海外赴任をしているけど、毎日が辛くてもう辞めたいな。このまま働いていても辛いだけだし、辞めようかな。でも今後のことも心配だし、どうしよう。
この記事は、そんな疑問に答えます。
- 海外赴任中に辞めたいと思う理由
- 海外赴任を辞めたい時に取るべき5つの選択肢
こんにちは、ツバサです。
僕自身、海外赴任を約6年間経験しましたが、海外赴任1年目や2年目は何度も駐在員を辞めたいと思ったことがありました。
辞めたいと思った理由は様々ですが、精神的にもギリギリの時がありました。
結果としては、帰任前にはもう1年、2年を海外で頑張りたい気持ちがありましたが、約6年間の海外赴任を終え、日本に帰任しました。
この記事では、「海外赴任中に辞めたいと思う理由」「海外赴任を辞めたい時に取るべき5つの選択肢」について、僕の実体験を基に詳しく解説したいと思います。
海外赴任中に辞めたいと思う理由
海外赴任中に駐在員を辞めたいと思う主な理由は次の通りです。
【生活面】
- 生活習慣や食生活が合わない
- 外国語が上達せずコミュニケーションを取れない
- 日本の家族や友人、恋人に会えない(ホームシック)
- 治安の問題で安心できない
【仕事面】
- 仕事が激務で休みが取れず過労状態
- 現地スタッフとうまく仕事ができない
- オフィス内で孤独感を感じる
- チャレンジができず閉塞的になってしまう
海外赴任中は誰もが悩みやストレスを抱えています。
それは生活面でも仕事面でも同じです。つまり、休まるタイミングが非常に少ないのです。
それでは、生活面から見ていきましょう。
生活習慣や食生活が合わない
海外に住んでいると日本の生活習慣や食生活とは全く異なります。
それは家にいてもそうですし、外出してもそうです。
- 水道水が飲めない
- バスタブがない
- スーパーの生鮮食品コーナーが非常に臭い
- タクシーの乗車拒否
- 宗教的に肉を食べることができない
- 衛生的に刺身やサラダを食べることができない
些細なことを挙げるときりがありませんが、海外旅行のように4日間や5日間であれば耐えることができますが、それらが1か月、半年、1年続くとなると膨大なストレスとなってしまいます。
外国語が上達せずコミュニケーションを取れない
異国の地での大変さの1つに英語などの「外国語」があります。
職場でも外出先でも必ずと言っていい程、「外国語」を使わなければなりません。
言葉ができないと、仕事でトラブルを未然に防ぐための説明ができない、ミスが起こっても適切な指導ができない、スタッフの士気を高めるために伝えたい言葉が出てこないなど、日本人相手にはできていたことが「言葉の壁」により伝えることができません。
そのようなシチュエーションになってしまうと、自分自身に対して不安を覚えたり、自分は仕事ができないのではないかと自信をなくしたりします。
ネガティブ思考に陥ってしまい、現地スタッフとのコミュニケーションの回数を減らしてしまうこともあります。
外国語ができない ⇒ 自信がなくなる ⇒ 普段のパフォーマンスができない
日本の家族や友人、恋人に会えない(ホームシック)
日本に家族を残して海外赴任をしている場合や恋人を日本に残して海外赴任をしている場合にホームシックや孤独を感じやすく、「日本に帰りたい」と思うようになります。
また、いつも悩みを聞いてくれる友人にも面と向かって会えないため、海外赴任は孤独との戦いでもあります。
これは、特に海外派遣先のオフィスに日本人1人のみの場合に多いです。
一度孤独を感じてしまうと、休日も家に引き籠ってしまい、海外赴任前にはチャンレジしようと思っていた気持ちも次第になくなってしまい、海外赴任を辞めたいと思うようになってしまいます。
- 悩みを聞いてくれる人が身近にいない
- 海外派遣先が日本人1人の場合は要注意
- 孤独感はチャレンジ精神をかき消してしまう
治安の問題で安心できない
海外では日本人はトラブルに巻き込まれやすく、特に発展途上国の場合、日本人はターゲットにされやすいです。
身の危険にさらされるトラブルもあるため、日常生活を送るだけでも常に気を張っていないければなりません。
一度トラブルに遭遇してしまうと、生活していくことにすら嫌気がさしてしまい、海外赴任が原因でそうなってしまったと思うようになってしまいます。
- タクシーに乗る度に法外な料金を請求される
- 通勤時にホールドアップに遭遇する
- 外出先で窃盗や置き引きに遭遇する
- 夜道は危なくて出歩けない
このように生活面でのネガティブ要素が海外赴任を辞めたいという気持ちにさせてしまいます。
続いて、仕事面についても見ていきましょう。
仕事が激務で休みが取れず過労状態
海外赴任は派遣先の事業規模やスタッフの人数、役職の立場によって業務量などは変わりますが、「忙しい」「激務」ということには変わりはありません。
- 外国語での日々の業務や商談
- 現地スタッフへの指導
- 現地スタッフの評価
- 外国語での管理業務(総務、経理)
- 新規取引先への営業
- 業務視察
これらを日々こなすとなると、相当な頑張りと体力が必要です。
僕が働いている旅行業界では、海外赴任の場合、日本から来る日本人観光客の滞在中のケアをしなければなりません。
基本的にはツアーガイドが最前線で対応をするのですが、旅行業には「現地緊急連絡先」というものが必ずあり、基本的には24時間体制で日本人スタッフが対応しなければなりません。
電話の内容は体調不良から盗難被害など様々です。
深夜1時、2時に電話が鳴る時もあれば、休みの日の早朝に電話が鳴る時もあります。
緊急電話の多さから、電話の鳴る音が幻聴として聞こえてしまうスタッフもいる程です。
- 海外赴任は忙しく激務
- 忙しさからくるストレスで幻聴にもなり得る
現地スタッフとうまく仕事ができない
異国の地では働き方も日本とは全く異なります。
日本人の新入社員に仕事を教えることすら大変ですが、それを外国人の新入社員に外国語で教えるとなると、そのハードルはとてつもなく高くなります。
そのため、説明をちゃんとしたつもりでも理解し合えないことは多々あります。
旅行業に限っては、発展途上国への海外赴任の場合、現地スタッフ自身が旅行をしたことがない、飛行機に乗ったことがない、さらにパスポートを持っておらず、海外旅行に行ったこともないということはよくあります。
また、国によっては時間の概念も異なり、遅刻や欠勤は日常茶飯事ということもあります。
そして、日本ではあまりありませんが、海外ではミスによる赤字を出してしまった場合はスタッフ自身が支払うこともあります。
- 仕事の働き方が日本とは大きく異なる
- 外国人の新入社員に外国語で教えることは難しい
- 遅刻や欠勤がどんな影響を及ぼすかを説明しなければならない
オフィス内で孤独感を感じる
日系企業の場合、現地の働き方を尊重しつつも、やはり日本式の働き方も取り入れていかなければなりません。
時と場合によっては、それが現地スタッフには馴染みのないことや受け入れ難いことでも、日本人スタッフからトップダウンの指示をすることもあります。
そういった時は、まさに「日本人スタッフ vs 現地スタッフ」のようなイメージです。
英語以外の現地語があれば、何を言われているかもわかりません。
日本人スタッフが1名しかいない海外支店では、何も悪いことをしていなくても孤独感を感じ、肩身の狭い瞬間があります。
- 現地スタッフにトップダウンで指示を出す時は勇気が必要
- 外国人に囲まれた状態では孤独感が漂う
チャレンジができず閉塞的になってしまう
日本を出発する前は「海外でチャレンジしたい」という気持ちを誰もが持っているはずです。
しかしながら、海外生活が進むにつれて、徐々に自信をなくしていく人もいます。
それは、言葉の問題や業務がうまく進まないなど、自分が思っていたことと現実に起こっていることに予想以上に差が出てしまい、自分を責め始めてしまうためです。
自分の身の周りで起こっていることがうまくいかないと「チャレンジ」という言葉すら出ず、いつの間にかポジティブな目標を失ってしまいます。
一度負のスパイラルに陥ってしまうと再び這い上がるにはとても大変です。
結果、オフィスに閉じ籠ってしまい、外に出て現場、現物を見るということを止めてしまいます。
- うまくいかないことから自信を失う
- 自信を失うとチャレンジをしなくなる
海外赴任を辞めたい時に取るべき5つの選択肢
このように海外赴任を辞めたい理由には様々な側面があり、人によっても環境によっても異なってきます。
海外赴任は人生のうちのたったの2年間や3年間と思い頑張る人もいれば、反対に2年間や3年間をとても長い、無駄にはしたくないと思い違う道へ進む人もいます。
そして、「海外赴任を辞めたいと思ったなら、辞めてもいい」のです。
海外赴任を辞めたいと思った時に取るべき選択肢は次の5つです。
- 原点回帰と振り返りを行う
- 現地スタッフととことん話し合う
- 会社に現状を報告し相談する
- 海外赴任を辞める=会社を退職する
- 転職活動をスタートする
原点回帰と振り返りを行う
僕自身は、海外赴任1年目で何度も大変な思いをしましたが、この「原点回帰と振り返りを行う」ことで、自分自身の士気を再び上げました。
「原点回帰と振り返りを行う」とはどういうことかというと、海外赴任した当初の気持ちを再度思い返し、自分に言い聞かせるということと、海外赴任がスタートしてから失敗やうまくいかなかったことを振り返り、自分に足りなかったことをきちんと受け入れるということです。
できないことはできないため、もしかしたら違うアプローチがあるかもしれません。
考え方や見方を少し変えることで突破口を見つけることができるかもしません。
現地スタッフととことん話し合う
ある程度の外国語ができるのであれば、現地スタッフととことん話し合うことをお勧めします。
職場がうまく回っていない場合は、自分自身もそうですが、現地スタッフたちも悩みを抱えていることが多いです。
それに耳を傾け、お互いに共有するのです。
その場合、現地スタッフと白熱した議論になるかもしれません。
しかし、それでいいのです。
ぶつかっても根気強く話し合えば、良い結果を導き出せることがあります。
また、現地スタッフ目線で言うと、日本から派遣されてきた日本人スタッフのことをとても「上の存在」として見ています。特に拠点長や支店長レベルで派遣される日本人スタッフについては、現地スタッフからすると話しかけることすら躊躇することもあります。
そのため、日本人スタッフから現地スタッフに歩み寄るようにすることをお勧めします。
会社に現状を報告し相談する
会社に現状を報告することも1つの手段です。しかし、僕自身はこれは最終手段と思っています。
日本人スタッフの増員や勤務地の変更を日本の本社に伝えることで、日本側が動いてくれることが稀にあります。それができなくても、日本からの営業支援として、毎月誰かが出張で来てくれるなどの対応をしてくれることもあります。
ただし、会社というものは組織であるということを忘れてはなりません。
ここがダメなら次へというような人事は早々なく、特に中小企業の場合は日本側も人材不足の状況が多いため、人事を動かすということはとても難しいことです。
また、万が一、異動ができたとしても、後々のキャリアに影響することがあるかもしれません。
会社というものは、一度社内で沈んでしまうとなかなか浮上することができない組織です。
そのため、それなりのポジションで海外赴任をした人は特にですが、日本側へ異動希望を出すことは最終手段として考えた方が良いと思います。
海外赴任を辞める=会社を退職する
海外赴任の忙しさやストレスから、体に異変が出てしまう人もいます。
例えば、円形脱毛症やうつ病、不眠症、無意識のうちに涙が出るなど、人により様々です。これらは全てストレスが原因となっており、知らぬ間に自分の体を蝕んでいきます。
そういった症状が少しでも出ているなら、海外赴任をすぐにでも辞めるできです。
海外赴任は人生の中ではたったの2年間や3年間です。
そのために自分の体に異変が出てまで頑張る必要はありません。
そして、すぐにでも方向転換するべきだと思います。
また、そういった症状が出た場合は、同じ会社に居続けては治りません。
そのため、退職をして、一度リセットをした方が良いです。
転職活動をスタートする
今の海外赴任を続けることができないと感じ始めたら、今の自分に合った仕事が何なのかを考える時期でもあります。
海外にいても転職活動をすることができ、最近ではスカイプ面接(インターネット上でモニター画面に双方を映しながら面接をすること)をする企業もあります。
特に海外から別の海外へ転職する場合は頻繁にスカイプ面接が行われています。
日本にある企業に再就職を目指す場合は、一度は必ず日本で面接を受けなければなりませんが、帰国に合わせて日程を調整してもらうなどお願いをしてみましょう。
大切なことは無職の期間を作らないようにすることです。
僕自身は日本でも海外でも採用面接の面接官をしていましたが、志願者の職歴を見る時に無職の期間について必ず確認するようにしていました。それだけ企業側は気にしているということです。
また、海外赴任を任期半ばで終えても否定的になる必要はありません。
その経験があるからこそ次に進むことになったと思えば、そこには十分「気付き」があります。胸を張って、次の仕事を探しましょう。
以上となります。
海外赴任には様々な理由により辞めたくなることがありますが、それでも次の道は十分にあります。
日本では優秀だった人でも海外に出ればうまくいかないことはよくあることです。
自分を取り巻く環境により、実力が発揮できない人もたくさんいます。
自分の人生は自分のものです。海外赴任を辞めたいと思ったら辞めてもOKです。
ずるずると辛いまま過ごすことほど、時間がもったいないことはありません。
僕の好きなモットーで、「Seize My Life」という言葉があります。
意味は、「今を生きる」です。
今がうまくいくように自分で道を探していきましょう。
それでは、良い一日を!
ホールドアップとは、拳銃やナイフなどを突き付けられ、金銭や所有物を盗まれること。主に発展途上国に多い。