SDGsに取り組む時、どんな問題点があるんだろう。取り組む前に問題点を解決する方法はあるのかな。
この記事は、そんな疑問に答えます。
- SDGsに取り組む際の問題点とは?
- SDGsを進める際に問題を未然に防ぐ解決法とは?
こんにちは、ツバサです。
企業がSDGsを導入したり、SDGsビジネスを構築する際、社内でいろんな問題が発生します。
新しい取り組みに反対する人もいれば変化を好まない人もたくさんいますし、SDGs自体をしっかり理解できていないまま進めてしまい計画倒れしてしまったり、結果としてSDGsウォッシュになってしまったりと問題点だらけになる可能性があります。
この記事では、実際に企業がSDGsに取り組む際に起こりうる問題点を挙げ、どのように解決していくかを紹介したいと思います。
当ブログ「ツナグ旅」を運営しているツバサが書いています。観光業のサステナブルツーリズムを考えるに当たり、SDGsを体系的に学びたいと思い、一般社団法人Beyond SDGs Japan「SDGsビジネスマスター」のコースを修了し認定を受けています。
SDGsに取り組む際の問題点とは?
SDGsは2015年9月に国連で採択された17の目標と169のターゲットを含む2016年から2030年までに達成するべき「持続可能な開発目標」です。
国連に加盟する193ヶ国がその目標を達成しようとしているため、ある意味、目標は大きく、そして漠然としている内容になっています。
そのため、企業単位でSDGsに取り組もうとすると理解度が浅かったり、中途半端になってしまい、結果として上手くいかないことがあります。
SDGsの取り組むで起こりうる問題点を紹介します。
- SDGsはCSRと同じと誤解する
- SDGsとして達成するべき目標の設定ができない
- 現状の改善をするフォアキャスティグになってしまう
- 会社の理念や価値観と大きなギャップがある
- 会社のトップが指揮を執れない
- 社員がSDGsビジネスにコミットできない
- SDGsウォッシュになってしまう
この7つのSDGsの問題点を詳しく解説していきます。
SDGsはCSRと同じと誤解する
一番よくありがちなことでSDGsをCSRと同じと思ってしまうことです。
SDGsは「持続可能な開発目標=Sustainable Development Goals」、CSRは「企業の社会的責任=Corporate Social Responsibility」になりますが、全くの別物になります。
SDGでは「環境保護」「社会的包摂」「経済開発」の3つの要素を含んでおり、社会課題や問題に対して環境を守りながら誰一人も取り残さず、経済活動を通して富を得ていくという内容です。
一方でCSRは寄付やボランティアを通して社会に貢献し、企業活動が社会に与えた影響に対して行動を起こそうという内容です。
この2つの大きな違いは、SDGsはビジネス化して収益を上げていくことになり、CSRでは本業で得た利益を使って取り組みに対して経費だけが掛かることになり、収益性はありません。
また、SDGsは達成するべき目標であり、CSRは考え方の1つとなります。
この違いをしっかりと理解していないと、「私の企業はCSRをやっているから、SDGsは必要ない」ということを言ってしまいます。
SDGsとして達成するべき目標の設定ができない
SDGsの取り組みやSDGsビジネスをする上で大事な考え方が「バックキャスティング思考」です。
バックキャスティング思考とは、現在の延長線上を考えるのではなく、未来のあるべき姿や未来の理想の姿を描き、今から取り組めることを考えていく方法です。
バックキャスティングで物事を考えようとしても情報がなければ未来のあるべき理想の姿は描けません。
そのため、情報不足により未来の理想の姿が描けず、その段階で議論が終わってしまい、結果SDGsに取り組めないということがよくあります。
バックキャスティングで未来のあるべき姿を描く際に重要になってくるのが「未来情報」です。
まずは事業にかかわること、業界にかかわること、地域や町にかかわることなどの未来情報をとにかく集めていく作業が必要になります。
その未来情報をもとに会社や事業の未来のあるべき姿を描きます。
未来のあるべき姿を描けたら、そこから逆算して行動を考えていきます。
現状の改善をするフォアキャスティグになってしまう
バックキャスティング思考ができない人がよくやりがちな考え方が「フォアキャスティング思考」です。
フォアキャスティング思考とは、今直面している問題を解決しながら、現在の延長線上にある未来に向かって進んでいく考え方になります。
例えば、今持っているリソースや強みを基本にして目の前の課題や問題を解決する方法を考えることです。
事業を進める時にその方法が必要なこともありますが、SDGsビジネスを取り組む上では革新的な変化は起きません。
そのため、フォアキャスティング思考で物事を進めると今の延長にある未来を想像はできますが、革新的なアイデアが出てこなかったり、視野が広がらないまま今のやり方に固執してしまうことが多いです。
会社の理念や価値観と大きなギャップがある
SDGsの取り組みやSDGsビジネスを進める上でとても大切なことが「価値観」や「理念」です。
それぞれの企業には価値観や理念がありますが、その価値観や理念に沿ったSDGsの取り組みやビジネスを考えましょう。
全く異なる価値観や理念をSDGsに求めてしまうと必ず途中で方向性がぶれていきます。
そのため、SDGsに取り組む際は企業にどのような価値観や理念があるのかを再度全社員が認識する必要があります。
一方で企業の価値観や理念と個人の価値観や理念に大きなギャップがある場合があります。
その場合は、それぞれの価値観や理念に共通点があるかどうか、組み合わせるとどういった価値観や理念になるのかを考えるとギャップもなくなていきます。
会社のトップが指揮を執れない
企業でSDGsの取り組みやSDGsビジネスを進める時、企業のトップが指揮を執った方がよいです。
現場主導でやってしまうといち部署だけが取り組もうとしたり、数名の社員だけが取り組もうとしたりして、うまくいきません。
そのため、経営陣からしっかりと落とし込みをして理解をした上で全社員に共感をしてもらい、目標達成に向けて取り組んでいく必要があります。
CSRの取り組みでもそうですが、最初の頃は活動内容な取り組み内容をホームページなどで発信していても、数カ月や半期経った後には更新もされず、消費者や取引先から見ても実態がわからなくなることがよくあります。
企業のトップが指揮を執ることで全社員が未来の理想の姿を共有し、行動を起こしていくことが必要です。
社員がSDGsビジネスにコミットできない
企業として新しい取り組みを負担に感じてしまう社員は必ずいます。
SDGsの取り組みやSDGsビジネスを進める上で社員によっては未来の目標を把握していなかったり、企業の価値感や理念を理解していなかったりすることがよくあります。
これは企業のトップが指揮を執って現場に落とし込んでも部署や社員によっては理解度の差が出てしまうためです。
中間管理職の社員がうまくチーム内の部下に対してコミュニケーションを続け、部下が取り組んでいける環境を作っていかなければなりません。
また、取り組みに対する部下の意見をうまく聞き出して、アイデアを磨いていくことで会社のプロジェクトにかかわっているという意識も強くなってきます。
理解度が深まり、共通意識を持てれば、日々の業務の負担とは感じずに進めていくことができます。
SDGsウォッシュになってしまう
企業としてSDGsの取り組みやSDGsビジネスを進める時に「SDGsウォッシュ」には十分に気を付けなければなりません。
「SDGsウォッシュ」とは、17の持続可能な開発目標に取り組んでいるように見せかけて、実態が伴っていないビジネスのことをいいます。
例えば、環境に配慮した商品を作って販売しているにもかかわらず、生産では児童労働を課していたり、環境汚染物を河川に流していたりすることです。
また、「サプライチェーン」として自社にかかわる取引先の取り組みに対しても目を配る必要があります。
どれだけ自社が社会や環境に良いことをしていても、取引先のパートナーが法令順守できていなかったり、環境汚染を続けていたりすると意味がありません。
SDGsウォッシュは、消費者からの信頼失墜や売上の低下、パートナーシップの解消、さらに金融機関からの融資ストップなどに影響します。
SDGsを進める際に問題を未然に防ぐ解決法とは?
SDGsの取り組みやSDGsビジネスを考えて進めていく際、目標達成までにはとても苦労してトライ&エラーの連続になります。
革新的なアイデアで未来の未来の理想の姿を達成するには、その苦労やトライ&エラーの繰り返しは普通のことです。
一番大事なことは未来のあるべき姿の共有や行動のスケジュールの共有、日々のコミュニケーションがありますが、次の3つを実施して問題を未然に防いで行きましょう。
- SDGsマインドを理解しフレームワークを行う
- SDGsビジネスでは他のリソースと掛け合わせる
- SDGsでは「WHY」を最初に考える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
SDGsマインドを理解しフレームワークを行う
SDGsを行う上で大事な考え方に「バックキャスティング思考」があるといいましたが、フレームワークを通して必ず社員に対してSDGsマインドを理解してもらう必要があります。
主なフレームワークは次の5つです。
- 未来の目標となる理想の姿を設定する。
- 未来情報から予測できる課題を書き出す。
- 未来の目標達成のためのアクションを考える。
- アクションプランのスケジュールを設定する。
- スケジュールに応じて実行していく。
このフレームワークでは「バックキャスティング思考」「未来情報」「リンケージ」が含まれています。
このフレームワークを通して、SDGsビジネスを考える際にどういった手順で進めていくのかをしっかりと理解する必要があります。
SDGsビジネスでは他のリソースと掛け合わせる
SDGsビジネスで未来の理想の姿を描いて、その目標を達成するには革新的なアイデアが必要になってきます。
それは、自社のリソースや業界内だけのリソースで物事を考えていては、革新的なアイデアが出てこないということです。
自社のリソースと他の業界のリソースを思い切って掛け合わせてアイデアを出し合うことで今まで思いもつかなかったアイデアが出てきます。
そして、そういったアイデアが未来の理想の姿の実現に必要になってきます。
例えば、僕が携わる旅行業・観光業では、例えば「ツアー」「航空会社」とか「ツアー」「ホテル」などの同じ業界内でいつも何かアイデアを出そうとします。
しかし、いつも同じような内容ばかりで大きな変化を作れそうな革新的なアイデアが出てきません。
そういう時に例えば、「ツアー」「eラーニング」「シェアサービス」を掛け合わせてみると今まで思いもよらないアイデアが浮かんでくるかもしれません。
他の業界のリソースの情報収集も怠らず、アイデアを出すためにどんどん掛け合わせてみるとよいでしょう。
SDGsでは「WHY」を最初に考える
新しい事業を考えたり、新しい取り組みをする際、「WHAT」や「HOW」の手段から考えてしまう人がとても多いと思います。
その場合どうなるかというと、プロジェクトを進めている時に芯がぶれ始めて、結果プロジェクトが失敗に終わることが多いです。
僕自身も今まで手段から入った新規事業の失敗をたくさん見てきました。
SDGsビジネスでは「環境保護」「社会的包摂」「経済開発」の3つの要素を含めながら取り組んでいかなければなりません。
その時に大事なことは「WHY(価値観や理念)」をしっかりと考えることです。
企業としての価値観や理念は何なのか、個人としての価値観や理念は何なのかを理解しないまま進めても、必ず失敗してしまいます。
SDGsビジネスはパートナーシップを構築しながら目標に向かって行動をしていきます。
その際、パートナーシップの構築に必要なことは手段ではなく価値観や理念です。
価値観や理念に共感して、パートナーシップが生まれます。
「WHY」探しには「ゴールデンサークル」のフレームワークを行いましょう。
ゴールデンサークルは、サイモン・シネック氏が提言した方法で、物事を説明する時は「WHY(なぜ)」「HOW(どうやって)」「WHAT(何を)」の順番で説明して共感を得るというやり方です。
ゴールデンサークルを通して、企業や自分の価値観や理念をしっかりと理解しましょう。
以上となります。
規模や範囲の広いSDGsを理解するのはとても難しいです。
しかし、しっかりとマインドセットをして取り組めば問題点も解決していくことができます。
「バックキャスティング思考」「未来情報」「リンケージ」「ゴールデンサークル」、この辺りをしっかりおさえて取り組んでいきましょう。
それでは、良い一日を!
リンケージは、いくつかの層に分けて課題を関連付けながら書き出していく方法になりますが、広い視野で関連付けられる能力を養うことができ、未来情報から身の回りや業界の回りで起きるであろうことへ連想していく力を養うことができます。