【旅行会社社員が教える】旅行会社&旅行業界の課題や問題点は?

【旅行会社社員が教える】旅行会社&旅行業界の課題や問題点は? 旅行会社&旅行業界

旅行会社や旅行業界への就職を目指しているけど、旅行会社の今の課題は何だろう。。。働いたことがないし、今現場で発生している課題を知りたいな。。。

この記事は、そんな疑問に答えます。

✔ 本記事の内容

  • 現在の旅行者の購買状況
  • 旅行会社の販売における課題
  • 旅行会社の商品企画における課題

僕自身、旅行会社で営業や商品企画、仕入れの業務を長年経験し、日本での旅行業経験と海外での旅行業経験の両方で課題に直面してきました。リテーラーとランドオペレーターにおいて、現場で直面した課題を元に、この記事では「現在の旅行者の購買状況」や「旅行会社の販売における課題」、「旅行会社の商品企画における課題」を詳しく解説したいと思います。

旅行会社に就職や転職をしたい方や旅行会社の現場の声を知りたいという方は、是非この記事を読んでみてください。

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【旅行会社社員が教える】旅行会社&旅行業界の課題や問題点は?

現在の旅行者の購買状況

海外旅行に行く際にどのように旅行手配をしているのかというのは、とても興味深い話です。旅行会社を通してなのか、自分で手配するのか、いろんなパターンがあるでしょう。

  • 旅行会社でパッケージツアーを購入
  • 旅行会社で航空券購入&ホテル公式WEBからホテル購入
  • 旅行会社で航空券購入&ホテルはOTAから購入
  • 航空会社のWEBで航空券購入&ホテル公式WEBからホテル購入
  • 航空会社のWEBで航空券購入&ホテルはOTAから購入
  • 航空会社のWEBで航空券購入&ホテルは旅行会社から購入
  • マイレージを使って航空券購入&ホテル公式WEBからホテル購入
  • マイレージを使って航空券購入&ホテルは旅行会社から購入
  • マイレージを使って航空券購入&ホテルはOTAから購入

上記の通り、いろんな購入パターンがあり、オプショナルツアーまで考えるとさらにパターンが増えます。それだけ、購入先の選択肢が増えたということやインターネットで情報を得ることができるため、購入方法も変化してきたということでしょう。

昨年、JTB総合研究所が発表した「海外観光旅行の現状2018」は、とても興味深く、現在の旅行手配方法を物語ったデータが掲載されていました。

次の資料は、「性年代別旅行形態」のデータです。

※引用先:JTB総合研究所「海外観光旅行の現状2018」

このデータを見る限り、海外旅行慣れをしている40代の男性、女性の50%以上が、航空券やホテルをすでに別々に購入していることがわかります。50代の男性では60%以上がそれに当たります。

次の資料は、「旅行商品の購入・申し込み先」のデータです。

※引用先:JTB総合研究所「海外観光旅行の現状2018」

このデータでは、40代・50代の男性、40代の女性において、航空会社の直販サイトやホテルの直販サイト、オンライン専門の宿泊&旅行予約サイト(OTA)を利用しており、すでに旅行会社の利用が大幅に減少しています。

僕自身が旅行業界に入った時は、海外旅行のパッケージツアーを雑誌に掲載し販売をしていました。今では考えられませんが、タウンページのように200ページくらいある雑誌で月刊誌となっていました。毎月旅行商品の入稿に追われていたことを思い出します。

その頃に海外旅行に行っていた方々が今は40代、50代になっており、海外旅行に慣れ、すでに旅行会社離れをしており、自己手配で航空券やホテルを予約していることが予想されます。

最近では、パッケージツアーの金額と自己手配の金額を比較するのは当たり前となっています。

旅行会社の販売における課題

今までに海外旅行の相談のために旅行会社のツアーカウンターに足を運んだ人やインターネットを使ってホテル予約サイトやオプショナルツアー予約サイトを調べた人はとても多いと思います。

旅行会社もウェブの予約サイトもそれぞれの課題がありますが、まずは、旅行会社の現状や課題から見てみましょう。

旅行会社の現状や課題

旅行会社でよく直面することは次の通りです。

  • 担当スタッフの知識がなかった
  • ホテルについて質問しても答えてもらえなかった
  • 現地視察をしているスタッフがいなかった
  • インターネットで調べていたホテルの取り扱いがなかった
  • 現地に確認しますという回答から数日かかった

10年前と比べ、現在の旅行会社が取り扱う旅行都市や航空会社、ホテルなどの数はとても増えており、旅行会社の販売スタッフの知識だけではすでにカバーできない取り扱い量になってい状況です。

例えば、ハネムーン旅行先として人気のあるモルディブの旅行商品は、現在80ホテルの程の数の商品が日本では販売されています。モルディブに6日間視察に行ったとしても、視察できるホテルの数は15~18ホテル程のみです。これにより販売スタッフが「知らない」という状況は必然となってしまいます。

  • 販売スタッフ全員が取り扱い都市やホテルの視察に行くことはできない
  • 取扱商品全ての販売マニュアルがない
  • 販売スタッフの知識=インターネットで調べることができる知識
  • ホテル側が旅行代理店に対して勉強会を実施するのは稀
  • 取り扱い全ホテルの勉強会は物理的に不可

上記から旅行会社の現場、特に大手旅行会社は様々な課題を現在抱えており、販売スタッフは日々苦労をしています。

実際、旅行会社を通さず自己手配している旅行者は、それなりの知識を持っており、旅行会社が扱わないホテルの予約をしていたり、旅行商品にない都市や島に足を運んでいます。

OTAなどのオンラインエージェントの現状や課題

OTAなどのオンラインエージェントで手配をした際に直面することは次の通りです。

  • WEB上の情報はジェネラルインフォーメーションのみ
  • 現地で発生するサービスチャージ等の費用の記載がわかりにくい
  • ホテルに関する質問ができない
  • ホテル滞在中に行いたい特別手配などができない

例えば、ホテルの客室の予約をOTAを通して予約をした後、念のためフライト情報を伝えようと思ったら、ホテルへ直接英語でメッセージをしなければなりません。また、リゾート地のホテルをOTAで予約した際、例えば、ビーチサイドでロマンティックディナーをアレンジしたいとなった場合もホテル側へ直接英語でメッセージをしてやり取りをしなければなりません。特別に何かを手配したい場合は旅行会社を通した方が楽な場合が多いです。

また、OTAではトラブルも多く発生しています。

特に現地で別途サービスチャージや税金などの追加代金が発生したり、現地に予約が入っていない問題はメディアでも頻繁に取り上げられていました。

僕の知り合いでホテルを経営している方がいますが、ホテルの部屋はすでに満室で空いていないのに、契約をしていないOTAのWEBサイトでは在庫表示されていたという話を聞いたことがあります。

この事例からわかることは、OTAは直接契約のホテルもあれば、二次卸しで販売されているホテルもあるということです。

  • 直接契約=OTAがホテルと直接契約し在庫管理している
  • 二次卸し=OTAが別のOTAや旅行会社を通してホテルの販売をしている

また、僕自身の海外勤務の経験では、お客様が航空券と現地送迎は旅行会社で購入、ホテルはOTAで別購入しており、ホテルチェックインの際に部屋の予約が入っていなかったということがありました。その際、OTAの緊急連絡先は国外となっており、結果としてホテル手配にタッチしていない旅行会社側がホテルのトラブルをフォローすることになり、トラブル解決までとても時間がかかりました。

自己手配をしている旅行者だけでは解決できないといっても過言ではありません。

  • 客室の予約以外のことはホテルへ英語でメッセージの必要がある
  • OTAでの料金表示がわかりにくい
  • 旅行者からはOTAの二次卸しはわからない
  • 緊急連絡先が国外の場合、旅行者だけでは対応できない場合が多い

このように旅行会社にもOTAにも様々な課題が見受けられます。

旅行会社の商品企画における課題

続いて、旅行会社の商品企画の課題を見ていきましょう。

旅行会社の旅行商品を見ると、同じようなツアーを取り扱っているなと感じることが多く、取り扱いホテルのラインナップを見ても同じようなものが多いです。

例えば、世界遺産アンコールワット遺跡で有名なカンボジア・シュムリアップにあるホテルを調べてみると、口コミサイトで有名なトリップアドバイザーでの人気ランキング(宿泊者の評価順)は次の通りです。

1位ジャヤハウスリバーパーク
2位シンタナサヤレジデンス
3位ロータスブランホテル
4位ビロースホテル
5位セントラルスイートレジデンス
6位ザプリビレッジフロア@ロータスブラン
7位ゴールデンテンプルブティック
8位ゴールデンテンプルリトリート
9位ゴールデンテンプルレジデンス
10位シンタマニホテル

このランキングはこの記事を書いた日に調べたランキングです。

上記トップ10の中で日本の旅行会社が旅行商品化をしているホテルは、ロータスブランホテル、ビロースホテル、シンタマニホテルくらいでしょうか。ロータスブランホテルとビロースホテルに関しては、僕が知る限り1社ずつしか取り扱いをしていません。しかしながら、実際の口コミは日本人の旅行者がたくさんいるのが現状です。

このように世間一般的に旅行者から評価されているホテルが、日本の旅行会社では旅行商品化されていないという現状があります。

取り扱えない理由は次の通りです。

  • ホテルと契約自体ができない
  • ホテルのキャンセル規定が日本の旅行業法に合わない
  • 旅行会社側が買い取りできない
  • 旅行会社側が保証金等を先に支払ってでも契約を取りに行かない
  • ホテルと契約出来ても在庫が確保できない
  • 旅行会社自体がそのホテルを知らない

単純に考えると、旅行者が実際に評価しているホテル、例えば、上記のトップ10のホテルを旅行商品化して販売すれば、売り上げも伸びると思いませんか?

しかし、それが旅行会社にはできないのです。

今の日本の旅行業法は世界の中ではとても観光後進国並みの業法です。特にキャンセル規定です。海外のホテルのキャンセル規定の多くは、日本の標準旅行業約款(*募集型企画旅行=パッケージツアーの場合)ではカバーできないものとなっています。

■ 標準旅行業約款(引用:国土交通省・観光庁)

区分取消料
(一)本邦出国時又は帰国時に航空機を利用する募集型企画旅行契約(次項に掲げる旅行契約を除く。)
ィ 旅行開始日がピーク時の旅行である場合であって、旅行開始日の前日から起算してさかのぼって四十日目に当たる日以降に解除するとき(ロから二までに掲げる場合を除く)旅行代金の10%以内
ロ 旅行開始日の前日から起算してさかのぼって三十日目に当たる日以降に解除する場合(ハ及び二に掲げる場合を除く。)旅行代金の20%以内
ハ 旅行開始日の前々日以降に解除する場合(二に掲げる場合を除く。)旅行代金の50%以内
二 旅行開始後の解除又は無連絡不参加の場合旅行代金の100%以内
注 「ピーク時」とは、十二月二十日から一月七日まで、四月二十七日から五月六日まで及び七月二十日から八月三十一日までをいいます。

※国土交通省・観光庁(標準旅行業約款)ホームページはこちらから

このように旅行会社は、通常期であれば1か月前からしか取消料を徴収できないということになります。これにより、ホテルのキャンセル規定に合わなかったり、買取による在庫確保もできないということになります。

僕の海外勤務時の経験では、新しいホテルに契約をしたい旨の話をしに行った際に毎回ホテルの営業部長などからは「日本のルールは厳しいね」(ホテルにとったら30日前からしかキャンセル料の徴収ができないため)と言われました。

OTAではよくタイムセールなどで「Book&Buy(買い取り、即時決済)」というセールをしており、とてもお得な料金で掲載をしています。そういったことが旅行会社のパッケージツアーではできないということです。

*旅行会社側が手配旅行に切り替えれば取り扱いは可能となります。

旅行商品の内容が変わらない原因の1つにランドオペレーター現地斡旋の効率化を図るばかりにラインナップを増やさないことや現地にいるにもかかわらず最新情報を日本へ発信していないことや情報のアップデートをしていないということもあります。

  • 日本の旅行業法のキャンセル規定に合うホテルのみを扱っている
  • 旅行商品が世の中のトレンドとマッチしていない
  • パッケージツアーは受注型企画旅行
  • ランドオペレーターが最新情報をアップデートしなければならない

以上となります。

このように様々な課題を抱えた日本の旅行会社・旅行業界は、ターニングポイントに来ているかもしれません。旅行会社の生き残る道はどこにあるのでしょう。それは、別の記事でまた書きたいと思います。

課題がわかった今、自分なりにどのようにアプローチしたらいいか考えてみてください。

それでは良い一日を!