奄美が世界遺産に登録されるのすごいよね。奄美以外にもどんなところが世界遺産の構成資産になるんだろう。
この記事は、そんな疑問に答えます。
- 奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島の世界遺産登録を解説
こんにちは、ツバサです。
奄美大島や徳之島、沖縄島北部、西表島が世界遺産に登録がされるというニュースは、2020年~2021年の観光業は暗い話題ばかりだったので、とても嬉しくなりました。
そんな奄美大島や沖縄方面の世界遺産登録について、いったいどの範囲やエリアが登録されるのか、世界遺産に登録される理由は何なのかなど、意外と詳しくは知られていないですよね。
また、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は世界遺産登録の延期を勧告された過去もあります。
この記事では、世界遺産に登録される「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」ついて詳しく解説します。
奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島の世界遺産勧告&登録へ
2021年5月10日、ユネスコの諮問機関「IUCN」が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」について、世界遺産に「記載は適当」という勧告を発表しました。
この「記載は適当」とする勧告は、99%登録決定といわれています。
そして、2021年7月に行われるユネスコ世界遺産委員会で正式に登録の可否が決定されます。
ユネスコの諮問機関「IUCN」の勧告には4段階あります。
- 記載:世界遺産一覧表に記載するもの。
- 情報照会:追加情報を求めると共に次回以降に再審議を行うもの。
- 延期:綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要とするもの。
- 不記載:世界遺産一覧表への記載に相応しくないとするもの。
世界自然遺産に登録されている日本の世界遺産は4つしかありません。
- 屋久島(鹿児島県):1993年12月に登録
- 白神山地(青森県、秋田県):1993年12月に登録
- 知床(北海道):2005年7月に登録
- 小笠原諸島(東京都):2011年6月に登録
今回、世界遺産に登録される「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」のエリアを見ていきましょう。
奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島の世界遺産の範囲は?
今回の世界遺産登録の範囲は、鹿児島から沖縄までの広範囲にわたっています。
- 奄美大島=鹿児島県
- 徳之島=鹿児島県
- 沖縄県北部=沖縄県
- 西表島=沖縄県
地図で見てみると、一番北にある奄美大島から一番南にある西表島までの直線距離を測ってみると約700キロもあります。
本州で例えると東京から広島くらいまでの距離に当たります。
奄美大島、徳之島、沖縄県北部、西表島の4つの島になりますが、構成要素は5つのエリアとなっています。
- 奄美大島:島の中心地が推薦地(構成要素x1)
- 徳之島:島の北部にある天城岳のエリアと島の中部にある井之川だけや犬田布岳のエリアが推薦地(構成要素x2)
- 沖縄県北部:北部にある津波山より北側のエリアが推薦地(構成要素x1)
- 西表島:島の大部分が推薦地(構成要素x1)
※マップ内の色
緑:推薦地、黄緑:緩衝地帯、肌色:周辺管理地域
奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島の世界遺産登録の推薦内容
日本人の僕たちにとっても奄美大島や沖縄、徳之島、西表島などの南国の島々は、自然が豊富で綺麗な海が広がっているイメージがすでにあります。
そんな奄美大島や沖縄県北部、徳之島、西表島が今回世界遺産登録に推薦された理由にどんなものがあるのかを見ていきましょう。
- 4つの地域の面積は日本の国土面積のたったの0.5%に満たない大きさ
- 日本の動植物種数の多くが生息・生育している
- 維管束植物は1,819種
- 陸生哺乳類21種
- 鳥類394種
- 陸生爬虫類36種
- 両生類21種
- 陸域生物多様性ホットスポット「ジャパン」の陸生脊椎動物の約57%が推薦地を含む4地域に生息、またその中には日本固有の脊椎動物の44%、日本の脊椎動物における国際的絶滅危惧種の36%が含まれている
- 推薦地では国際的絶滅危惧種95種を含め、絶滅危惧種の種数及び割合も多い
- 奄美大島と徳之島には1属1種のアマミノクロウサギが生息
- 沖縄島北部には絶滅しやすいことが知られている島嶼の無飛翔性クイナ類の1種でもあるヤンバルクイナが生息
- 西表島には世界で唯一イリオモテヤマネコが生息
- トゲネズミ属は中琉球の3地域に固有種が分布
- 推薦地の維管束植物は188種が、昆虫類は1,607種が固有種
このように奄美大島や沖縄県北部、徳之島、西表島には希少価値の高い動植物が生息、生育しており、それが世界遺産登録の理由となっています。
このような生態系が日本国内に残っているということを改めて認識するととても感慨深くなります。
奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島の世界遺産登録が過去に延期された理由
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は、2017年に一度世界遺産登録の推薦をしたことがあります。
しかし、2018年に実施されたユネスコの諮問機関「IUCN」の調査の結果は「登録延期」というものでした。
「登録延期」とは、綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要とするものを意味します。
当時、なぜ登録延期を勧告されたのかは次のような理由がありました。
- 推薦地の小さな飛び地を除外するべき(推薦地の中には10ヘクタールや100ヘクタールの小さい面積のものが多くあった)
- アメリカ軍北部訓練場の返還地を推薦地に含めるべき
- 外来種への対策をさらに推進すること
- 観光客の増加に伴い、どう対応するのかの管理計画を策定すること
- 絶滅危惧種の動物が自動車にひかれる事故が多発していること
- 人為的な影響や地球温暖化の影響で絶滅危惧種の生息状況がどう変わっているのかを調べる継続的なモニタリングの必要性
このような理由から2018年に登録延期の勧告を受けました。
これらの課題解決を示したことで、今回の世界遺産登録に繋がっています。
以上となります。
日本では5つ目となる世界遺産登録になりますが、今後の課題は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が訪日観光客に人気が出て、オーバーツーリズムになるのをどう未然に防ぐかということになるでしょう。
それでは、良い一日を!