実務から感じるインバウンドの課題と大きなギャップとは?

インバウンド 課題旅行会社&旅行業界

インバウンドブームが続いてるけど、課題だらけって聞いたことがある。実際どんな課題があるのかな。インバウンドの実務やっている人にどんな課題があるのか聞いてみたいな。。。

この記事は、そんな疑問に答えます。

✔ 本記事の内容

  • 実務から見る3つの課題と大きなギャップ
  • 実務から見る課題①:マーケットコントロール
  • 実務から見る課題②:手配時期vs予約解禁日
  • 実務から見る課題③:料金出し&マークアップ

こんにちは、ツバサです。

外国人観光客の訪日旅行ブーム(インバウンド)が続いていましたが、本当街中で外国人観光客を見るようになりました。

知らぬ間にいろんな日本国内の観光地に足を運んで、日本人が知らないようなところにも外国人観光客は訪れています。

そんなインバウンドに関して、実際は課題だらけです。

国をあげてのインバウンド招致、でも実際の現場には課題が多く、大きなギャップがあります。

この記事では、その課題や大きなギャップを実務目線で解説します。

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実務から見る3つの課題と大きなギャップ

インバウンドに関していろんな課題に直面していますが、多言語化やマナー、異文化への理解などのありふれた課題ではなく、実際に実務を通して感じる3つの課題は次の通りです。

  • マーケットコントロールが全くできていない
  • 手配時期と予約解禁日がアンバランスで大きなギャップが生じている
  • 料金出しやマークアップの仕方がすでに時代遅れ

1つ目は、訪日旅行者数の多い中国マーケットや韓国マーケット依存をしてしまうと、全くマーケットコントロールができておらず、有事の際に全てを失います。どこかのマーケットが落ちても、他のマーケットで補填できるように常日頃コントロールが必要です。

2つ目は、手配時期と予約解禁日のアンバランスさです。実際に訪日外国人が日本のホテルや旅館などを手配する時期日本のホテルや旅館などが予約を解禁する日に大きなギャップが生じています。これだけインバウンド招致を掲げているにもかかわらず、まだまだ対応が遅れています。

3つ目は、これは特にランドオペレーターに当てはまりますが、未だにパッケージ料金として料金出しをしているところは今後受注を落としていくでしょう。そのランドオペレーターにどんな価値があるのか、そこに危機感を持っているランドオペレーターはものすごく少ないです。

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

実務から見る課題①:マーケットコントロール

インバウンド 課題

マーケットコントロールとは何かというと、ここでは次のようなことを言います。

【A社】
中国マーケット:100%

このA社の例では中国マーケットに依存している状態を指します。この場合、万が一、中国マーケットで経済的問題が起こったり、何か有事の出来事があった際に100%からゼロになる可能性があります。

もし中国マーケットがゼロになった場合、このA社は他のマーケットを持っていないため、売上ゼロ、利益ゼロという会社が立ち回らない状態になりかねません。また、中国マーケットがゼロになってから、他のマーケットを取りに行っても、すぐに結果が付いてくるものでもないため、時すでに遅しで会社の体力が持ちません。

このA社はマーケットコントロールができていないということになります。

【B社】
中国マーケット:20%
韓国マーケット:15%
台湾マーケット:15%
タイマーケット:10%
ヨーロッパマーケット:30%
アメリカマーケット:10%

B社の例では、いくつかのマーケットに対してビジネスを持っており、各マーケットに対しての割合をうまく分けています。

この場合、例えば、もし中国マーケットで何か経済的問題が起こり、中国から訪日旅行客が来なくなったとしても、他のマーケットで売上や利益を確保し続けることができます。

受け入れ態勢やセールスマーケティングは大変ですが、マーケットコントロールをすることでリスクを分散させることができ、会社としても健全な経営をすることができます。

新型コロナのように全世界に影響が出るようなケースはマーケットコントロールも活きませんが、マーケットを分散しておくことでマーケットが戻ってきた際にビジネスの回復が早いです。

実務から見る課題②:手配時期vs予約解禁日

インバウンド 課題

手配時期というのは実際に外国人観光客が日本旅行のホテルや旅館を手配する時期のことを言います。

予約解禁日というのは日本のホテルや旅館が予約を受け付ける日のことを言います。

日本のホテルや旅館の予約解禁日は非常に遅い

日本の国内を旅行したことがある人はわかると思いますが、例えば、温泉地の旅館を予約しようと思っても6ヵ月先の予約がまだ取れないとかありませんか?3ヵ月先の予約ですらまだ取れないということもあります。

シティホテルの場合は6ヵ月くらい先まで予約ができることもありますが、例えば、4月の段階で紅葉の季節の10月や11月のホテル予約はできないことがほとんどです。

このように日本のホテルや旅館の予約解禁日は非常に遅いということになります。

おそらく、日本人の国内旅行者である程度の需要を見込めるため、先の予約を取りに行かなくても問題ないという背景があります。

訪日外国人の日本への旅行手配時期は早い

一方で、訪日外国人がいつ日本への旅行を手配しているかというと、次のようなデータがあります。

これはJNTO(日本政府観光局)が発行している「JNTO訪日旅行データハンドブック2019(世界20市場)」から引用した訪日外国人が日本への旅行をいつ手配したかというデータとなります。

国名7ヵ月以上前3~6ヵ月前1~2ヵ月前3~4週間前1~2週間前1週間以内
韓国1.1%15.1%42.0%14.2%16.6%10.9%
中国0.5%11.1%55.0%14.1%12.9%6.4%
台湾2.6%25.8%49.1%10.5%7.5%4.5%
香港6.6%28.6%41.4%11.1%8.1%4.3%
フィリピン8.9%28.8%39.9%6.1%8.4%7.8%
ベトナム1.5%11.1%34.7%10.3%24.0%18.3%
タイ7.8%26.2%38.6%7.6%9.5%10.4%
マレーシア17.4%32.5%33.1%7.1%7.1%2.7%
シンガポール7.3%35.0%41.3%7.2%6.1%3.1%
インドネシア12.0%35.0%33.0%7.2%6.3%6.5%
インド2.0%23.4%44.8%12.5%13.2%4.1%
オーストラリア13.0%49.9%26.6%4.9%2.9%2.7%
カナダ9.8%36.1%33.0%7.0%7.5%6.6%
アメリカ9.0%37.0%32.2%9.4%5.8%6.5%
ロシア8.9%27.9%34.2%10.6%11.3%7.2%
ドイツ17.6%50.2%23.6%4.5%1.8%2.3%
フランス15.5%45.1%26.6%6.3%3.9%2.5%
イギリス21.4%45.0%22.7%5.0%3.7%2.2%
イタリア8.9%51.4%27.4%4.9%4.8%2.6%
スペイン14.5%43.1%24.5%6.1%9.2%2.6%

上記のデータからアジア圏ではマレーシアやインドネシア、オセアニア圏ではオーストラリア、ヨーロッパ圏ではドイツやフランス、イギリス、スペインからの訪日外国人の2割弱は日本への旅行手配を7カ月以上前に行っています。また、3~6ヵ月前に手配している人たちはどの国も2割~5割を占めています。

このように訪日外国人の手配は予想以上に早期予約ということです。

もし日本のホテルや旅館が1年前から予約ができたらと思うと、もっとインバウンド需要は高まっていくでしょう。この大きなギャップを埋めなければ、この課題は解決できないでしょう。

実務から見る課題③:料金出し&マークアップ

インバウンド 課題

3つ目の課題は、料金出しとマークアップに関してです。

「マークアップ」とは?
仕入原価に対して加算する利益や利幅のこと。

ここでは特にFIT(個人旅行)に関しての料金出しやマークアップになりますが、ほとんどのランドオペレーターが次のような料金出しやマークアップをしています。

【問い合わせ内容】
ホテル2名1室を6泊
空港からホテルの往復送迎

【原価】
ホテル2名1室1泊あたり25000円x6泊=150000円
往復送迎:15000円
原価合計:165000円

~A社の見積もり~
見積もり代金:200000円(マークアップ35000円)

~B社の見積もり~
ホテル代金:180000円(マークアップ30000円)
送迎代金:20000円(マークアップ5000円)
合計代金:200000円

今回の例ではマークアップを同じにしましたが、例えばA社の料金出しの場合、パーツごとの料金が不明で、この料金を受け取った相手はいくら利益を乗せられているんだという疑問が生じます。

B社の料金出しの場合、パーツごとの料金はわかりますが、今では簡単にホテル代金や送迎代金は調べて比較することが容易になっていることもあり、高いのか安いのかがすぐにわかります。また、それぞれのパーツに利益を乗せすぎると比較検討された際に失注します。

ハンドリングフィーがキーポイント

そのため、エクスペディアやブッキングドットコムなどのOTAの勢いが未だに続いていることと、顧客が簡単に比較検討できる時代になっていることを踏まえると、次のように料金出しをしていくべきです。

ホテル代金:25000円x6泊=150000円
送迎代金:15000円
ハンドリングフィー:35000円
合計代金:200000円

仕入原価に対してMSP(最低販売価格)が設定されている場合は、その値段まで上げないといけませんが、基本的にはハンドリングフィーで利益確保をしていくことが理想です。

例えば、新型コロナの影響で軒並み旅行キャンセルとなっています。もし、A社やB社のような料金出しの場合は全額返金となります。実際、全額返金になっているケースばかりです。

しかし、ハンドリングフィーの設定をしておくと、ハンドリングフィーのみを返金不可にしておき、ホテル代金や送迎代金のみを返金すれば一定の利益確保はできます。

実際にこの方法で有事の際にでも利益確保をしているランドオペレーターは存在しています。

単純になぜこの方法ができないのかというと、ランドオペレーターのサービスに価値がないためです。

古き悪き慣習でほとんどのランドオペレーターは、ホテルや旅館から契約料金を仕入れ、マークアップしたものを海外の旅行会社へ配布するといったやり方を行っています。これには何のサービスの価値もありませんし、ランドオペレーターが売りやすい旅行素材のみを取り扱っていることもよくあります。つまり、本当に顧客のことを考えていない商品ラインナップになっているということです。また、それ以上のことや差別化したサービスを行っていません。そのため、価値が生まれないのです。

こういったやり方をしているランドオペレーターは今後なくなっていくでしょう。

以上となります。

インバウンドの実務を行っていると様々な課題が見えてきます。これだけインバウンドブームが騒がれている中でも実際の現場は乖離しているという現状です。

一つずつ変えていかないといけません。

それでは、良い一日を!