旅行会社のツアー企画はどんな仕事なんだろう。。。企画って難しそうだけど、何か知っておくべきことはあるのかな。。。志望動機を書く前に実際に旅行会社で企画に携わっていた人の話が聞いてみたいな。。。
この記事は、そんな疑問に答えます。
✔ 本記事の内容
- 旅行会社の企画とは?
- 旅行会社の企画の一日の業務
- 旅行会社の企画担当者が持つべき考え方
- 旅行会社の企画部署への志望動機のポイント
こんにちは、ツバサです。
僕自身、旅行会社のツアー企画に新入社員の時から携わっていました。最初の頃は航空券やホテルの料金を単純に足し算をしてツアーを造成していましたが、経験を積むにつれて新しいリゾートや新しいデスティネーションを開拓し、日本マーケットで初めて商品化した時の喜びは今でも忘れられません。チャーター便の企画をした際は実際に現地でもお客様の斡旋を行い、チャーター便が帰国の途に飛び立った時には感無量になりました。
この記事では、旅行会社の企画担当者はどういったところにポイントを置いているのか、どういった考えや視点を持っているのか、どういった行動を普段から取っていかなければならないのかを自分の経験を踏まえてご紹介します。
旅行会社の企画部署への志望動機を書く際のヒントになると思いますので、是非記事を読んでみてください。
旅行会社の企画とは?
旅行会社の仕事の中でも人気の職種といえば「企画」です。
カウンターセールスなどのツアーの販売とは違って、ツアーの企画部署はどちらかと言えば裏方のようなイメージです。しかし、旅行商品を作る企画担当者は航空券やホテル、レストラン、送迎などの旅行素材の仕入れも兼任していることが多く、旅行会社にとっては非常に重要な部署でもあります。
ツアーの企画内容により、その旅行会社の売上や利益にも影響します。また、もしツアー企画の内容が他の旅行会社と同じで差別化ができていなければ、料金競争に巻き込まれ、消耗戦となってしまいます。旅行会社にとってはツアーの企画が一番重要と言っても過言ではありません。
- 旅行会社の企画部署は商品造成以外に仕入れを兼任することが多い
- 旅行会社の商品企画は売上や利益に大きく影響する
- 旅行会社の商品の差別化ができていなければ料金競争に巻き込まれる
- 旅行会社にとって企画部署はとても大事な部署
旅行会社の企画担当の業務
旅行会社のツアー企画担当者は単純にツアーを作るだけではありません。「ツアー」を作るための業務には様々な業務があります。
- 他社のツアー販売状況の確認(価格、航空会社、ホテル、観光内容など)
- メタサーチエンジン(トラベルコなど)の販売状況の確認
- 航空仕入れ(航空会社との料金交渉など)
- ホテル仕入れ(ホテルとの料金交渉など)
- 観光地の調査(観光コースや距離感、移動手段など)
- 観光省との商談
- ウェブサイトの特集データの作成
- ブローシャー(紙パンフレット)の作成
- 販売店舗への勉強会
他社のツアー販売状況の確認(価格、航空会社、ホテル、観光内容など)
ツアーを作る前には他社のツアーの「調査」が必要です。どのようなツアー内容になっているのか、ツアーで使っている航空会社やホテルな何なのか、ツアーの価格帯はいくらくらいなのか、他の旅行会社が販売に使っている媒体はどんなものがあるのかなど、まずは市場分析をしなければなりません。
メタサーチエンジン(トラベルコなど)の販売状況の確認
旅行会社は自社ホームページやパンフレットでツアーを販売していますが、それだけではありません。広告費を使って「ポータルサイト」や「メタサーチエンジン」にもツアーを掲載し販売しています。
- トラベルコ
- エービーロード
- ヤフートラベル
- LINEトラベルjp
- トラベルズー
こういった外部サイトの旅行掲載状況を確認し、他社がどのようなツアーを掲載しているのか、どのようなツアー価格で掲載しているのかをチェックします。
旅行会社によっては、自社ホームページの商品とポータルサイトに掲載している商品の内容やツアー代金を変えたりしています。
航空仕入れ(航空会社との料金交渉など)
ツアー企画担当者は航空券の仕入れも行うことが多いです。
航空会社の旅客営業部のセールスと料金の交渉をしたり、プロモーションの打ち合わせをしたりします。
ツアー企画担当者は、航空会社指定商品の紙パンフレットやWEBでの特集ページを作成する際に航空会社に制作費のサポートを交渉したりもします。
ホテル仕入れ(ホテルとの料金交渉など)
ツアー企画担当者は航空券の仕入れ以外にもホテルの仕入れも行います。
海外からホテルのセールスが来日し、旅行会社を訪れ、商談をします。それを「セールスコール」と呼びます。ツアー企画担当者は英語を使って外国人を相手にも仕事をしなければなりません。
海外のホテルのセールスと販売プロモーションの交渉をしたり、部屋の在庫の交渉をしたりします。
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観光地の調査(観光コースや距離感、移動手段など)
ツアー企画担当者は日本にずっといては仕事になりません。ツアーの企画というものは実際に見て、聞いて、感じた上でツアーを具現化していきます。そのため、海外出張にも出ます。
ツアー企画担当が一番避けなければならないのが「机上の空論」です。
海外出張を通して、実際に現地のホテルや観光地、移動の距離感、安全性などを視察します。
観光省との商談
ツアー企画担当者は担当デスティネーションの観光省との商談にもチャレンジします。
例えば、その国の販売プロモーションをしたい時に観光省にWEBの特集ページの制作費用のサポートを打診したり、現地の街歩きマップを作る際の印刷費用のサポートを打診したりします。
観光省との商談の際は、英語のプレゼンテーションの資料を作成し、どれくらいの数の観光客の送客見込みを持てるかなどをアピールしなければなりません。
ウェブサイトの特集データの作成
旅行会社のホームページを見てみると、「〇〇特集」や「〇〇ホテルがおすすめ」などの特集ページがいくつもあります。
そういった特集ページに関しては、ツアー企画担当者が元のデータを作ることが多いです。特に担当デスティネーションごとで特集ページを作っている場合、その国でどのような特集を行いたいかはツアー企画担当者が決めます。
例えば、バリ担当であれば「ハネムーンにお勧めのヴィラ特集」、フィリピン担当であれば「オンザビーチ確約のリゾートステイ特集」など。
それらの元データを作るのはツアー企画担当者となります。
ブローシャー(紙パンフレット)の作成
ツアー企画担当者の業務で一番イメージしやすい業務が紙パンフレットの制作です。
旅行業界は一時期インターネットへのシフトを加速させ紙媒体を減らした時期がありましたが、引き続き手に取る販促ツールも必要ということで今もなお紙媒体の制作を続けています。ビーチデスティネーションのパンフレットでは150ページや200ページもあるパンフレットがあります。
また、インターネットが主流なことに変わりはないため、あえて紙パンフレットを制作しても料金の掲載をしないパンフレットや料金表を別冊にしている旅行会社も多くなってきました。これは料金変動が激しくなっているためです。
パンフレットの制作では印刷物ということもあり、文言等を間違えることができません。印刷前の最終稿の入稿のタイミングではツアー企画担当者はとても忙しくなります。
販売店舗への勉強会
今、旅行会社が一番必要としていることは販売店のスタッフの知識向上です。以前に比べ、海外旅行に関しては取り扱い地域や取扱ホテルが非常に多くなりました。
旅行会社の販売スタッフが旅行したことがない国や都市のツアーを販売していることはよくあることです。また、インターネットの普及により顧客の知識も増えました。旅行会社がそれ以上の知識があるかどうかが課題となっています。
ツアー企画担当者は担当デスティネーションのスペシャリストとして、販売店のスタッフのトレーニングを行わらなければなりません。
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旅行会社の企画担当者が持つべき考え方
旅行会社のツアー企画担当者は、ツアー造成を単純な足し算だけの業務にしてはなりません。そのためにツアー企画担当がいつも持っておくべき考え方は次の通りです。
- 担当デスティネーションを好きになる
- 自社の強みが何かを理解する
- 自社の顧客層を理解する
- トレンドを作る
- プロダクトアウトになり過ぎない
- 差別化を理解する
- 旅行企画は百聞は一見に如かず
担当デスティネーションを好きになる
ツアー企画担当者は担当デスティネーションを持っています。一人一ヵ国の場合もあれば、一人で複数の国を担当している場合もあります。
まずツアー企画担当者がやるべきことは、担当デスティネーションを「好き」になることです。
それなくして企画はできません。そして、嫌いな国の商品を企画しようとしても良いものは生まれません。
僕が、私が、その国について一番好きで、社内で一番詳しいんだというプライドを持ちましょう。
自社の強みが何かを理解する
旅行会社によって、「強み」というものは異なります。
- 東南アジアに強い旅行会社
- ヨーロッパの周遊旅行に強い旅行会社
- ビーチリゾートに強い旅行会社
- ハネムーナーに強い旅行会社
- ダイビングに強い旅行会社
- 世界遺産に強い旅行会社
- 団体旅行に強い旅行会社
- 業務渡航に強い旅行会社
強みというのは仕入れにも影響しており、例えば、ビーチリゾートに強い旅行会社がシティーホテルの仕入れをしても良いレートを得ることは難しいです。また、強みによって獲得する顧客層も異なってきます。
そして、強みに合ったツアー企画が大切です。例えば、ダイビングをメインでツアー販売している旅行会社がいきなり世界遺産観光のツアーを作っても売れません。
まずは自社の強みが何なのかをきちんと把握することが大事です。
自社の顧客層を理解する
自社の顧客層を理解することはとても重要です。
例えば、顧客層が50代や60代のシニア層をメインとしているにも関わらず、「フォトジェニックツアー」を前面に押し出しても理解されません。顧客層が学生や20代の若者層をターゲットにしているにも関わらず、「添乗員付きの周遊ツアー」の商品しかなければ、多少の反応はあるかもしれませんが、爆発力はないでしょう。
そのため、顧客層を理解し、顧客層に合った商品内容が必要です。
トレンドを作る
「トレンド」という言葉はツアー企画にとって、とても大事にポイントです。
海外旅行の場合であれば、ツアー企画担当者はいかにして海外の「トレンド」を日本マーケットに組み込むかが大切です。
東南アジアのツアーを販売していた時、「ヨーロッパの人はすでにあの島に旅行に来ている」とよく耳にしました。つまり、ヨーロッパ人は日本人の知らないところ、日本人が旅行にまだ来ていないところにすでに足を運んでおり、たくさんの人が旅行をしているということです。
これは島や都市などのデスティネーション以外にもホテルやレストランにも当てはまります。
ツアー企画担当者は、このような旅行素材を見つけ出し、日本で「トレンド」を作らなければなりません。
プロダクトアウトになり過ぎない
ツアー企画担当者は、基本的にはツアー企画は料金計算をすれば旅行ができてしまいます。そこで一番陥りがちなことが、自分だけが良いと思ったものをツアー商品にし続けてしまうことです。
主観が入り過ぎた商品は「売れません」。
旅行を企画する時に一番大事なことは「顧客目線になる」ということです。自分が実際に旅行者としてこのホテルに泊まったらどこが不便だろうか、この移動時間は大変ではないだろうか、ここで休憩を入れた方がいいだろうか、このレストランの食事は大丈夫だろうか、など必ず顧客目線で商品造成をしていくことが大事です。
差別化を理解する
旅行の企画をする際に「差別化」をきちんと理解しなければなりません。
例えば、レストランでパンケーキを食べるツアーを作ったとします。A社はマンゴーパンケーキをツアーに付けています。B社はストロベリーパンケーキをツアーに付けています。
一見すると違ったメニューを使っているため、差別化に見えないこともないですが、実際は差別化ではありません。
旅行企画における差別化というのは、上記の例でいうと、例えば「メニューに掲載されていないハーフサイズの料金を仕入れる」ということです。他社には真似ができないものを企画していくということです。
僕自身が「企画」という目線でとても刺激になった本が「スーパーホテルの仕組み経営」です。海外出張から一時帰国する度に羽田空港から近い蒲田でスーパーホテルに泊まっていました。スーパーホテルの社長の山本梁介氏はチェックアウトをなくしたり、客室内の電話をなくしたりと差別化を図っていきました。とても読みやすい本で勉強になった本です。
旅行企画は百聞は一見に如かず
ツアー企画担当者は、「百聞は一見に如かず」の考え方を常に持っておかなければなりません。
基本的には体験をしていないことは売らない、というくらいの気持ちが良いです。
インターネットが普及した現在、インターネットで検索するといろんな情報を得ることができます。旅行に関して言えば、いろんな口コミも調べることができます。
しかし、ツアー企画担当者はそれらの情報を参考程度にして、全てを鵜呑みにしてはいけません。必ず自分で視察して、実際に体験する、宿泊する、食べる、移動するなどをした上で判断する必要があります。
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旅行会社の企画部署への志望動機のポイント
旅行会社の企画部署を目指す時の志望動機に関するポイントは次の通りです。
- 旅行会社の商品を必ず確認する
- 旅行会社のツアーの販売方法を調べる
- 自分の経験を振り返る
志望動機を書く前に必ずその旅行会社について企業研究をしなければなりません。旅行会社の特徴がそれぞれ異なるように、自分の旅行会社に対しての志望動機もそれぞれ異なります。
「旅行会社のことを調べない=志望動機は書けない」
「志望動機はそれぞれの旅行会社に対して異なる」
この2つを必ず理解しなければなりません。
旅行会社のツアー企画に携わりたいと思ったきっかけが人生のどこかのタイミングであったはずです。その経験や体験を思い返してみましょう。
志望動機の書き方は次の記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
以上となります。
旅行会社の「企画」には様々な業務があり、自分自身に芯を持った考え方で取り組んでいかなければなりません。
「旅行は形のない商品」です。それだけにたくさんの想いを組み込んでいかなければなりません。
それでは、良い一日を!