旅行会社に頼むと手数料っていくらくらいかかるんだろう。この前、JTBの一部店舗で相談料の徴収が実験的行われていたのもニュースで見たことがあるし、どういった仕組みになっているんだろう。
この記事は、そんな疑問に答えます。
- 旅行会社のサービスとは?
- 旅行会社の手数料や旅行業務取扱料金表
僕自身、旅行業界に長年携わり、たくさんの旅行手配をしてきました。
多い時で年間2000名の個人旅行者の旅行手配をして、たくさんの人に喜んでもらえるサービスをしてきました。
日本では「おもてなし」という文化が根付いており、有料でもよいサービスが無料サービスとなっていることはよくあることです。
以前、旅行会社最大手のJTBが首都圏の一部店舗にて旅行の相談に関しての相談料を試験的に導入したニュースがありました。
サービスに対して対価を求めることは普通のことですが、結果的に本格的導入は見送られました。
この記事では、「旅行会社のサービス」や「旅行会社の手数料や旅行業務取扱料金表」について、わかりやすく解説しようと思います。
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旅行会社のサービス とは?
まずは旅行会社の販売店舗ではどのようなサービス提供が行われているのか見ていきましょう。
- ツアーカウンターでの接客
- 電話やメール対応
- パンフレットの配布
- 質問に対しての現地への情報確認
- ホテルのレストランなどのメニュー取り寄せ
- ホテルや観光地の画像や動画の紹介
- 旅行の見積書作成
思い付いただけでも7個もありました。
僕自身が旅行会社で営業をしていた際、ピークシーズンの旅行の予約時期には営業時間がスタートすると電話が鳴り続け、2本電話を抱えるなんていうことはよくありました。
電話が鳴っていても、メールの問い合わせや飛び込みの来店接客にも対応し、営業時間中は120%で駆け回っているような状況でした。
それでは、具体的なサービスについて見てみましょう。
- ピークシーズン:ゴールデンウィーク、お盆、年末年始
- ピークシーズンの旅行の予約時期は3~4か月前が多い
ツアーカウンターでの接客
最近では来店予約制を導入している旅行会社も増えていますが、飛び込みで来店する人もたくさんいます。
旅行を相談しに来る人のタイプも目的も様々です。
- 旅行先を全く決めていない人
- 旅行先をいくつかに絞ってきている人
- 旅行先をすでに決めている人
- 航空会社を迷っている人
- ホテルを迷っている人
- 観光プランを迷っている人
- ホテルの客室や設備について詳しく聞きたい人
- 視察済みのスタッフに話を聞きたい人
- 他の旅行会社では取り扱っていなかったため相談に来る人
- 他の旅行会社で予約が取れず相談に来る人
上記のように様々なタイプの人にその都度対応できるスキルが必要となってきます。
稀にツアーカウンターでの接客が2時間、3時間もかかる時があります。
電話やメール対応
電話やメール対応もツアーカウンター接客と内容は同じようなものです。
電話に関しては、相手の顔が見えない分、表情を見て接客ができないため、旅行プランの案内をした際の感触がつかみにくいです。
旅行会社のトラブルの中でも「言った」「言わない」のトラブルは非常に多いため、電話対応した場合でもメールアドレスを伺って、電話の後に話した内容や旅行の金額を明記したメールを送るなどして、トラブルを回避するように努めることもあります。
メールに関しては、自社ホームページに届いた問い合わせはもちろん、「とらべるこ」などのメタサーチからの問い合わせも多いです。
パンフレットの配布
旅行パンフレットは、大手旅行会社で今現在も制作され販売店舗に陳列されています。
カウンター接客の際に使用したり、旅行検討のための資料として渡したりします。
旅行パンフレットは1年間に2回から4回程の差し替えがあり、最近のパンフレットでは有効期限を明記するようになりました。
また、ツアー代金に関しては別冊で対応している旅行会社もあります。
中堅の旅行会社では、ツアー代金の表示なしのホテル紹介や都市紹介だけのパンフレットを制作している会社もあります。
最近は料金の変動も激しいため、ツアー代金に関しては全てWEBサイト上に掲載しているツアーで確認できるようにしている旅行会社もあります。
新型コロナの影響で旅行の販売方法もオンライン化が進み、今後、紙のパンフレットはなくなっていくでしょう。
質問に対しての現地への情報確認
接客をしていると、現地ホテルや観光、移動手段などに関して、たくさんの質問を受けます。
飛行機のルートや空港での乗り継ぎ時間に関しては、航空予約システム(GDS)にて確認ができますが、現地ホテルなどに関することはすぐに回答ができないことも多々あります。
例えば、次のような質問に関しては現地支店や現地ランドオペレーターに確認することが多いです。
- ホテルのベッドサイズ
- ホテルのルームサービス
- ホテルに子供用のベッドがあるかどうか
- ホテルでのアクティビティ
- ホテルのガラディナーの内容
- レストランのラストオーダーの時間
- スパの最終受付時間
- 祝日やイベント時の観光地の営業の有無
- 送迎車の車両の種類や定員
書き出すときりがありませんが、こういった質問を現地支店や現地ランドオペレーターに確認すると即日回答もできないことが多く、翌日や数日後に回答することもあります。
質問を受けると、旅行の際にどういったことを気にしているのか、どういったことを事前に知りたいのかを知ることができます。
旅行業界に長年携わると、「旅行会社の当たり前」という変な基準ができてしまい、顧客側の本質を見失いがちになるので、こういった質問は原点回帰のきっかけになります。
ホテルのレストランやスパのメニュー取り寄せ
ホテルのレストランやスパのメニューに関してはよくある質問の1つです。
「ホテルのレストランでディナーを取りたいけど、メニューを取り寄せてほしい」「ホテル滞在中にスパをしたいけど、事前に予約しておきたいからメニューを取り寄せてほしい」などの質問に対しては臨機応変に対応します。
これも現地支店や現地ランドオペレーターに確認をしますが、もしホテルの営業所や総代理店が日本にあれば、そこに確認する場合もあります。
ホテルや観光地の画像や動画の紹介
ホテルや観光地の情報提供に関しては、旅行会社の腕の見せどころです。
インターネットでホテルの情報や観光地の情報を調べることが多いですが、商用利用可能な同じ写真を目にすることはよくあることです。
ホテルの公式ホームページを見てもイメージ画像は少ないですし、観光局のホームページを見ても情報がそこまで多くはありません。
そこで旅行会社のスタッフが現地視察をしていれば、視察の際の写真や動画を見せることができます。
旅行会社が行う視察ではホテルの部屋やレストランをチェックしたり、観光地への行き方やツアーの導線などもチェックするため、より旅行者目線の写真や動画で情報提供ができます。
現地視察時の写真や動画は「活きた情報」として、予約の成約率を上げるツールの一つにもなります。
ただ、一度の視察で500枚、1000枚と写真を撮るため、旅行会社のスタッフが視察後に写真や動画をきちんと整理や管理をしているかは別問題です。
また、情報のアップデートという点では古い情報のままということもあり、情報の管理をしっかり行わなければなりません。
旅行の見積書作成
旅行の相談を受けた際、パッケージツアーの内容に当てはまらない場合は手配旅行として、その都度見積書を作成します。
もちろん料金に関しては、現地支店や現地ランドオペレーターに確認する必要があるため、即日案内できる見積書もあれば、見積書作成に数日かかるものもあります。
また、旅行の見積もり一括サイトからの問い合わせがあれば、他旅行会社との相見積もりとなるため、どのような価値提供ができるかをしっかりと組み込まなければなりません。
このように旅行会社の接客ではたくさんのサービスがあることがわかります。
旅行会社の手数料や旅行業務取扱料金表
旅行会社ではいろんなサービスを行っていることが分かりましたが、以前、旅行会社最大手のJTBが首都圏にある2店舗で来店での旅行相談については標準旅行業約款に則って旅行相談料を徴収するという試験的導入を行いました。
- 国内旅行の相談は30分2160円、以降30分ごとに2160円
- 海外旅行の相談は30分5400円、以降30分ごとに3240円
- 旅行相談から10日以内に申し込めば、相談料は旅行代に充てられる
これは、標準旅行約款の旅行相談契約の部・第二条に準ずるものとなっています。
■ 標準旅行業約款
旅行会社は旅行相談料を含めた旅行業務取扱料金表を旅行者に閲覧できるようにしなければなりません。
JTBでも国内旅行と海外旅行の旅行業務取扱料金表を掲示しています。
■ JTB 旅行業務取扱料金表(引用:JTBホームページより)
旅行業務取扱料金に従って、チケット等の手配をすると次のような手数料がかかります。
- 鉄道の手配:取扱料金1080円
- レストランの手配:取扱料金5400円
- 出入国カードの入手作成:取扱料金3240円
いろんな項目で旅行業務取扱料金が決まっています。
各社の旅行業務取扱料金
国内旅行と海外旅行の各社の旅行業務取扱料金は次の記事をご覧ください。
JTBが相談料を設定?主要旅行会社15社の国内旅行相談料金の比較
海外旅行の相談料はいくら?主要旅行会社の相談料を比較してみた
旅行相談料のポイント
各旅行会社は標準旅行約款に基づいて、今回のような旅行相談料を徴収してもよいということになりますが、旅行相談については無料のサービスとして対応している旅行会社がほとんどです。
弁護士や弁理士などに相談する際は相談料がかかっても相談しますが、旅行に関しては相談してもお金はかからないというような固定概念がすでにあります。
価値あるサービスを提供する=お金がかかる
これはビジネス上、正しいことです。
そのため、今回のJTBの取り組みはとても評価できるものでしたが、結果として本格的導入に至らず、非常に残念でした。
ポイントとしては2つあります。
- 旅行相談料金を支払う慣習が今までない
- 旅行会社のスタッフが価値ある対応や情報提供ができているかどうか
本来は旅行業の取扱いの際の専門的な業務に対して旅行業務取扱料金は発生しますが、旅行相談料に関しては相談した内容の返答がきちんとあるかどうかがポイントになりがちです。
つまり、旅行先の知識があるかどうか、宿泊先の知識があるかどうかなど「専門的知識」があるかどうかで満足度が変わってくるのが現実です。
旅行における「専門的知識」とは、航空会社の知識、ホテルの知識、旅行先の知識など幅広いものとなります。
質問しても旅行会社は分からなかった、担当者はその旅行先に行ったことがなかったなどがあれば、旅行相談料に値しなかったと思われることになってしまいます。
この問題は別の記事「旅行会社&旅行業界の課題や問題点は?現状と新型コロナ後はどうなる?」で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
以上となります。
旅行会社の手数料や取扱料金は奥が深いですね。
「価値を売る」、それは何も間違っていませんし、しっかりと取り組んでいくべきことです。
それをしない場合はいつまで経っても利益率は上がっていかないでしょう。
それでは、良い一日を!
第二条 この約款で「旅行相談契約」とは、当社が相談に対する旅行業取扱料金(以下「相談料金」といいます。)を収受することを約して、旅行者の委託により、次に掲げる業務を行うことを引き受ける契約をいいます。
一 旅行者が旅行の計画を作成するために必要な助言
二 旅行の計画の作成
三 旅行に必要な経費の見積もり
四 旅行地及び運送・宿泊機関等に関する情報提供
五 その他旅行に必要な助言及び情報提供