【約款編②】旅行業の解除権とは?総合・国内旅行業務取扱管理者の試験!

※本ページは広告が含まれています。
※本ページは広告が含まれています。
【約款編②】総合旅行業務取扱管理者の試験!旅行の解除権とは? 総合・国内旅行業務取扱管理者

総合旅行業務取扱管理者の試験勉強をしてるけど、旅行の解除権って文章だけだと全く理解できない。具体例を聞いたらわかりやすいと思うんだけど、誰か教えてくれないかな。

この記事は、そんな疑問に答えます。

本記事の内容

・旅行業:募集型企画旅行の契約内容の変更

・旅行業:募集型企画旅行の契約の解除(解除権)

こんにちは、ツバサです。

旅行業の大事な部分の1つに「解除権」というものがあります。

解除権は、実際に旅行会社で働いていると避けては通れないキーワードで、1年に2~3回は経験すると思います。

特に日本は台風などの天災も多いため、時期的に解除権が連発することもあります。

この記事では、旅行契約の変更や解除について詳しく解説します。

☆令和5年度版☆
☆合格者が作ったツナグ旅オリジナル☆
☆直前対策向け教材&問題集☆
累計販売数1,000部突破

合格者のツバサ自身が試験勉強をもとに
ポイントまとめや問題集を作りました

<合格者の声>
こちらから

【国内地理オリジナル問題集】
購入はこちらから

【法令・約款ポイントまとめ】
購入はこちらから

【海外地理オリジナル問題集】
購入はこちらから

【JR運賃計算オリジナル問題集】
購入はこちらから

★ツナグ旅大学インスタグラム★
フォローするだけで
総合・国内旅行業務取扱管理者の問題を
ストーリーのクイズで勉強ができます

ツナグ旅大学をフォローする

旅行業:募集型企画旅行の契約内容の変更

旅行の解除権の話をする前に、まずは旅行契約における内容の変更について理解しましょう。

旅行の変更には3種類あります。

旅行契約の変容

1:契約内容の変更

2:旅行代金の額の変更

3:旅行者の交替

契約内容の変更

契約内容を変更できる場合は次のような状況の時のみです。

  • 天災地変(台風や豪雨など)
  • 戦乱
  • 暴動
  • 運送&宿泊機関等の旅行サービス提供の中止(欠航など)
  • 官公署の命令(危険度引き上げなど)
  • 当初の運航計画によらない運送サービスの提供(遅延など)
  • その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合

これらの状況の時は、旅行を円滑に実施できないため、旅行者に予め理由や事の詳細を説明し、旅行契約内容を変更することがあります。

ただし、緊急性のある場合は旅行内容を変更した後に説明することもあります。

ここでの覚えるべきポイントは2つです。

  1. 事前に説明すること、ただし同意や承諾は不要
  2. 緊急時は先に変更し、事後説明
【具体例】
台風が翌日に直撃が濃厚な場合は、航空会社は翌日のフライトを欠航し、事前に発表することが多いです。
例えば、海外の現地にいる時にそういった状況に直面した場合は、日本への帰国便をできるだけ早い便で確保をする必要があります。
その場合は座席の取り合いになってしまうため、一人一人旅行者に説明をしていてはフライトの変更ができなくなってしまう場合があります。そういう時は先にフライトを変更してしまい、事後説明として旅行者に伝えます。つまり、旅行者の同意なしに旅行業者側で変更手続きをしてしまうことがあります。

旅行代金の額の変更

旅行代金の額を変更する場合もあります。変更できる場合は3つあります。

旅行代金の変更

1:運送機関の運賃・料金の大幅な増減に伴う旅行代金の増減

2:「契約内容の変更」に伴う旅行代金の増減

3:利用人員の変更に伴う旅行代金の増減

この3つのケースに限ります。

運送機関の運賃・料金の大幅な増減に伴う旅行代金の増減

これはイメージしやすいのが航空券代金の変更です。ただし、経済情勢が著しく変わった場合のみです。

例えば、経済情勢が著しく悪くなり、航空券代金が変更になった場合は、次の条件により旅行代金を変更することができます。

  • 旅行開始日の前日から起算して15日前に当たる日までに旅行者に通知

ポイントは増額と減額で少しルールが異なります。注意しましょう。

【増額する場合】

例)10万円だった航空券代金が経済情勢の影響で12万円になった。

⇒2万円の増額が可能。ただし、旅行業者の判断で増額を1万円のみにすることや増額なしとすることも可能(旅行業者負担)

【減額の場合】

例)10万円だった航空券代金が経済情勢の影響で8万円になった。

⇒2万円の減額が必要。減額する金額を1万円にしたり、減額分を返金しないのは違反。必ず減額分の金額を減額しなければならない

「契約内容の変更」に伴う旅行代金の増減

天災や暴動によって「契約内容の変更」になった場合は、旅行代金の増減が可能となります。

例えば、フライトの欠航による契約内容の変更のケースです。

【具体例】都市Aから都市Bに行くフライトが欠航
代案のフライトはなく、列車しかない。
航空券代金は3万円だったが、列車になると4万円になり、
差額1万円が生じる。
この場合、旅行代金の増額ができる。
結果、差額の1万円は旅行者負担となる。
承諾を得なくても変更ができる

ポイントは旅行者負担になるということです。

ただし、1つ注意が必要です。

標準旅行業約款の第14条・第4項に次のような記載があります。

「費用の増加が、運送・宿泊機関等が当該旅行サービスの提供を行っているにもかかわらず、運送・宿泊機関等の座席、部屋その他の諸設備の不足が発生したことによる場合を除きます。」

この条文の具体例を挙げると、オーバーブッキング(予約超過)です。

オーバーブッキングの場合は、旅行代金の変更はできません。(基本的には旅行業者負担、ただし航空会社側で代案提示があることがほとんど。)

利用人員の変更に伴う旅行代金の増減

利用人員の変更に伴う旅行代金の増減は、とてもわかりやすい例があります。

例えば、日本の旅館を予約する時に次のような料金体系の記載があります。

2名1室:1人当たり12000円
3名1室:1人当たり10000円
4名1室:1人当たり8000円

4名で旅館に泊まるツアーを予約していた際、直前で2名キャンセルになったら、旅行代金が1人当たり8000円から12000円に変わります。

旅行者の交替

旅行者の交替に関してはとてもシンプルです。

覚えることは、「契約書面に利用人員により旅行代金が変更になることを記載し」「旅行業者の承諾を得て」、契約上の地位を「第三者に譲る」ことができることです。

これは主に国内募集型企画旅行に多いです。例えば、バスツアーなどは旅行者の変更を旅行業者も受け付けてくれます。

一方で海外旅行に関しては、パッケージツアーの旅行者変更は非常に難しいです。なぜなら、パッケージツアー用の航空券は料金がリーズナブルな反面、条件が厳しく、旅行者の変更ができないルールとなっているためです。

以上が、「契約内容の変更」についてでした。

それでは、本題の「解除権」について見ていきましょう。

旅行業:募集型企画旅行の契約の解除(解除権)

旅行契約には「解雇権」というものがあります。

僕自身も旅行業に携わっていて、「解除権」には何度も直面しました。

旅行契約の「解除権」には2種類あります。

  1. 旅行者の解除権
  2. 旅行業者の解除権

旅行者の解除権と旅行業者の解除権の違いには、どういった時に解除ができるのかの違いがあります。

旅行者の解除権

まずは「旅行者の解除権」の条文から見ていきましょう。

(旅行者の解除権)
第十六条 旅行者は、いつでも別表第一に定める取消料を当社に支払って募集型企画旅行契約を解除することができます。通信契約を解除する場合にあっては、当社は、提携会社のカードにより所定の伝票への旅行者の署名なくして取消料の支払いを受けます。
2 旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除することができます。
一 当社によって契約内容が変更されたとき。ただし、その変更が別表第二上欄に掲げるものその他の重要なものであるときに限ります。
二 第十四条第一項の規定に基づいて旅行代金が増額されたとき。
三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。
四 当社が旅行者に対し、第十条第一項の期日までに、確定書面を交付しなかったとき。
五 当社の責に帰すべき事由により、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の実施が不可能となったとき。
3 旅行者は、旅行開始後において、当該旅行者の責に帰すべき事由によらず契約書面に記載した旅行サービスを受領することができなくなったとき又は当社がその旨を告げたときは、第一項の規定にかかわらず、取消料を支払うことなく、旅行サービスの当該受領することができなくなった部分の契約を解除することができます。
4 前項の場合において、当社は、旅行代金のうち旅行サービスの当該受領することができなくなった部分に係る金額を旅行者に払い戻します。ただし、前項の場合が当社の責に帰すべき事由によらない場合においては、当該金額から、当該旅行サービスに対して取消料、違約料その他の既に支払い、又はこれから支払わなければならない費用に係る金額を差し引いたものを旅行者に払い戻します。

旅行者の解除権は上記赤字のところの解除権がポイントです。これらの場合は、旅行開始前に取消料を支払わずに解除することができます。つまり、全額返金です。

赤字の条文をそれぞれ詳細に見ていきましょう。

条文

一 当社によって契約内容が変更されたとき。ただし、その変更が別表第二上欄に掲げるものその他の重要なものであるときに限ります。

この条文の「別表第二上欄に掲げるもの」というのは次のものにあたります。

別表第二上欄に掲げるもの

・契約書面に記載した旅行開始日又は旅行終了日の変更

・契約書面に記載した入場する観光地又は観光施設(レストランを含みます。)その他の旅行の目的地の変更

・契約書面に記載した運送機関の等級又は設備のより低い料金のものへの変更(変更後の等級及び設備の料金の合計額が契約書面に記載した等級及び設備のそれを下回った場合に限ります。)

・契約書面に記載した運送機関の種類又は会社名の変更

・契約書面に記載した本邦内の旅行開始地たる空港又は旅行終了地たる空港の異なる便への変更

・契約書面に記載した本邦内と本邦外との間における直行便の乗継便又は経由便への変更

・契約書面に記載した宿泊機関の種類又は名称の変更

・契約書面に記載した宿泊機関の客室の種類、設備、景観その他の客室の条件の変更

・前各号に掲げる変更のうち契約書面のツアー・タイトル中に記載があった事項の変更

これらを簡単に言うと、パッケージツアーに含まれているものや記載があるものに変更が生じた場合は解除できるということになります。

別表第二上欄に掲げるもの」については旅程保証にも関わるものです。

条文

二 第十四条第一項の規定に基づいて旅行代金が増額されたとき。

「第14条・第1項」とは、「契約内容の変更」で述べた経済状況が著しく変化して旅行代金の額が変更になった場合は解除できるということになります。

条文

三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。

これは理解しやすいですね。台風などが直撃した場合や外務省の危険度が上がった場合などに解除ができるということになります。

条文

四 当社が旅行者に対し、第十条第一項の期日までに、確定書面を交付しなかったとき。

「第10条・第1項」には「当該契約書面交付後、旅行開始日の前日(旅行開始日の前日から起算してさかのぼって七日目に当たる日以降に募集型企画旅行契約の申込みがなされた場合にあっては、旅行開始日)までの当該契約書面に定める日までに、これらの確定状況を記載した書面(以下「確定書面」といいます。)を交付します。」と記載があります。

つまり、確定書面=最終日程表を旅行開始日の前日あるいは当日までに交付しなかった場合は解除ができるということになります。

条文

五 当社の責に帰すべき事由により、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の実施が不可能となったとき。

これは文章の通り、旅行業者側の理由により旅行が催行できない時に解除ができますということになります。

試験のポイント

旅行者の解除権を使う場合、次の理由では解除権を使うことはできません。
身内の不幸により参加できない。
病気や事故により参加できない。
・渋滞により集合時間に間に合わない
これらの理由は通常通り取消料がかかります。

旅行業者の解除権

続いて、「旅行業者の解除権」の条文を見ていきましょう。

旅行開始前の解除権

(当社の解除権等-旅行開始前の解除)
第十七条 当社は、次に掲げる場合において、旅行者に理由を説明して、旅行開始前に募集型企画旅行契約を解除することがあります。
一 旅行者が当社があらかじめ明示した性別、年齢、資格、技能その他の参加旅行者の条件を満たしていないことが判明したとき。
二 旅行者が病気、必要な介助者の不在その他の事由により、当該旅行に耐えられないと認められるとき。
三 旅行者が他の旅行者に迷惑を及ぼし、又は団体旅行の円滑な実施を妨げるおそれがあると認められるとき。
四 旅行者が、契約内容に関し合理的な範囲を超える負担を求めたとき。
五 旅行者の数が契約書面に記載した最少催行人員に達しなかったとき。
六 スキーを目的とする旅行における必要な降雪量等の旅行実施条件であって契約の締結の際に明示したものが成就しないおそれが極めて大きいとき。
七 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合において、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。
八 通信契約を締結した場合であって、旅行者の有するクレジットカードが無効になる等、旅行者が旅行代金等に係る債務の一部又は全部を提携会社のカード会員規約に従って決済できなくなったとき。
九 旅行者が第七条第五号から第七号までのいずれかに該当することが判明したとき。

2 旅行者が第十二条第一項の契約書面に記載する期日までに旅行代金を支払わないときは、当該期日の翌日において旅行者が募集型企画旅行契約を解除したものとします。この場合において、旅行者は、当社に対し、前条第一項に定める取消料に相当する額の違約料を支払わなければなりません。

3 当社は、第一項第五号に掲げる事由により募集型企画旅行契約を解除しようとするときは、旅行開始日の前日から起算してさかのぼって、国内旅行にあっては十三日目(日帰り旅行については、三日目)に当たる日より前に、海外旅行にあっては二十三日目(別表第一に規定するピーク時に旅行を開始するものについては三十三日目)に当たる日より前に、旅行を中止する旨を旅行者に通知します。

この条文は「旅行開始前の解除権」に当たります。

まず、大前提として必ず旅行者に理由を説明しなければなりません。

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

条文

一 旅行者が当社があらかじめ明示した性別、年齢、資格、技能その他の参加旅行者の条件を満たしていないことが判明したとき。

これはイメージしやすい条文です。例えば、大学生限定のツアーに社会人が応募していた時です。この場合は、参加資格なしとして旅行業者側が解除権を使うことができます。

条文

二 旅行者が病気、必要な介助者の不在その他の事由により、当該旅行に耐えられないと認められるとき。

これは、例えば、旅行開始前に足を複雑骨折してしまった時です。明らかにツアー参加に支障が出るため、解除権を使うことができます。

条文

三 旅行者が他の旅行者に迷惑を及ぼし、又は団体旅行の円滑な実施を妨げるおそれがあると認められるとき。

迷惑や円滑な実施を妨げるというのは、一言で言うとクレーマーです。旅行会社側は顧客のブラックリストを管理しており、前回の旅行で理不尽な大クレームを上げた人などに対して、次回の予約を受け付けないようにしています。万が一、受付けをしてしまい後日発覚した場合は解除権を使うことができます。

条文

四 旅行者が、契約内容に関し合理的な範囲を超える負担を求めたとき。

条文内に「合理的な範囲を超える」とありますが、例えば、いつも予約しているのだからスイートの部屋にしてくれなどと負担を求めてくる旅行者に対しては解除権を使うことができます。何事も度を越えるとダメです。

条文

五 旅行者の数が契約書面に記載した最少催行人員に達しなかったとき。

募集型企画旅行に関しては、ツアーごとに「最少催行人員」が設定されています。その場合、最少催行人員に満たなかった場合は解除権を使うことができます。

最少催行人数に満たなかった場合の「通知期限」が定められています。

通知期限

・国内(日帰り):前日から起算して3日目に当たる日より前まで
=旅行開始日から4日前まで


・国内(宿泊):前日から起算して13日目に当たる日より前まで
=旅行開始日から14日前まで


・海外(通常):前日より起算して23日目に当たる日より前まで
=旅行開始日から24日前まで


・海外(ピーク):前日より起算して33日目に当たる日より前まで
=旅行開始日から34日前まで
※ピーク:4月27日から5月6日、7月20日から8月31日、12月20日から1月7日。

条文

六 スキーを目的とする旅行における必要な降雪量等の旅行実施条件であって契約の締結の際に明示したものが成就しないおそれが極めて大きいとき。

これは条文の通り、雪が十分にない場合にツアー催行不可と判断し、解除権を使うことができます。

条文

七 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合において、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。

これは旅行者の解除権でもありましたが、不可抗力の場合に解除権を使うことができます。

条文

八 通信契約を締結した場合であって、旅行者の有するクレジットカードが無効になる等、旅行者が旅行代金等に係る債務の一部又は全部を提携会社のカード会員規約に従って決済できなくなったとき。

この条文は文章の通り、カード決済ができない時に解除権を使うことができます。

条文

九 旅行者が第七条第五号から第七号までのいずれかに該当することが判明したとき。

第7条に何が書かれているかというと、「旅行者が、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、暴力団関係企業又は総会屋等その他の反社会的勢力であると認められるとき。」と書かれています。つまり、反社会勢力の人だった場合は解除権を使うことができます。

この条文第17条の第2項を見てみましょう。

「2 旅行者が第十二条第一項の契約書面に記載する期日までに旅行代金を支払わないときは、当該期日の翌日において旅行者が募集型企画旅行契約を解除したものとします。この場合において、旅行者は、当社に対し、前条第一項に定める取消料に相当する額の違約料を支払わなければなりません。」

これは旅行代金の支払いを行わなかったときの解除権になりますが、頻繁に出題される条文です。

ポイントは次の2つです。

契約解除や違約料のポイント

・支払期日に入金がなかった場合でもその日に旅行契約を解除することはできず、その翌日に契約解除することができる。


・その場合、取消料に相当する額の「違約料」を支払わなければならない。あくまでも違約料となり、取消料ではない。

この2つは必ず覚えましょう。

旅行開始後の解除権

続いて、「旅行開始後の解除権」についての条文を見ていきましょう。

(当社の解除権-旅行開始後の解除)
第十八条 当社は、次に掲げる場合において、旅行開始後であっても、旅行者に理由を説明して、募集型企画旅行契約の一部を解除することがあります。
一 旅行者が病気、必要な介助者の不在その他の事由により旅行の継続に耐えられないとき。
二 旅行者が旅行を安全かつ円滑に実施するための添乗員その他の者による当社の指示への違背、これらの者又は同行する他の旅行者に対する暴行又は脅迫等により団体行動の規律を乱し、当該旅行の安全かつ円滑な実施を妨げるとき。
三 旅行者が第七条第五号から第七号までのいずれかに該当することが判明したとき。
四 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合であって、旅行の継続が不可能となったとき。

2 当社が前項の規定に基づいて募集型企画旅行契約を解除したときは、当社と旅行者との間の契約関係は、将来に向かってのみ消滅します。この場合において、旅行者が既に提供を受けた旅行サービスに関する当社の債務については、有効な弁済がなされたものとします。

3 前項の場合において、当社は、旅行代金のうち旅行者がいまだその提供を受けていない旅行サービスに係る部分に係る金額から、当該旅行サービスに対して取消料、違約料その他の既に支払い、又はこれから支払わなければならない費用に係る金額を差し引いたものを旅行者に払い戻します。
(旅行代金の払戻し)

旅行開始後の解除権についても、大前提は旅行者に必ず理由を説明しなければなりません。

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

条文

一 旅行者が病気、必要な介助者の不在その他の事由により旅行の継続に耐えられないとき。

これは、旅行者が旅行中に骨折した時など、旅行を続けることができない時に解除権を使います。

条文

二 旅行者が旅行を安全かつ円滑に実施するための添乗員その他の者による当社の指示への違背、これらの者又は同行する他の旅行者に対する暴行又は脅迫等により団体行動の規律を乱し、当該旅行の安全かつ円滑な実施を妨げるとき。

この条文を簡単に言うとクレーマーです。そういった場合は解除権を使うことができます。

条文

三 旅行者が第七条第五号から第七号までのいずれかに該当することが判明したとき。

旅行開始前の解除権にもありましたが、これは反社会勢力の人だと分かった時に解除をすることができます。

条文

四 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合であって、旅行の継続が不可能となったとき。

これも旅行開始前の解除権でもありましたが、不可抗力の場合に解除権を使うことができます。

旅行開始後の解除権を使う場合、すでに受けたサービスとまだ受けてないサービスについての旅費の払戻しに注意が必要です。

旅行業者が解除権を使った場合、以下のようなルールとなります。

旅行業者の解除権

・契約関係は将来に向かってのみ消滅。

・旅行者が既に提供を受けた旅行サービスに関しては返金なし。

・まだ受けていない旅行サービスに関しては、その旅行サービスの取消料及び違約料またはその他の支払いを差し引いた残額を旅行者へ返金する。

例えば、ツアー代金が10万円のものがあったとして、旅行開始後に病気で入院することになり、旅行業者が解除権を使ったとします。

解除権 旅行

すでに提供されたサービスが3万円
まだ提供されていない旅行サービスの取消料が3万円
旅行者への返金は10万円ー3万円ー3万円=4万円となります。

ここで疑問が生じます。

旅行中に旅行契約を解除された旅行者の日本への帰国手配に関してどうなるのかという問題が出ます。

これは「契約解除後の帰路手配」となりますが、次のように定められています。

契約解除後の帰路手配

・旅行業者は旅行者の求めに応じて、出発地に戻るために必要な旅行サービスの手配を引き受ける。

・出発地に戻るための旅行サービスの諸費用は旅行者負担となる。

つまり、旅行業者はお手伝いはします、しかし旅費は旅行者負担になりますということになります。

以上となります。

旅行業の解除権については、実務でも必ず体験することになります。

内容をしっかり覚えましょう。

それでは、良い一日を!