旅行会社のツアーを企画してみたいけど、ツアープランナーになるのは難しいのかな?ツアープランナーになるためのポイントとかがあれば知りたい。
この記事は、そんな疑問に答えます。
- ツアープランナーになるための6つのポイント
こんにちは、ツバサです。
僕自身、大学卒業後に旅行会社へ就職し、1年目から海外旅行の企画に携わりました。
中堅旅行会社ということもあり、企画専任というわけではなく、営業をしながら旅行企画を行っていました。
旅行会社のキャリアの中で一番の企画はというと、日本からの直行便のないフィリピンにある島にチャーター便を飛ばした企画です。
その島に飛ばしたチャーター便は日本マーケット初のチャーター便となり、フィリピン観光省からも評価を頂きました。
この記事では、ツアープランナーになるための資格や日々の業務、今後の課題について詳しく解説したいと思います。
これからツアープランナーを目指したい人や旅行会社で働きたいと思っている人、今実際に企画に携わっている人に是非読んでもらえればと思います。
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どういった目線でサービスを作っていくかが分かりやすく学ぶことができます。
旅行会社のツアープランナーになるには?大事な6つのポイントとは?
ツアープランナーとは、一言で言うと「旅行の企画」です。
旅行は形のない商品ですが、飛行機やホテル、送迎、観光、食事などを組み合して旅行を作ります。
そんなツアープランナーになる上で大事な6つのポイントがあります。
- ツアープランナーとは?
- ツアープランナーに役立つ資格
- ツアープランナーの働き方
- ツアープランナーの日々の業務
- ツアープランナーの大事なこと
- 今後のツアープランナーがやるべきこと
それでは、この6つのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
ツアープランナーとは?
まず初めにツアープランナーとは何かをしっかりと理解しましょう!
国内や海外の募集型企画旅行や受注型企画旅行のプランを立てて、航空会社や宿泊、観光ルート、移動手段などの具体的な内容を決めることがツアープランナーの仕事です。また、企画にも色々な種類があり、ハネムーン旅行、花見旅行、ショッピングツアー、修学旅行、社員旅行など旅行者が求めているものを理解しながら旅行企画をしていくマーケティングの要素も必要になってきます。
つまり、旅行先のトレンドも日々変わっているため、そういった情報にいつもアンテナを張って、旅行を企画していくことが大切です。
ツアーカウンターにカップルが来店して、ハネムーン旅行を企画提案するのもツアープランナー仕事になりますし、店頭に並んでいるパンフレットのツアーの企画をするのもツアープランナーの仕事になります。
ツアープランナーに役立つ資格
ツアープランナーになるための資格は特にありません。
ただし、ツアープランナーを目指す上で持っておいた方がよい資格が2つあります。
- 総合旅行業務取扱管理者
※国内旅行業務取扱管理者でもよいです - 旅程管理主任者
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それぞれの資格を取得しておくことで、ツアープランナーを目指す上でいろんなメリットがあります。
総合旅行業務取扱管理者 国内旅行業務取扱管理者 | 旅程管理主任者 (総合=海外、国内) | |
資格の種類 | 国家資格 | 準国家資格 |
難易度 | ★★★★★ | ★★★ |
試験時期 | 総合:10月 国内:9月 | 旅程管理登録研修機関 にて随時実施 |
費用 | 総合:6500円 国内:5800円 | 【座学(講義)】 総合:25000円 国内:15000円 【実務研修】 総合:約10万~15万 国内:10000円 |
試験内容 | 【総合】 法令、約款 国内旅行実務 海外旅行実務 【国内】 法令、約款 国内旅行実務 | 【総合】 3日間の講義 法令、約款 添乗基礎知識 語学(英語) 海外実務研修 【国内】 2日間の講義 法令、約款 添乗基礎知識 国内実務研修 |
【総合・国内旅行業務取扱管理者のメリット】
- 国内及び海外の地理や観光地に関して豊富な知識を得ることができる。
- ツアープランナーの業務で必要な航空会社コードや空港コードを覚えることができる。
- ツアーを企画する際に注意しなければならない法令や約款、旅程保証、特別補償、損害賠償責任などを勉強することができる。
【旅程管理主任者のメリット】
- ツアープランナーが実際に旅行者を連れて添乗することもあるため、添乗業務に必要な旅程管理者の資格を取得しておくと配属に有利。
- 資格取得の際に法令や約款、添乗基礎知識を勉強することができる。
- 添乗業務の目線を持つことで旅行企画の幅が広がる。
この2つの資格は大学在学中や転職活動前に取得しておくことで、エントリーシートや面接でアピールすることができます。
総合旅行業務取扱管理者や国内旅行業務取扱管理者の勉強をする人は多いですが、旅程管理主任者の資格は就職後に取得する人が多いため、就職前に取得しておくと他の人と差を付けることもできます。
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ツアープランナーの働き方
ツアープランナーの働き方は、旅行会社の規模によって異なります。
大手旅行会社では分業が多いため、企画部署というものがあり、ツアーの企画を専門として日々業務を行います。
また、大手旅行会社には販売店舗があるため、販売店舗に配属された場合は店舗のツアーカウンターで旅行の提案を旅行者に直接することができます。
中小旅行会社では分業は少なく、1人1人のスタッフがツアーの企画から旅行者への販売を行うことが多いです。
また、法人営業を担当している場合は、学校の修学旅行や企業の社員旅行など受注型企画旅行の企画・提案をすることができ、団体旅行の添乗業務も経験することができます。
- 大手旅行会社
企画部署を目指せばツアープランナーになれる。
販売店舗を目指せば旅行者に直接ツアーの提案ができる。
企業例)JTB、HIS、日本旅行、近畿日本ツーリスト - 中小旅行会社
ツアーの企画から顧客への旅行販売まで幅広い旅行業務を経験できる。 - 法人営業
受注型企画旅行として修学旅行や社員旅行などの団体旅行の企画・提案ができる。また、団体旅行の添乗業務も行うことがある。
上記のように旅行会社の規模や体制によって、ツアープランナーになるための就職活動が異なってきます。
旅行の企画に専念した仕事に就きたい場合は大手旅行会社を目指す、旅行の企画を含めた幅広い旅行業務を経験したい場合は中小旅行会社を目指す、団体旅行の取扱いや添乗業務を経験したい場合は法人営業を目指すというように、どんなツアープランナーを目指したいかをイメージしておくとよいです。
ツアープランナーの日々の業務
ツアープランナーの日々の業務について、僕自身が実際に中小旅行会社で企画担当をしていた時の具体的な業務を紹介します。
まずはツアープランナーの1日の業務のイメージを見ていきましょう。
10:00 始業、前日のツアーの受注状況のチェック
10:30 他社やメタサーチのツアー掲載状況のチェック
12:00 ランチ
13:00 ツアーの値付け
14:00 海外のホテルの営業マンが来社&商談(英語)
15:00 ツアー掲載作業
17:00 プレゼン資料作成
19:00 残業突入
日によっては会議や商談が多い日もあれば、旅行の企画を1日中行っている日もあります。
ツアープランナーの日々の具体的な業務を見ていきましょう。
- 他社のツアー販売状況の確認
(価格、航空会社、ホテル、観光内容など) - メタサーチエンジンの販売状況の確認
- 航空仕入れ(航空会社との料金交渉など)
- ホテル仕入れ(ホテルとの料金交渉など)
- 観光地の調査(観光コースや移動手段など)
- 観光省との商談
- ウェブサイトの特集データの作成
- ブローシャー(紙パンフレット)の制作
- スタッフや販売店舗への勉強会
- 顧客データの分析
他社のツアー販売状況の確認
ツアープランナーは旅行の企画をする際に、必ず他社のツアー販売状況を確認しなければなりません。
確認ポイントは、ツアーの旅行先、価格、日数、利用航空会社、利用ホテル、観光内容、食事条件など、チェックするポイントがたくさんあります。
旅行先の特性によって他社のツアー内容から利用ホテルを変えてみたり、観光ルートを変えてみたり、なるべく同じ内容にならないようなツアー企画をしていくことが多いです。
また、ハネムーンに人気の旅行先は他社と同じような内容のツアーで相見積もりを受けることが多いため、どのようなサービスの付加価値をツアーに付けることができるかも考えなければなりません。
メタサーチエンジンの販売状況の確認
各旅行会社は自社のホームページで旅行を販売しているだけではなく、メタサーチエンジンという外部のポータルサイトでも旅行を販売していることがあります。
代表的なメタサーチエンジンは、例えば、とらべるこ、トリップアドバイザー、ライントラベル、フォートラベルなどがあります。
自社ホームページでツアーを販売する場合は比較的ツアーの価格を維持したまま販売ができますが、メタサーチエンジンにツアーを掲載する場合は価格競争が激しく、他社ツアーとの価格と比較されます。
また、その価格がメタサーチエンジン内の掲載順位にも反映する仕組みになっています。
メタサーチエンジンでツアーを検索する人は、飛行機とホテルのみが組み込まれた単純なツアーや基本的な観光プランが組み込まれたツアーを探していることが多いです。
100円単位で料金勝負になることもあるため、日々ツアーの掲載状況の確認が必要です。
航空仕入れ(航空会社との料金交渉など)
ツアープランナーは航空券の仕入れ業務を行う場合もあります。
特に中小旅行会社の企画担当は、航空会社の営業担当とやり取りをすることが多く、航空券料金の仕入れを行います。
また、シーズンごとのキャンペーンを行う際にはキャンペーンの趣旨を航空会社の営業担当にプレゼンし、送客目標を伝えた上で特別料金の交渉をすることもあります。
大手旅行会社の場合は、航空仕入れの部署が別にあることが多いため、企画担当者が航空会社の窓口になることはありません。
ホテル仕入れ(ホテルとの料金交渉など)
ツアープランナーはホテルの仕入れ業務を行うこともあります。
旅行会社といっても全国のホテルと契約があるわけではありません。
契約のないホテルの問い合わせを受けた際は、各ホテルに連絡をして宿泊料金や諸条件を確認した上で旅行の企画を進めます。
また、海外旅行を取扱っている場合は、念に1回や2回、海外のホテルの営業マンが日本に来日し、商談をしに来社することがあります。
商談は基本的には英語で行われ、新規ホテルの取扱いをお願いされたり、プロモーションの依頼をされたりします。
今後はオンラインでの商談も増えてくるでしょう。
観光地の調査(観光コースや移動手段など)
ツアープランナーは旅行の企画をする際、旅程管理ができる内容をしっかりと考えた上で業務を進めなければなりません。
特に観光ルートや観光地の距離感、移動手段の安全性に関して、実際に現地視察を行い体験してみる必要があり、海外旅行の企画では、海外にある現地支店やランドオペレーターと協力をしながら、旅程管理ができる内容を作っていきます。
また、観光中のトイレの場所の確認や食事のメニューの選定もチェックしなければなりません。
観光省との商談
ツアープランナーは観光省とプロモーションの商談をすることもあります。
例えば、主に海外旅行を取扱う場合、日本に事務所のある外国の観光省と販促について打ち合わせをすることがあります。
例えば、これは実際の例ですが、チャーター便を飛ばす旅行企画の際に観光省に企画主旨を説明し、集客のためのプロモーション費用をサポートしてもらったことがあります。
この時も企画当事者のツアープランナーが観光省にプレゼンテーションを行います。
ウェブサイトの特集データの作成
これは主に中小旅行会社でよくありますが、ホームページに観光地やホテルの特集ページを掲載していることがあります。
それらの特集ページのデータは、ツアープランナーが作成していることがほとんどです。
これから新しく販売したい観光地を詳細にわたって紹介したり、新しいホテルをいち早く日本市場で販売するために客室や施設の紹介をしたりします。
大手旅行会社の場合はこのような特集ページはほとんどなく、会社として行うキャンペーンなどの特集ページがほとんどで、それらは販売推進課などの別の部署が作成します。
ブローシャー(紙パンフレット)の制作
オンライン化が進む現在、紙のパンフレットの制作業務は今後ほとんどなくなっていきますが、時と場合によっては紙媒体が必要になることもあります。
例えば、僕自身が旅行会社時代に行っていたのは、リゾートの紹介を雑誌風な記事の構成にして、滞在のストーリーが伝わるような紙媒体を作ったことがあります。
このような媒体を制作するのもツアープランナーの仕事になります。
今後は紙には印刷せずにオンライン上にウェブブローシャ―として掲載していくことが多くなり、スマホはパソコンからパンフレットと同じような情報や画像を閲覧することが主流になっていきます。
スタッフや販売店舗への勉強会
ツアープランナーは同じチーム内のスタッフや販売店舗のスタッフへの勉強会を実施して、旅行の企画内容の知識を落とし込まなければなりません。
これは大手旅行会社でも直面している問題ですが、ツアーの旅行先や取り扱うホテルの数が多くなっているため、実際にツアーを販売するスタッフの知識が追い付いていないということがよくあります。
その問題を未然に防ぐためには、情報の共有をしっかりすることと勉強会を実施して情報を落とし込む作業が必要になります。
ツアープランナーは旅行者へのアクションばかりではなく、社内へのアクションも重要になります。
顧客データの分析
ツアープランナーは半期ごとに実際に旅行予約をしてくれた旅行者のデータの分析をすることも必要です。
意外とこの部分ができていない旅行会社やツアープランナーが多いです。
旅行の申込みには、旅行者の性別、年齢、旅行先、旅行形態、旅行日数、旅行代金、利用航空会社、利用宿泊施設などいろんなデーターが含まれています。
それをしっかりと分析して、統計データを取りながら、次の旅行企画を進める必要があります。
この分析をすることで売れたツアーの傾向や売れなかったツアーの傾向がわかります。
ツアープランナーの大事なこと
ツアープランナーで一番大事なことは、「ストーリーを考える」ということです。
ストーリーを考えるというのは、旅行の始まりから終わりまでを1つのストーリーで考えるということです。
例えば、こんな旅行をプラニングする人がいます。
例)訪日外国人2名(男性30歳、女性28歳)
東京4泊→箱根2泊→高山1泊→金沢1泊→京都3泊→大阪2泊
東京4泊:錦糸町の4星ホテル
箱根2泊:強羅の高級旅館
高山1泊:高山市内の3星ホテル
金沢1泊:金沢市内の3星ホテル
京都3泊:京都市内のホステル
大阪2泊:心斎橋の4星ホテル
この旅程やホテル使いを見るとストーリーがないと思ってしまいます。
例えば、次のようなポイントです。
- 高級旅館に泊まる都市もあれば、ホステルに泊まる都市もある。
- 東京から箱根に行くのになぜ東京は錦糸町のホテル?!
- 高山1泊、金沢1泊の旅程で何ができる?!
こういうプラニングをする人は料金しか見ていなかったり、移動時間や現地での滞在時間をしっかりと理解していないことが多いです。
ツアープランナーは必ずストーリーを考えながら、旅行を企画しなければなりません。
今後のツアープランナーがやるべきこと
新型コロナの影響で今後の旅行の在り方は大きく変わっていきます。
団体旅行から個人旅行へ、都市から地方へ、バスからワゴンへ、そして環境に配慮した旅行へと変わっていくでしょう。
最近では「サステナブル」(地球環境の持続可能な発展)という言葉をよく耳にしますが、そういったテーマ性を旅行会社自体が発信していくと共に、旅行会社に所属している社員一人一人も意識をしていかなければなりません。
★参考資料★
Travelife
ツアープランナーとしては、サステナブルな旅行の企画を今後していくことが重要になってきます。
例えは、ホテルの選定にしても「プラスチック製品のアメニティを使用していないホテル」や「生ごみを食物栽培の肥料に還元するホテル」「環境に負担をかけないライトを使った客室のあるホテル」など、「サステナブル」のテーマ性を持ったストーリーを旅行の企画に組み込んで行くことが求められます。
やまとごころの村山氏が執筆した「観光再生」を読んでみましょう。サステナブルについて詳しく学ぶことができます。
以上となります。
ツアープランナーになるには、いろんなことを意識して取り組んでいく必要がありますが、とても遣り甲斐のある仕事内容です。
是非目指してみてください。
それでは、良い一日を!