだけ知りたい。
この記事は、そんな疑問に答えます。
ツナグ旅では法令を5記事にわたって解説しています。
- 旅行業法の目的、定義、登録、申請事項、拒否、有効期間、受託販売
- 営業保証金、旅行業務取扱管理者の職務、選任、種類、研修、外務員
- 取扱料金、旅行業約款、標識
- 企画旅行の広告、誇大広告の禁止、旅程管理、旅程管理主任者
- 法令ポイントまとめ&法改正
この記事では(1)を解説しています。
こんにちは、ツバサです。
総合旅行業務取扱管理者や国内旅行業務取扱管理者の国家試験を突破するには、「法令」の問題で確実に点数を取らなければなりません。
法令に関しては、内容が決まっているので単純に暗記をして、ひっかけ問題の対策をしておけば大丈夫です。
よくあるひっかけ問題は言い回しを変えていたり、単語がすり替わっていたりする内容です。
この記事では、総合旅行業務取扱管理者の試験に出る法令について解説していきます。
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旅行業及び旅行業者代理業
旅行業法の目的と定義はしっかりと頭に入れておきましょう。
旅行業法の目的とは?
旅行業法の目的のポイントは6個あります。
【旅行者のため】
- 取引の公正の維持
- 旅行の安全の確保
- 旅行者の利便の増進
【旅行会社のため】
- 登録制度
- 業務の適正な運営を確保
- 団体の適正な活動を促進
この6個を必ず覚えましょう。試験に出ます。
それぞれが誰のための何なのかを必ず覚えるようにしましょう。
旅行業法の定義とは?
旅行業法の定義は第二条に長々と書かれていますが、簡単にまとめると次のようなことです。
- 旅行業とは報酬を得て一定の行為を行う事業のこと。
- 旅行には主に4つの旅行形態がある。
旅行 | 企画旅行 | 募集型企画旅行 |
受注型企画旅行 | ||
手配旅行 |
旅行は企画旅行と手配旅行に分けられます。そして、企画旅行は募集型企画旅行と受注型企画旅行に分けられます。
募集型企画旅行:旅行会社のパッケージツアー
受注型企画旅行:修学旅行や社員旅行
手配旅行は航空券単体やホテル単体、送迎単体などを販売すること。
基本的に利益を上乗せすることができず、パーツごとに販売手数料が決まっている。
- 一定の行為には運送等のサービスの手配行為に付随して旅行者のためにガイドや通訳、添乗を行うことや査証取得代行手続きなどを行うことも旅行業となる。
- 旅行の相談業務も旅行業となる。
- 旅行者と旅行業者の関係性は以下の通り。
※旅行サービス提供者:バス会社、ホテル、お土産物屋など。
※旅行サービス手配業者:報酬を得て旅行業者のために旅行者に対する運送等のサービスを手配する業者。※旅行者に直接の取引きはできない。
旅行業の登録
旅行業の登録をする際、次の業務範囲や登録行政庁などを理解しておかなければなりません。
旅行業 | 募集型企画旅行 | 受注型企画旅行 | 手配旅行 | |||
海外 | 国内 | 海外 | 国内 | 海外 | 国内 | |
第1種 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
第2種 | ✖ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
第3種 | ✖ | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
地域限定 | ✖ | △ | ✖ | △ | ✖ | △ |
代理業 | 旅行業の代理のみ |
海外の募集型企画旅行(パッケージツアー)を取り扱いできるのは旅行業第1種の旅行業者のみとなります。
第3種と地域限定の旅行業の場合、例えば、募集型企画旅行の国内は△になっています。
これはどういう意味かというと、その営業所がある市町村とそれに隣接する市町村の区域であれば取り扱いができるということです。
例えば、東京の渋谷区に営業所があったとします。
それに隣接する区は目黒区、港区、新宿区、中野区、杉並区、世田谷区になります。
これらの地域内で行うツアーであれば募集型企画旅行として取り扱えることになります。
旅行業 | 登録行政庁 | 財産的基礎 | 営業保証金 |
第1種 | 観光庁長官 | 3000万円 | 7000万円 |
第2種 | 都道府県知事 | 700万円 | 1100万円 |
第3種 | 都道府県知事 | 300万円 | 300万円 |
地域限定 | 都道府県知事 | 100万円 | 15万円 |
代理業 | 都道府県知事 | ✖ | ✖ |
※財産的基礎 = 資本金
つまり、第1種の旅行会社を立ち上げようとすると、財産的基礎(資本金)3000万円、営業保証金7000万円の合計1億円が必要になります。
これは全て丸暗記しましょう。(財産的基礎と営業保証金を逆に覚えないように!)
受託販売
〇と✖で取り扱える旅行を先程示しましたが、受託販売については注意が必要です。
受託販売というのは、例えば、JTBの店舗に行った時に日本旅行やKNT、ジャルパックなどの他の旅行会社のパンフレットを目にする時があります。
JTBと日本旅行やKNT、ジャルパックは受託販売契約をしているため、JTBはそれらの旅行業者のパンフレットのツアーを販売して良いことになっています。
これが受託販売です。
この受託販売については海外旅行であっても国内旅行であっても、第1種、第2種、第3種、地域限定のいずれの業種でも受託販売が可能です。
旅行業の登録の申請事項
旅行業の登録の際に必要な事項が主に5つあります。
- 名称又は商号、および代表者の氏名(総合旅行業務取扱管理者の氏名は不要)
- 主たる営業所及びその他の営業所の名称及び所在地(本社ではなく実際に旅行業を行う場所)
- 代理業者の名称
- 業務の範囲(第1種、第2種、第3種、地域限定)
- 代理業の申請の時は所属旅行業者の名称
上記5つを覚えた上で、それぞれの申請事項の変更をする場合はどうするのかというと下記になります。
1~3:変更の届出が必要。30日以内(1カ月ではない)
4:変更登録が必要(届出ではない)※変更後の業務を開始するまでに必要。
業務範囲の変更は登録行政庁が第1種とそれ以外では管轄が異なるため、注意が必要です。
変更後の業務範囲 | 変更登録の申請先 |
第1種へ変更 | 観光庁長官 |
第2種へ変更 | 主たる営業所の所在地を管轄する 都道府県知事 |
第3種へ変更 | |
地域限定へ変更 |
つまり、第2種から第1種に変更する場合は観光庁長官へ、第1種から第3種に変更する場合は主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事へ、変更登録の申請を行います。
また、第2種、第3種、地域限定の旅行業者が、例えば大阪から京都へ主たる営業所の所在地を変更する場合は、「変更後の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事」に届出を出します。
この例の場合は京都知事に届け出を出すことになります。
さらに第1種、第2種、第3種、地域限定の旅行業者が旅行代理業者に変更する場合、あるいはその逆の場合は、必ず「新規登録」となります。
5:新規登録が必要(代理業は必ず新規登録となる)
旅行業登録の拒否
旅行業の登録をする際、次の理由から拒否されることがあります。
これは、第六条に記載してる11個の項目を覚えましょう。
簡単にまとめると、過去に禁固刑や旅行業法の罰金刑に処された人はだめ、役員にそういう人がいてもだめ、法定代理人の追認がない未成年はだめ、暴力団関係者はだめといった内容です。
ひっかけ問題で「自動車の駐車禁止違反で罰金刑に処された場合、旅行業登録ができない」というようなことを問われることがあります。
罰金刑は旅行業法に関連した罰金刑のみが対象となるため、駐車禁止の罰金刑は問題ありません。
旅行業登録の有効期間
旅行業の登録は有効期間があり、未来永劫というわけではありません。
有効期間は、登録の日から起算して5年となります。
ただし、旅行業者代理業については有効期限がありません。つまり、更新が必要な旅行業者は第1種、第2種、第3種、地域限定の4つとなります。
旅行業登録の更新に関しては、有効期間満了日の2カ月前までに行う必要があります。
更新をする場合、更新後の有効期間はどうなるのかというと、第六条の三項四号に次ような記載があります。
「従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算」とはどういうことかというと、図に表すとわかりやすいです。
つまり、満了日前に更新手続きが完了しても満了日までは変更前の有効期間が有効で、満了日の翌日から更新後の登録の有効期間が開始しますということです。
法令編①は以上となります。
暗記する部分が多くなりますが、言葉を置き換えて問題を出してくるため、暗記のみが点数確保の突破口です。
それでは、良い一日を!
第一条 この法律は、旅行業等を営む者について登録制度を実施し、あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに、その組織する団体の適正な活動を促進することにより、旅行業務に関する取引の公正の維持、旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とする。