航空券の値段をインターネットで調べていたけど、なんでパッケージツアーの値段の方がお得感があるのかな。。。航空券だけだと割高になっちゃう。。。旅行会社の航空券の仕組みはどうなってるんだろう。。。
この記事は、そんな疑問に答えます。
✔ 本記事の内容
- 旅行会社が扱う航空券の種類
- 海外旅行を予約する前に知っておくべき航空券の仕組み
- パッケージツアー用の航空券の注意事項
- パッケージ旅行と個人旅行はどっちが安い?
こんにちは、ツバサです。
僕自身、旅行会社で長年働いてきた中で好きな業務の1つが「航空仕入れ」です。航空仕入れとは、航空会社の営業マンとどのようにパッケージツアーで販促をしていくのかを話し合ったり、路線ごとの施策を考えたり、座席の確保のための交渉をしたりと、とてもダイナミックな業務で好きな仕事です。
旅行会社で働くまでは航空券の仕組みについて全く知らず、航空仕入れの業務を通して、いろいろな種類やルールがあることを勉強しました。消費者の視点から見ると、航空券のみだとなんで割高なのかと疑問に思うはずです。
この記事では、旅行会社が取り扱う航空券の仕組みについて、詳しく解説したいと思います。
旅行会社が扱う航空券の種類
旅行会社が取り扱う航空券にはいくつかの料金種別があります。
主に3種類です。
- 包括旅行運賃(IT運賃)
- PEX運賃(正規割引運賃)
- 正規運賃
包括旅行運賃(IT運賃)
包括旅行運賃(IT運賃)とは、旅行会社がパッケージツアーに使う航空券のことをいいます。
この包括旅行運賃は、料金の面で一番安く設定されています。旅行会社のパッケージツアーが安いのはこのためです。ただし、包括旅行運賃を利用する場合、諸条件が課されています。
- 航空券単体での販売不可
- 片道航空券のみの利用不可
- 宿泊や送迎、ツアーなどを組み込んだパッケージツアーにしなければならない
- 航空券の滞在日数に制限がある(例:最低2泊、最高10泊など)
- 航空券の発券期限がある
- 発着地の変更不可、及びルート変更不可
上記のような条件が多いため、航空券の料金が安くなっているといったようなイメージです。
PEX運賃(正規割引運賃)
PEX運賃(正規割引運賃)は、航空会社がそれぞれのホームページで販売している航空券です。基本的には包括旅行運賃よりも高くなります。
例えば、日本航空の「エコノミーセイバー」や全日空の「エコノミーバリュー」のような航空券がPEX運賃にあたります。
PEX運賃は、出発日の365日前から販売をするなど、旅行開始日のかなり前から予約が可能な航空券となります。
旅行会社でPEX運賃を販売する場合、一番気を付けないといけないことは「航空券の発券期限」です。包括旅行運賃にも発券期限があり、出発日の3日前や7日前までに発券しなければなりませんが、PEX運賃の場合は航空券の予約後72時間以内や1週間以内までに発券しなければなりません。
そのため、PEX運賃の発券期限が「予約後72時間以内」の場合は、出発日が半年後でも、今日航空券を予約したのであれば、明々後日までに航空券を発券しなければなりません。
航空券を発券をするとどうなるのかというと、変更ができなかったり、変更するには手数料がかかったりします。
正規運賃
正規運賃とは、航空会社が一般販売している一番料金の高い航空券のことをいいます。また、正規運賃のことを「ノーマル運賃」ともいいます。
旅行会社が正規運賃の航空券を利用する時は、2パターンしかありません。
- 座席が混雑しており、一番高い航空券でもお客様が航空券を必要な時
- 旅行会社側のミスで包括旅行運賃や正規割引運賃が空いておらず、正規運賃でしか航空券を確保ができない場合
正規運賃は料金が一番高いこともあり、出発当日でも空席があれば、航空券の発券が可能となります。
海外旅行を予約する前に知っておくべき航空券の仕組み
航空券の予約クラス(ブッキングクラス)
航空券には、エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスと座席クラスが分かれていますが、料金体系はさらに細分化されています。
例えば、航空会社によってはエコノミークラスの中で料金体系が10種類もある場合があります。料金体系を分けるために「予約クラス(ブッキングクラス)」を設定し、細分化しています。
【例:〇〇航空会社・日本発バンコク行き・エコノミークラス】
予約クラス | V | L | Q | W |
航空券代金 | 35,000円 | 40,000円 | 45,000円 | 50,000円 |
日本航空の場合、同じエコノミークラスでも、次のような商品名で航空券の料金体系を分けています。
- エコノミースペシャルセイバー
- エコノミーセイバー
- エコノミースタンダード
- エコノミーフレックス
このように同じエコノミークラスでも「予約クラス」を分けることで航空券代金を分けていますが、同じエコノミークラスのため、機内サービスには違いはありません。ただし、航空券の諸条件をそれぞれの料金体系ごとに設定しています。
例えば、一番安いタイプの航空券は変更不可、事前座席指定不可、マイレージ加算不可などの条件があったり、一方で料金の高い航空券は変更可能、事前座席指定可能、マイレージ加算可能などの条件があったりもします。
また、最近の航空会社では「レベニューコントロール(Revenue Control)」を行っています。レベニューコントロールとは売り上げを管理することです。そのため、エコノミークラスでも安い料金種別の航空券は、全体の〇〇%の座席数しか販売しないというような仕組みになっています。
包括旅行運賃の予約解禁日
旅行会社の座席確保は年々厳しくなってきています。
例えば、航空会社が自社ホームページで販売している正規割引運賃などの航空券については、出発日の365日前から購入が可能です。
しかし、旅行会社が包括旅行運賃を使用してパッケージツアーを販売する際、航空会社側から「〇〇月〇〇日まで包括旅行運賃を使った航空券予約をしないように」というルールが課されます。そのため、旅行会社はその「予約解禁日」まで航空券予約ができないのです。
例えば、2020年4月出発の航空券を予約したい場合は次のようなイメージとなります。
- 航空会社の正規割引運賃は前年の2019年4月から予約が可能
- 旅行会社は、包括旅行運賃を利用した2020年4月出発の航空券の予約解禁日が2020年1月のため、2020年1月から予約が可能
しかし、旅行会社は予約解禁日からツアーを販売していては販促期間の大幅なロスとなってしまいます。そのため、予約解禁日前でもパッケージツアーを先行して販売しています。そのため、予約解禁日にはすでに受注している旅行の航空券予約を各旅行会社が一斉に行います。
このようなルールの背景には、航空会社の「直販強化」の意図があると思われます。
旅行会社の包括旅行運賃を利用した座席確保
正規割引運賃が365日前から販売されているため、旅行会社は包括旅行運賃を利用した座席の確保に常に奔走しています。
座席を確保するには3つの方法があります。
- 航空券システムで空席状況を調べる
- 航空会社から座席を事前に買い取る
- 航空会社からブロックを仕入れる
航空券システムで空席状況を調べる
旅行会社は航空券システムを使用して、空席状況を調べたり、飛行ルートを調べたりしています。主に使用する航空券システムは次の3つです。
- AXESS(アクセス)
- INFINI(インフィニ)
- AMADEUS(アマデウス)
これらの航空券システムを使って、お客様から問い合わせが来た際に空席状況を調べ、空席があれば確保する流れとなります。
航空会社から座席を事前に買い取る
旅行会社が事前に航空会社から座席を買い取ることはあまりありません。なぜなら、旅行会社がリスクを取れないのです。
しかし、ゴールデンウィークや年末などの繁忙期に関しては、事前に座席を買い取ることがあります。そのため、ゴールデンウィークや年末年始のパッケージツアーで「延泊不可」のツアーがあるのは、旅行会社側が航空券の座席を事前に買い取りしており、フライトパターンが決まっているためです。
また、そのような繁忙期のシーズンは、直前になると「ラストミニッツ」などと題してパッケージツアーが叩き売りされているのをよく目にします。それも旅行会社側が事前に航空券の座席を買い取っており、赤字額を少しでも減らすために直前の叩き売りをしています。
航空会社からブロックを仕入れる
旅行会社の販売実績が良い場合は、航空会社から旅行会社へ買い取りなどのリスクがない事前座席配分をすることがあります。
それを「ブロック」や「アロット」と言います。
例えば、航空会社から旅行会社へ、成田空港出発・ベトナム・ホーチミン行き3泊5日のフライトパターンにて毎日4席ずつブロックを事前提供します、というような流れです。
このブロックやアロットは出発日前日まで旅行会社側で保有しておくことはできず、出発の30日前や2週間前に販売できなかった分の座席を航空会社へ返席することになります。
このブロックやアロットを持っているか、持っていないかで旅行会社の販売実績は大きく変わってきます。
パッケージツアー用の航空券の注意事項
航空券の料金の面では、旅行会社がパッケージツアーに使っている包括旅行運賃が一番安いことがわかりました。
それでは、「海外旅行に行くなら旅行会社のパッケージツアーが一番お得!」と思いますが、「安い=条件」があるということを忘れてはいけません。旅行会社のパッケージツアーを利用する際、下記のことをチェックしておいた方がよいでしょう。
- マイレージ加算が可能かどうか
- 事前座席指定ができるかどうか
- プリチェックイン(事前チェックイン)ができるかどうか
包括旅行運賃利用の場合、一般的にはマイレージ加算ができなかったり、加算率が非常に低かったりします。マイレージを集めている人にとっては厳しいところかもしれません。
また、事前座席指定ができないことが多いです。ハネムーン旅行やカップルでの旅行などの場合は必ず確認しておいた方がよいでしょう。飛行機がとても混雑していて、空港でのチェックインがギリギリになってしまうと席割れすることがあります。何時間も同行者と座席がバラバラなのは辛いところです。
さらに航空会社によってはプリチェックイン(事前チェックイン)ができないこともあります。事前にチェックインをすることで、チェックイン当日にチャックインカウンターで「チェックイン済み」のレーンに並ぶことができたり、事前に席割れ回避をすることもできるので事前にプリチェックインができるかどうかを調べておきましょう。
航空券のトラブルについては別記事でも書いていますので是非ご覧ください。
パッケージ旅行と個人旅行はどっちが安い?
旅行会社のパッケージツアーが一番安いと思いますが、ここ最近では航空会社の直販強化が加速しており、正規割引運賃でもとても安い航空券が発売されるようになってきました。
ただし、座席数に限りがあることと早期予約が必要なため、旅行開始日の1か月や2か月前ではそれらの安い正規割引運賃の航空券を見つけることはできないでしょう。
近年、お客様の中には個人手配の際の値段と旅行会社のパッケージツアーの値段を細かく比較している人もいます。値段を調べる際は次のような比較サイトやOTAを使うと調べやすいです。
旅行時期や探すタイミングによりますが、海外旅行はうまく探せば、旅行会社のパッケージツアーが安い時もあれば、個人手配が安い時もあります。
旅行会社を利用する場合のメリットやデメリットについては、別記事で書いていますので是非ご覧ください。
以上となります。
旅行会社の航空券の仕組みはいかがでしたでしょうか。細かく言うともっと書くことができるのですが、まずは一般的な航空券の仕組みを紹介しました。
航空券は奥が深いですよね。
それでは、良い一日を!