SDGsを勉強しているけど、CSRとCSVとの違いがよくわからないな。ESGっていう言葉も出てくるし、アルファベットだらけでよくわからない。詳しい解説があったらいいのに。
この記事は、そんな疑問に答えます。
- SDGsとCSRとCSVの違いとは?
- SDGsに関連するESGって何?
- SDGsの具体的な事例を紹介
- CSRの具体的な事例を紹介
- CSVの具体的な事例を紹介
こんにちは、ツバサです。
最近よく耳にする「SDGs」ですが、僕自身も知識がなかったため、ビジネススクールでSDGsビジネスについて深く学んでいるところです。
学んでいくうちに少しずつ理解できるのですが、SDGsをしっかりと理解していない人にとってはSDGsはCSRと一緒なんじゃないかって誤解していることがよくあります。
CSRに似た言葉でCSVというものもありますが、SDGsとCSRとCSVの違いを説明できる人は本当に少ないです。
そして、そこにESGという言葉が加わるともはや混乱してしまう人がほとんどです。
この記事では、SDGsとCSRとCSVの違いやESGについて詳しく解説し、具体的事例も紹介したいと思います。
当ブログ「ツナグ旅」を運営しているツバサが書いています。観光業のサステナブルツーリズムを考えるに当たり、SDGsを体系的に学びたいと思い、一般社団法人Beyond SDGs Japan「SDGsビジネスマスター」のコースを修了し認定を受けています。
SDGsとCSRとCSVの違いとは?
SDGsとCSRとCSVの違いから説明していきたいと思います。
まずはそれぞれ略語のため、正式名称を書いてみます。
- SDGs=Sustainable Development Goals
- CSR=Corporate Social Responsibility
- CSV=Creating Shared Value
英語で書くとよくわからないと思うので、日本語訳にしてみます。
- SDGs=持続可能な開発目標
- CSR=企業の社会的責任
- CSV=共創価値の創造
日本語訳にすると何となく意味が分かりますが、それぞれの言葉がどのような経緯で使われ始めたかも知っておきましょう。
「SDGs」は、2015年9月に国連で採択された17の目標と169のターゲットからなる国連に加盟する193ヶ国が2016年から2030年までに達成を目指す国際目標です。
SDGsでは、持続可能な開発を目指しており、3つの要素を求めています。
- 環境保護:環境を守ること
- 社会的包摂:誰一人取り残さないこと
- 経済開発:経済活動を通して富を生み出すこと
一方で「CSR」は1990年代ごろより使われ始めた言葉で寄付やボランティアなどを通して社会に貢献し、企業活動が社会に与えた影響に対して行動を起こしていくことになります。
そして、「CSV」は2011年にハーバード大学の教授のマイケル・E・ポーター氏らが提唱した言葉で社会的課題や問題を経済的な側面を持ってビジネス化して解決していくことになります。
このように文面にすると違いがわかります。
ただし、「SDGs」、「CSR」、「CSV」の一番の違いは、「SDGs」は具体的な目標であって、「CSR」や「CSV」は考え方ということです。
そこが一番の違いになります。
そのため、「SDGs」と「CSR」は全くの別物であり、「SDGs」と「CSV」は社会課題に対してビジネス化するところは似ていますが少し違います。
SDGsに関連するESGって何?
SDGsを学んでいると「ESG」という略語をよく目にすることになります。
ESGについても少しだけ説明しておきたいと思います。
「ESG」は3つの要素からなります。
- Environment=環境
- Social=社会
- Governance=企業統治
この3つの頭文字をとって「ESG」といいます。
ESGの原点になったのが、2006年にアナン元国連事務総長が発表した6つの原則を含む「責任投資原則=PRI(Principles for Responsible Invertment)」があります。
- ESGの課題を投資分析と意思決定プロセスに組み込むこと。
- 活動的な株式などの所有者になり、株式の所有方針と所有慣習にESGの課題を組み入れること。
- 投資対象の企業に対してESGの課題の適切な開示を求めること。
- 資産運用業界の中で本原則が受け入れられ、実行されることを働きかけること。
- 本原則の実行する際の効果を高めるために協働すること。
- 本原則の実行に関する活動や進捗の状況を報告すること。
これは短期的な利益のために不祥事を起こす企業が多く、それを防ぐ目的もあり発表されました。
投資家がこのPRIを守ることにより、投資先の企業は自ずとESGの環境や社会に配慮し、企業統治を遵守しなければならなくなります。
そのため、ESGに配慮しない企業は資金調達ができなくなり、消費者からの支持も失うことになります。
このESGを考慮する投資のことを「ESG投資」ともいいます。
SDGsを学ぶ上ではこのESGという言葉は必ず出てくるため、覚えておきましょう。
SDGsの具体的な事例を紹介
SDGsの具体例として、第2回ジャパンSDGsアワードでSDGsパートナーシップ賞を受賞した株式会社虎屋本舗の取り組みがわかりやすいので紹介します。
虎屋本舗では総業400年程の伝統的な和菓子を製造販売していますが、その郷土文化の継承を目的にSDGsの取り組みを始めました。
どんな取り組みをしたかというと、離島の学校や山間部の障害者支援学級、高齢者施設で菓子教室を実施し、交流を通して郷土文化の継承を行いました。
また、その土地ごとの名産品などを取り入れた和菓子を作ることで新しい市場開拓も同時に行っています。
伝統的な和菓子を継承すること、小学生から高齢者まで幅広い年齢層が参加できること、その土地ごとの名産品を使った新規商品開発をみんなで行っていること、それにより新しいビジネスとなり経済的な側面もあることがSDGsとなっています。
※株式会社虎屋本舗のSDGsの取り組みの詳細はこちら。
CSRの具体的な事例を紹介
CSRの具体例は、僕自身も過去にCSRの活動をしていたので紹介したいと思います。
旅行会社時代にフィリピンのボラカイ島のツアー商品を販売していました。
ボラカイ島は全長8キロ程の小さな島ですが、世界各国からの旅行者が年間200万人も訪れるリゾートアイランドです。
しかし、そんな小さな島は大量の観光客が訪れることでオーバーツーリズムになりました。
海が汚れ色が変わり、砂浜はコンクリートのように硬くなり、所狭しとホテルが乱立し木々が伐採され、街中には下水があふれかえるような状況になりました。
そんな状況を現地で目の当たりにした僕は、会社として「企業の社会的責任=CSR」としてビーチクリーニングを実施することを決めました。
自治体、現地の小学校、観光事業者、観光局に声をかけて、ボラカイ島の4キロあるホワイトビーチのビーチクリーニングを実施し、大量のゴミを拾いました。
このビーチクリーニングでは、小学生に参加してもらうために小学校に備品の寄付を行ったり、ビーチクリーニング用のオリジナルTシャツを制作して参加者全員に配ったり、ビーチクリーニング用のゴミ袋や軍手を準備し、ビーチクリーニング後には参加者にお弁当や水を配ったりといろいろな経費がかかりました。
このようにCSRでは本業で得た利益を使って、寄付やボランティア活動をして社会貢献をしていくというのがポイントになります。
CSVの具体的な事例を紹介
CSVの具体的な例を挙げるとすると、有名なのが飲料メーカーの「キリン」の取り組みです。
キリンの代表的な商品の1つに「氷結」があります。
東日本大震災で被災した福島県の農作物は風評被害もあり、一時期売れなくなりました。
その時、キリンは「復興応援キリン絆プロジェクト」の一環として、福島産の桃や梨を使った「氷結」を発売し始めました。
この取り組みには、風評被害で売れなくなった福島産の農作物という社会的問題に対して、福島産の桃や梨を使った商品を販売するという経済的な側面を持たせることで、社会課題の解決をしながらビジネス展開をしていくCSVとなります。
※キリンのホームページはこちら。
以上となります。
このようにSDGsとCSRとCSVの違いをしっかり覚えておくことで、考え方や行動が変わってきます。
また、ESGまで覚えておくと企業の取り組みが良くわかるようになってきます。
少しずつSDGsについて覚えていきましょう。
それでは、良い一日を!