総合旅行業務取扱管理者の試験範囲でもあるJR運賃計算の払い戻し規定が少し複雑だな。それに乗継割引は絶対に試験に出そうだし、連絡会社線のルールも覚えなきゃ。大事なポイントをまとめた資料はあるのかな。
この記事は、そんな疑問に答えます。
ツナグ旅ではJR運賃計算を9記事にわたって解説しています。
- 運賃や料金の定義、年齢、路線、専門用語
- 運賃計算の基本ルール
- 境界駅
- 特急料金、グリーン料金、寝台料金
- 往復割引、学生割引、有効期間、特定都区市内
- 払い戻し、乗継割引、連絡会社線
- 新幹線のルール
- グランクラス
- 山形&秋田新幹線の注意点
この記事では(6)を解説しています。
こんにちは、ツバサです。
今回は総合旅行業務取扱管理者の試験範囲の中でも試験に出題される可能性が高い「払い戻し」や「乗継割引」についてポイントをまとめてみます。
また、JRと他の私鉄が乗車ルートに混在する「連絡会社線」についても解説します。
ここのポイントをしっかりおさえておけば、試験での得点獲得も間違いありません!
それでは解説していきます。
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JR運賃計算:払い戻し規定
JR運賃計算:払い戻しの基本ルール
JRの乗車券や特急券を購入した後、予定等が入ってしまい、どうしても乗ることができないということがあります。
その場合は乗車券や特急券の「払い戻し」をすることになります。
JRでは「払い戻し」の規定が次のように定められています。
券種 | 払い戻し条件 |
乗車券 | 使用開始前(有効期間内のもの):220円 |
自由席特急券 | |
自由席グリーン券 | |
指定席特急券 | 乗車日の2か前まで:340円 前日から出発時間まで:料金の30%(最低340円以上) |
指定席グリーン券 | |
寝台券 | |
その他座席指定券 |
注意点は次の通りです。
- 運賃・料金別に1枚につきの払い戻し手数料となる
- 往復乗車券は1枚とみなす
- 連所く乗車券は1枚とみなす
- 大人と小児は同額となる
- 出発時刻以降の払い戻しは不可となる
- 10未満は切り捨てとなる
- 料金の30%未満の払い戻し手数料の場合は340円の徴収となる
払い戻しの際、「特急料金」に対して手数料がかからない場合があります。
- 乗車券と特急券が1枚で発行されている
⇒乗車券と特急券に対して手数料がかかる - 特急券とグリーン券が1枚で発行されている
⇒グリーン券に対して手数料がかかる - 特急券と寝台券が1枚で発行されている
⇒寝台券に対して手数料がかかる - 乗車券、特急券、グリーン券が1枚で発行されている
⇒乗車券とグリーン券に対して手数料がかかる
※「運賃・料金別に1枚につきの払い戻し手数料となる。」というルールがあるため、乗車券、特急券、グリーン券が1枚で発行されている時は運賃の乗車券と料金のグリーン券に対して払戻手数料がかかることになります。
ここまでが払い戻しの基本的なルールです。
実際に例を挙げながら払い戻しの計算をしてみましょう。
例)特急くろしお:4月10日に新大阪から白浜までグリーン車に乗車予定
①4月8日に払い戻しをした場合
【重要】乗車券、特急券、グリーン券を1枚で発行してるため、払い戻しの際の手数料は特急券にはかからず、乗車券とグリーン券に対してかかる。
乗車券:使用開始前となるため払戻手数料は220円。
グリーン券:乗車日の2日前までの払戻手数料は340円
払戻手数料の合計は、220円+340円=560円
②4月9日に払い戻しをした場合
【重要】乗車券、特急券、グリーン券を1枚で発行してるため、払い戻しの際の手数料は特急券にはかからず、乗車券とグリーン券に対してかかる。
乗車券:使用開始前となるため払戻手数料は220円。
グリーン券:前日から出発時刻までの払戻手数料は料金の30%。
券面に「グ 2800円」の記載があり、グリーン券の料金は2800円であることがわかるため、2,800円x30%=840円
払戻手数料の合計は、220円+840円=1,060円
実際の試験では払い戻し手数料がいくらかという問いと払い戻し額がいくらかという問いがあるため、問題を注意深く読む必要があります。
余力がある人は応用編も覚えましょう。
総合旅行業務取扱管理者の国家試験を受ける人は覚えておいた方がよいです。
「座席未指定券に注意」
特急券の中には指定席特急券や自由席特急券がありますが、「座席未指定券」というものがあります。
「座席未指定券」の払い戻しは前日でも1週間前でも乗車日までの払い戻し手数料は一律で340円となります。
JR運賃計算:使用開始後の普通乗車券の払い戻し
電車に乗った後に急遽用事ができてしまい、途中下車をしなければならない時があります。
そういった場合は、使用を開始した後の払い戻しの規定があります。条件は次の通りです。
- 普通乗車券のみが払い戻しされる
- 未使用区間の営業キロが100kmを越えていること(101km以上)
- 使用した区間の運賃と払戻手数料220円を差し引いた額が払い戻しされる
例)東京から広島までの乗車予定を途中の名古屋で下車した場合
東京から広島までの運賃:11,880円
東京から名古屋までの運賃:6,380円
払戻額は、11,880円ー6,380円ー手数料220円=5,280円。
JR運賃計算:乗車日等の変更
乗車券類(普通乗車券、急行券、特別車両圏、寝台券、コンパートメント券、座席指定券)について、使用開始前であれば1回に限って、係員に承諾を得た上で同種類の乗車券類に変更することができます。
例えば、新幹線の乗車券や指定席券を事前に購入した後、予定が入ってしまったため、日程を1日ずらしたい場合、JRのみどりの窓口のカウンターに行って、乗車日の変更をお願いすることです。
普通乗車券、急行券、特別車両圏、寝台券、コンパートメント券、座席指定券の総称を「乗車券類」といいます
ここで1つ注意が必要です。
乗車日等の変更は「1回に限って」ということになりますが、一度変更した後に再度変更をしなければならないこともあります。
変更後の払い戻しについては払戻手数料が厳しくなります。
変更後の払い戻し規定は、「乗車日の前日または当日」に払い戻しをした場合、料金の30%の払戻手数料がかかります。
例)
7月30日に「8月15日乗車の指定席券を購入」
8月14日(乗車日の前日)にその指定席券を8月30日に変更
8月20日にその指定席券を払い戻す⇒料金の30%の払戻手数料が発生
※乗車日の変更をしたものは券面に「乗変」と記載されます。
JR運賃計算:遅延による払い戻し
JR側の電車の遅延により、払い戻しが発生することもあります。
その場合の規定は、特急列車や急行列車が「2時間以上」遅れて到着した場合、特急料金や急行料金は全額払い戻し(返金)となります。
ただし、運賃の「乗車券」については、目的地までの輸送義務を果たしていることもあり、払い戻しの対象にはなりません。
JR運賃計算:新幹線や特急に乗り遅れた場合
新幹線や特急列車の「指定席」に乗り遅れた場合は、同じ日及び同一区間の「自由席」に乗車することができます。
例えば、東京から新大阪までの新幹線指定席券を購入していたにも関わらず、東京での商談が長引いてしまい、当初予定をしていた新幹線に乗ることができず、同日の後続便の自由席に乗車して新大阪に向かったというようなことです。
JR運賃計算:乗車券類を紛失してしまった場合
普通乗車券や指定席券を運悪くなくしてしまう場合があります。その場合の手続き方法は次の通りです。
- 切符をなくしてしまう
- 係り員に伝えて、同じ切符を再度購入する(切符に「紛失再」の文言が入る)
※指定席券については同じ列車の指定席券のみ。 - 下車駅で「再収受証明」を受ける。
- 1年以内に切符が見つかった場合は手数料220円(指定券は340円)を支払うことで「再収受証明」の切符の運賃及び料金を払い戻すことができる。
JR運賃計算:乗継割引
JR運賃計算で「乗継割引」は非常に大事にポイントです。試験に出題される可能性が高い項目です。
必ず覚えるようにしましょう!
「乗継割引」とは?
「乗継割引」とは、新幹線と特急列車などを同時に購入することで片方の特急料金が割引になる制度です。
乗継割引のパターンは主に2つです。
- 基本的には新幹線+特急列車のパターンの乗継割引
- 寝台特急「サンライズ瀬戸」と四国内の特急列車のパターンの乗継割引
※四国には新幹線が入っていないため、四国に乗り入れる寝台特急「サンライズ瀬戸」が新幹線のような役割を担っています。
「乗継割引」のポイントは新幹線を覚えること
「乗継割引」では新幹線と特急列車のパターンがほとんどです。
そのため、日本全国の新幹線の名前とエリアを暗記するようにしましょう。
路線 | 新幹線の名前 |
東海道・山陽新幹線 | のぞみ、ひかり、こだま |
東北・北海道新幹線 | はやぶさ、やまびこ、なすの、はやて |
上越新幹線 | とき、たにがわ |
北陸新幹線 | かがやき、はくたか、あさま、つるぎ |
九州新幹線 | みずほ、さくら、つばめ |
山形新幹線 | つばさ |
秋田新幹線 | こまち |
- 九州新幹線の「みずほ」と「さくら」は新大阪から鹿児島中央まで運航しています
- 東北・北海道新幹線の「はやぶさ」、北陸新幹線の「かがやき」、山形新幹線の「つばさ」、秋田新幹線の「こまち」は全席指定席となります
- 秋田新幹線の「こまち」と山形新幹線の「つばさ」は在来線の特急列車扱いとされています。
2022年の春から山形新幹線の「つばさ」が全席指定席になりました。
「乗継割引」の適用には乗継割引対象駅が重要
「乗継割引」を適用するためには「乗継割引対象駅」で電車を乗り継いでいる必要があります。
乗継対象駅は次の通りです。
路線 | 駅名 |
東海道・山陽新幹線 | 東京駅、品川駅、小倉駅、博多駅以外の全ての駅 |
東北・北海道新幹線 | 新青森駅、新函館北斗駅 |
上越新幹線 | 長岡駅、新潟駅 |
北陸新幹線 | 長野駅、上越妙高駅、金沢駅 |
九州新幹線 | 九州新幹線内の駅では乗継割引なし |
注意しなければならないのは、東海道・山陽新幹線の除外駅(東京駅、品川駅、小倉駅、博多駅)と九州新幹線内では乗継割引がないということです。
「乗継割引」を適用するには、乗継を「当日中」あるいは「翌日」に行わなければなりません。
- 「乗継割引」は「乗継割引対象駅」で乗り継ぎをしなければならない
- 「乗継割引」は「当日中」あるいは「翌日」に乗り継ぎをしなければならない。
※新幹線から特急列車:当日中の乗り継ぎのみ対象
※特急列車から新幹線:当日中および翌日の乗り継ぎが対象
それでは、具体的な例を挙げながら見ていきましょう。
単純な「乗継割引」の例
【当日乗り継ぎの場合】
東京から新大阪の営業キロ:552.6km
新大阪から白浜の営業キロ:181.6km
営業キロの合計:734.2km(端数切り上げで735km)
乗車券の運賃:10,670円
⇒乗車券の乗継割引はない。
東京から新大阪の新幹線指定席券:5,290円(閑散期)
新大阪から白浜のくろしおの指定席特急券:2090円(閑散期)
⇒乗継割引が適用となるため、くろしおの指定席特急券が半額の1,045円、端数切り捨てで1,040円となる。
新幹線指定席券5,290円+くろしお指定席特急券1,040円=合計6,330円(閑散期)
なお、同じ行程で「翌日乗り継ぎ」だった場合は、乗継割引が適用不可になるので注意しましょう。
特急列車+新幹線+特急列車の乗継割引の例
新幹線の前後に特急列車を乗り継ぎ場合も考えられます。
この場合は、特急料金の高い方に対して「乗継割引」が適用されます。両方の特急列車に対して割引は適用にならないため、注意が必要です。
例を挙げて見てみましょう。
この場合は、まず初めに乗継割引対象駅かを確認します。
名古屋駅も新大阪駅も乗継割引対象駅であることがわかります。
次に特急料金を確認します。
塩尻から名古屋の特急列車「しなの」の指定席特急券が2,530円、新大阪から紀伊勝浦の特急列車「くろしお」の指定席特急券が2,310円となります。
特急料金の高い方が乗継割引の対象となることから、塩尻から名古屋の特急列車「しなの」の指定席特急券が2,530円に対して乗継割引が適用されます。
2,530円が半額となり、1,265円、端数切り捨てとなるため、1,260円となります。
乗継割引がどちらの区間に対して適用になるかを確認する際、特急券の種類(自由席、指定席など)を確認し、時期(通常期、閑散期、繁忙期)による割増、割引をした上で判断するようにしましょう。
「乗継割引」の特例
「乗継割引」の際、乗継割引対象駅が重要になりますが、JR側の諸事情によりいくつかの駅だけは特例として適用してよいという規定があります。
それらの駅は次の通りです。
- 大阪駅(新大阪駅から普通列車あるいは快速列車に乗って移動した場合)
- 坂出駅(岡山駅から普通列車あるいは快速列車に乗って移動した場合)
- 高松駅(岡山駅から普通列車あるいは快速列車に乗って移動した場合)
大阪駅はとてもメジャーな駅ですが、新幹線は大阪駅の隣の新大阪駅を発着します。
そのため、大阪駅も乗継割引の対象に入れますという特例です。
坂出駅と高松駅は四国にある駅ですが、四国は新幹線が止まりません。
そのため、新幹線の止まる岡山駅を乗継割引の対象に入れますという特例です。
具体的な例を見ていきましょう。
寝台特急「サンライズ瀬戸」を使っての「乗継割引」
まず「乗継割引」の主なパターン2つを復習しましょう。
- 基本的には新幹線+特急列車のパターンの乗継割引
- 寝台特急「サンライズ瀬戸」と四国内の特急列車のパターンの乗継割引
ここでは2つ目の寝台特急「サンライズ瀬戸」と四国内の特急列車のパターンの乗継割引を見ていきましょう。
寝台特急「サンライズ瀬戸」は東京駅から出発して、岡山駅で高松駅に向かう車両と出雲駅に向かい車両に分かれます。
岡山駅からは児島駅、坂出駅、そして高松駅に停車します。
「乗継割引」の規定は次の通りです。
- 乗継割引の特例として坂出駅と高松駅で四国内の特急列車に乗り継ぐこと
- 乗り継ぎは当日中あるいは翌日
例を挙げて見てみましょう。
乗継割引対象外の特急列車
次の特急列車は乗継割引対象外となりました。
- 踊り子
- サフィール踊り子号
- 湘南
- West Express銀河
これらの特急列車は俗に言うリゾート列車となるため、割引せずとも売れるということになります。
JR運賃計算:連絡会社線(通過連絡運輸)
JR運賃計算では、JRとJRの乗車ルートの間に私鉄の区間が入る連絡会社線(通過連絡運輸)の計算があります。
例えば、JR線で四日市から河原田、伊勢鉄道で河原田から津、JR線で津から新宮といった乗車ルートがあります。
その場合の乗車券の運賃計算と特急券の料金計算は次のようになります。
【運賃】
運賃を計算する場合は、連絡会社線(私鉄)の前後のJR区間の営業キロを合算して運賃を計算します。(いずれかが地方交通線の場合は運賃計算キロを計算します)
四日市から河原田:6.9km+津から新宮:164.7km=171.6km
端数切り上げをして172kmとなります。
本社3社内の幹線の運賃では、161km~180kmは3,080円となります。
JR運賃3,080円+伊勢鉄道520円=3,600円
【料金】
特急料金を計算する場合も、連絡会社線(私鉄)の前後のJR区間の営業キロを合算して料金を計算します。
四日市から河原田:6.9km+津から新宮:164.7km=171.6km
端数切り上げをして172kmとなります。
特急料金は、151km~200kmは2,730円となります。
JR特急料金2,730円+伊勢鉄道320円=3,050円(閑散期)
以上となります。
払い戻し、乗継割引、連絡会社線(通過連絡運輸)といろんなルールが出てきました。
少し複雑なものもありますが、とにかく暗記するしかありません。
そして、過去問等を通して実践をしながら覚えていくことをおすすめします!
それでは、良い一日を!