総合旅行業務取扱管理者試験の海外旅行実務で出題される国際航空運賃がとても難しい。過去問をやっても満点取れないよ。詳しい解説ないかな。
この記事は、そんな疑問に答えます。
ツナグ旅では令和2年度の総合旅行業務取扱管理者試験の問題解説を9記事にわたって解説しています。
- 旅行業法及びこれに基づく命令
- 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
- 国内旅行実務(国内観光地理)
- 国内旅行実務(宿泊料金計算、JR運賃計算、国内航空運賃、貸切バス運賃計算)
- 海外旅行実務(国際航空運賃)
- 海外旅行実務(旅券法、出入国法令)
- 海外旅行実務(英語)
- 海外旅行実務(海外観光地理)
- 海外旅行実務(海外実務)
この記事では(5)を解説しています。
こんにちは、ツバサです。
毎年10月に実施される総合旅行業務取扱管理者の国家試験で、僕自身が一番プレッシャーを感じていたのは「国際航空運賃」です。
試験勉強中の僕は国際航空運賃の練習問題によく間違っていました。
それは国際航空運賃の計算をする際、航空券ごとに諸条件がたくさんあり、チェックする項目が多かったため、1つ見逃せば全く違う計算になってしまうためです。
そんな国際航空運賃で満点を取るには、試験中に見直しができるように計算をルール化するということです。
この記事では、令和2年度に実施された総合旅行業務取扱管理者試験の海外旅行実務で出題された国際航空運賃の過去問の解説をしていきます。
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総合旅行業務取扱管理者の過去問解説:海外旅行実務編
まずは総合旅行業務取扱管理者試験の海外実務問題の配点を再度確認しましょう。
海外旅行実務:200点満点(合格点は120点以上)
– 国際航空運賃問題:5点x8問=40点
– 出入国法令問題:5点x8問=40点
- 語学問題(英語):5点x8問=40点
- 海外観光地理問題:2点x20問=40点
– 海外旅行実務問題:5点x8問=40点
国際航空運賃の問題は1問5点となっており、全部で8問出題されます。
海外旅行実務の科目の中で初めに国際航空運賃から出題されているため、時間を使い過ぎないようにしなければいけません。
目標は8問で30分以下で全て解く、それがポイントになります。
そして、一通り海外旅行実務の問題を解き終わった後に国際航空運賃に関しては見直しがしやすいようにしておくこともポイントです。
僕は実際こんな感じで問題ごとに旅程を書き起こしていました。
これにより、見直しが短時間でできるようになります。
それでは、過去問を解説していきます。
解説の中では僕が実際に問題を解く手順をもとに説明していきます。
海外旅行実務の問題:国際航空運賃①
運賃計算上の留意点
・各設問について、途中降機料金(S)及び特定便追加運賃(Q)が必要な場合は、計算式に含めること。
・HIPチェックについて、ヨーロッパ内の都市間運賃は、日本とヨーロッパ間の運賃より安価なため運賃表の掲載を省略している。
問1. この旅程において、ATHを運賃計算上の折り返し地点として、往路・復路ともValue S運賃を適用した場合の運賃算出のための計算式はどれか。
※資料はこちらから
往路 + 復路
a:115,000円×1/2 + 115,000円×1/2
b:115,000円×1/2+5,000円+20,000円 + 115,000円×1/2
c:115,000円×1/2+5,000円+20,000円 + 115,000円×1/2+20,000円
d:115,000円×1/2×1.05+5,000円+20,000円 + 115,000円×1/+20,000円
解答:b
往復共にValue S運賃を利用しているため、シンプルな問題。
最初に旅程を書き起こします。これは見直しをする際に時間を短縮するための方法です。
旅程には、
①日本発のフライトの日付け
②日本着のフライトの現地発の日付け
③S/O(途中降機)があるかどうか
④乗り継ぎがあるかどうか
⑤予約クラス
⑥曜日(XあるいはW)
⑦折り返し地点
を書きます。
※S/Oと乗り継ぎの違いは、S/Oは24以上の滞在があるかどうか、乗り継ぎは24時間以内に飛行機を乗り換えているかどうかの違いです。
往復共に同じ予約クラスのため、資料の「途中降機」「運賃計算規定」の条件を確認します。
途中降機:ヨーロッパ内で往路・復路各1回可(1回につき20,000円)
運賃計算規定:マイレージサーチャージ、HIPチェックは適用しない
上記からS/O1回20,000円がかかることと、マイレージやHIPチェックが不要ということがわかります。
次に「適用期間・運賃」の条件を確認します。
ウィークエンド(W)・ウィークデイ(X)運賃の適用:
往路:日本国内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
復路:ヨーロッパ内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
Value S運賃のシーズナリティは、往路出発月曜日の場合、ウィークデイ(X)、復路出発木曜日の場合、ウィークデイ(X)になります。
また、シーズナリティの適用の条件も確認します。
往路:往路の最初の国際線出発日を基準として往路の旅程に適用する
復路:復路の最後の国際線出発日を基準として復路の旅程に適用する
となっているため、日本発のフライトの日付け、日本着のフライトの現地発の日付けが適用されるということになります。
条件の確認ができたら、運賃表を確認します。
折り返し地点がATHになるため、Value S運賃のATHの欄を確認します。
往路ウィークデイ(X):往復運賃115,000円⇒片道115,000円÷2
復路ウィークデイ(X):往復運賃115,000円⇒片道115,000円÷2
往路でS/Oが1回あるため、+20,000円。
最後に特定便追加運賃があるかどうかを確認。
往路または復路でNH215/NH216を利用している場合は、追加代金が必要。
今回、往路でNH215を利用しており、Value S運賃の場合、+5,000円。
まとめると、
往路
115,000円÷2+20,000円+5,000円
復路
115,000円÷2
以上から、選択肢(b)が正解。
問2. この旅程において、ATHを運賃計算上の折り返し地点として、往路・復路ともBasic U運賃を適用した場合の運賃算出のための計算式はどれか。
※資料はこちらから
往路 + 復路
a:391,000円×1/2+5,000円+20,000円 + 330,000円×1/2
b:371,000円×1/2+5,000円+20,000円 + 371,000円×1/2
c:391,000円×1/2×1.05+5,000円+20,000円 + 330,000円×1/2+20,000円
d:371,000円×1/2×1.05+5,000円+20,000円 + 371,000円×1/2+20,000円
解答:a
往復共にValue U運賃を利用しているため、シンプルな問題。
最初に旅程を書き起こします。
往復共に同じ予約クラスのため、資料の「途中降機」「運賃計算規定」の条件を確認します。
途中降機:ヨーロッパ内で往路・復路各1回可(1回につき20,000円)
運賃計算規定:マイレージサーチャージ、HIPチェックは適用しない
上記からS/O1回20,000円がかかることと、マイレージやHIPチェックが不要ということがわかります。
次に「適用期間・運賃」の条件を確認します。
ウィークエンド(W)・ウィークデイ(X)運賃の適用:
往路:日本国内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
復路:ヨーロッパ内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
Value U運賃のシーズナリティは、往路出発月曜日の場合、ウィークエンド(W)、復路出発木曜日の場合、ウィークデイ(X)になります。
また、シーズナリティの適用の条件も確認します。
往路:往路の最初の国際線出発日を基準として往路の旅程に適用する
復路:復路の最後の国際線出発日を基準として復路の旅程に適用する
となっているため、日本発のフライトの日付け、日本着のフライトの現地発の日付けが適用されるということになります。
条件の確認ができたら、運賃表を確認します。
折り返し地点がATHになるため、Value U運賃のATHの欄を確認します。
往路ウィークエンド(W):往復運賃391,000円⇒片道391,000円÷2
復路ウィークデイ(X):往復運賃330,000円⇒片道330,000円÷2
往路でS/Oが1回あるため、+20,000円。
最後に特定便追加運賃があるかどうかを確認。
往路または復路でNH215/NH216を利用している場合は、追加代金が必要。
今回、往路でNH215を利用しており、Value U運賃の場合、+5,000円。
まとめると、
往路
391,000円÷2+20,000円+5,000円
復路
330,000円÷2
以上から、選択肢(a)が正解。
問3. この旅程において、PARを運賃計算上の折り返し地点として、往路・復路ともBasic U運賃を適用した場合の運賃算出のための計算式はどれか。
※資料はこちらから
往路 + 復路
a:386,000円×1/2+5,000円 + 325,000円×1/2+20,000円
b:386,000円×1/2+5,000円 + 330,000円×1/2+20,000円
c:366,000円×1/2+5,000円 + 366,000円×1/2+20,000円
d:366,000円×1/2+5,000円 + 366,000円×1/2×1.05+20,000円
解答:a
往復共にValue U運賃を利用しているため、シンプルな問題。
最初に旅程を書き起こします。1問目や2問目と違い、折り返し地点がPARになっています。
往復共に同じ予約クラスのため、資料の「途中降機」「運賃計算規定」の条件を確認します。
途中降機:ヨーロッパ内で往路・復路各1回可(1回につき20,000円)
運賃計算規定:マイレージサーチャージ、HIPチェックは適用しない
上記からS/O1回20,000円がかかることと、マイレージやHIPチェックが不要ということがわかります。
次に「適用期間・運賃」の条件を確認します。
ウィークエンド(W)・ウィークデイ(X)運賃の適用:
往路:日本国内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
復路:ヨーロッパ内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
Value U運賃のシーズナリティは、往路出発月曜日の場合、ウィークエンド(W)、復路出発木曜日の場合、ウィークデイ(X)になります。
また、シーズナリティの適用の条件も確認します。
往路:往路の最初の国際線出発日を基準として往路の旅程に適用する
復路:復路の最後の国際線出発日を基準として復路の旅程に適用する
となっているため、日本発のフライトの日付け、日本着のフライトの現地発の日付けが適用されるということになります。
条件の確認ができたら、運賃表を確認します。
折り返し地点がPARになるため、Value U運賃のPARの欄を確認します。
往路ウィークエンド(W):往復運賃386,000円⇒片道386,000円÷2
復路ウィークデイ(X):往復運賃325,000円⇒片道325,000円÷2
復路でS/Oが1回あるため、+20,000円。
最後に特定便追加運賃があるかどうかを確認。
往路または復路でNH215/NH216を利用している場合は、追加代金が必要。
今回、往路でNH215を利用しており、Value U運賃の場合、+5,000円。
まとめると、
往路
386,000円÷2+5,000円
復路
325,000円÷2+20,000円
以上から、選択肢(c)が正解。
問4. この旅程において、PARを運賃計算上の折り返し地点として、往路・復路ともBasic M運賃を適用した場合の運賃算出のための計算式はどれか。
※資料はこちらから
往路 + 復路
a:424,000円×1/2+10,000円 + 424,000円×1/2+20,000円
b:424,000円×1/2+10,000円 + 429,000円×1/2+20,000円
c:464,000円×1/2+10,000円 + 424,000円×1/2×1.05+20,000円
d:464,000円×1/2+10,000円 + 429,000円×1/2×1.05+20,000円
解答:d
往復共にValue M運賃を利用しているため、シンプルな問題。
最初に旅程を書き起こします。
往復共に同じ予約クラスのため、資料の「途中降機」「運賃計算規定」の条件を確認します。
途中降機:ヨーロッパ内で往路・復路各1回可(1回につき20,000円)
運賃計算規定:距離計算、HIPチェックを適用する。
上記からS/O1回20,000円がかかることと、今回はマイレージやHIPチェックが必要ということがわかります。
次に「適用期間・運賃」の条件を確認します。
ウィークエンド(W)・ウィークデイ(X)運賃の適用:
往路:日本国内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
復路:ヨーロッパ内の最終地点を出発する曜日を基準とし、1/2往復運賃を適用する。
Value M運賃のシーズナリティの条件は、往路の最初の国際線出発日を基準として全旅程に適用するとなっているため、往路出発月曜日の場合、ウィークエンド(W)、復路も月曜日が基準となるため、ウィークデイ(X)となります。
続いて、マイレージやHIPチェックを行います。
【マイレージチェック】
往路は羽田からパリ、TPM(実際の搭乗マイル)は6194マイルとなり、MPM(最大許容マイル)の7432マイルを超えていないため、追加代金は不要。
復路はパリからアテネ、ウィーン、羽田、TPMは1306+796+5699=7801マイルとなり、MPM7432マイルを超えているため、追加代金の計算が必要。7801÷7432=1.049となり、資料2より1~1.05の5%アップとなります。
【HIPチェック】
折り返し地点はパリになるが、復路に関してはアテネでS/Oが入っているため、パリ行きとアテネ行きの航空券を比較して高い方が適用となる。この際、ウィーンは24時間以内の乗り継ぎのため、HIPチェックには含まない。パリのウィークデイ運賃は424,000円、アテネのウィークデイの運賃は429,000円となり、高い方の429,000円が復路の基準額となります。
条件の確認ができたら、運賃表を確認します。
Value M運賃のPARの欄を確認します。
往路ウィークエンド(W):往復運賃464,000円⇒片道464,000円÷2
復路ウィークデイ(X):往復運賃429,000円⇒片道429,000円÷2
復路でS/Oが1回あるため、+20,000円。また、基準額に対して5%の追加代金が必要となる。
最後に特定便追加運賃があるかどうかを確認。
往路または復路でNH215/NH216を利用している場合は、追加代金が必要。
今回、往路でNH215を利用しており、Value M運賃の場合、+10,000円。
まとめると、
往路
464,000円÷2+10,000円
復路
429,000円÷2x1.05+20,000円
以上から、選択肢(d)が正解。
海外旅行実務の問題:国際航空運賃②
運賃計算上の留意点
・各設問について、途中降機料金(S)及び特定便追加運賃(Q)が必要な場合は、計算式に含めること。
問5. 以下の条件(1.〜 4.)において、往路にSaver L運賃、復路にSaver K運賃を適用した場合、eチケットの運賃計算情報(Fare Calculation)欄に表示されるものは次のうちどれか。
※資料はこちらから
a:17OCT20 TYO JL SIN430.00JL TYO430.00NUC860.00END ROE100.000000
b:17OCT20 TYO JL SIN430.00JL TYO760.00NUC1190.00END ROE100.000000
c:17OCT20 TYO JL SIN Q65.00 430.00JL TYO760.00NUC1255.00END ROE100.000000
d:17OCT20 TYO JL SIN Q65.00 430.00JL TYO Q65.00 760.00NUC1320.00END ROE
100.000000
解答:c
選択肢がeチケットの券面に印字されている文章で出題されており、このような選択肢の問題が長らく出題されていなかったため、初見になって混乱した人が多かったのではと思われます。
それでも慌てず、いつも通りに解きましょう。
往路Saver L運賃、復路Saver K運賃を利用しているため、往復それぞれで確認作業が必要となります。
最初に旅程を書き起こします。
往復で予約クラスが異なるため、資料の「結合可能運賃」の条件をそれぞれ確認します。
「発券、必要旅行日数、最長旅行期間、取り消し・払い戻しについては、結合されるより厳しい運賃規則が全旅程に適用される。ただし、適用期間、途中降機、乗り換え、経路規定、運賃計算規定、予約変更、経路変更については、フェアコンポーネント(運賃計算区間)ごとの規則が適用される。」と記載があるため、「運賃計算規定」などは往路、復路でそれぞれ適用するという意味になります。
「運賃計算規定」では、指定経路型運賃であり、距離計算、HIPチェックは適用しないと記載があるため、マイレージチェックやHIPチェックは不要となります。
次に「適用期間・運賃」の条件を確認します。
往路:日本国内の最終地点を出発する曜日を基準とし1/2往復運賃を適用する。
復路:最終国際線区間を出発する曜日を基準とし1/2往復運賃を適用する。
運賃表を確認するとSaver Lの運賃もSaver Kの運賃もウィークデイ、ウィークエンド共になく、通年同料金となっています。
往路:往復運賃86,000円⇒片道86,000円÷2
復路:往復運賃152,000円⇒片道152,000円÷2
最後に特定便追加運賃があるかどうかを確認。
Saver L運賃の往路または復路でJL035/JL036、JL037/JL038を利用している場合は、追加代金が必要。
今回、往路がSaver L運賃でJL037を利用しているため、+6,500円。
まとめると、
往路
86,000円÷2+6,500円
復路
152,000円÷2
今回の選択肢がeチケットの券面に記載される暗号みたいなものとなり、暗号みたいなものがわからないとおもうかもしれませんが、手掛かりを探しましょう。
①換算レート
1 NUC=JPY 100とあるため、おそらく選択肢内の数字は「x100」になると予想する。
②航空券の合計代金
次に航空券の合計代金を計算してみましょう。往路43,000円+6,500円、復路76,000となり、合計125,500円。
③換算レートで割ってみる
1 NUC=JPY 100というのがわかっているため、航空券代金を割ってみる。往路430+65、復路760、合計1255。
ここまで予想できたら、選択肢(c)ということがわかります。
17OCT20 TYO JL SIN Q65.00 430.00JL TYO760.00 NUC1255.00END ROE100.000000
※NUCの略はNeutral unit of constructionで、国際線の航空運賃を計算する際に使用する世界共通の運賃計算単位となります。
問6. 以下の条件(1.〜 5.)において、全旅程に適用できる最も安価な運賃算出のための計算式はどれか。
※資料はこちらから
往路 + 復路
a:93,000円×1/2 + 231,000円×1/2+10,000円
b:93,000円×1/2 + 234,000円×1/2+10,000円
c:93,000円×1/2 + 231,000円×1/2+6,500円+10,000円
d:93,000円×1/2 + 234,000円×1/2+6,500円+10,000円
解答:a
国際航空運賃で一番間違えやすい問題が、予約クラスを自分で調べる問題です。
折り返し地点や航空券の予約完了日や発券日、予約の変更などの条件が記載されているため、それらの条件から予約クラスを割り当て運賃を計算しなければなりません。
最初にできる限り旅程を書き起こします。
航空券の予約完了日・発券日は6月17日となっており、往路の出発日が10月17日で4カ月前に行っています。Standard B運賃の予約発券条件は予約完了後7日以内となり、条件に当てはまっています。Saver K運賃とL運賃の予約発券条件は往路の搭乗日5日前までに予約、発券は往路の29日前までに予約が行われたものは予約完了後7日以内となり、こちらの条件にも当てはまっています。
必要旅行日数や最長旅行期間もどの運賃でも条件が同じとなっています。
予約の変更に関して、KUL到着後にSIN−TYO間を2020年10月25日(日)から2020年10月26日(月)のJL038便の同一クラスへ予約の変更が可能なものとするとなっているため、予約変更の条件を確認するとStandard B運賃のみ「1回につき変更料金10,000円で可。ただし、すでに予約が入っている便の出発時刻までに変更手続きを行うこと。変更の結果生じる差額調整は行うこと。」となっているため、復路はStandard B運賃になることがわかりました。
これにより、往路はどの予約クラスの運賃でも条件が当てはまるため、一番安価なSaver L運賃、復路はStandard B運賃を利用が可能となります。
「結合可能運賃」の条件を確認しても、東南アジア行1/2 JL運賃(含む1/2 B/K/L運賃)と記載があるため、Saver L運賃とStandard B運賃を一緒に利用できることがわかります。
続いて「運賃計算規定」の条件を確認します。
指定経路型運賃であり、距離計算、HIPチェックは適用しないと記載があるため、マイレージチェックやHIPチェックは不要となります。また、「発券、必要旅行日数、最長旅行期間、取り消し・払い戻しについては、結合されるより厳しい運賃規則が全旅程に適用される。ただし、適用期間、途中降機、乗り換え、経路規定、運賃計算規定、予約変更、経路変更については、フェアコ
ンポーネント(運賃計算区間)ごとの規則が適用される。」と記載があるため、往路、復路ごとで途中降機などの追加費用を計算します。
運賃計算の前に「適用期間・運賃」の条件を確認します。
ウィークエンド(W)・ウィークデイ(X)運賃の適用:
往路:日本国内の最終地点を出発する曜日を基準とし1/2往復運
賃を適用する。
復路:最終国際線区間を出発する曜日を基準とし1/2往復運賃を
適用する。
往路のSaver L運賃は年間通して同額、復路はStandard B運賃を利用しており、日曜日の場合はウィークデイ(X)となります。
条件の確認ができたら、運賃表を確認します。
Saver L運賃のKULの欄を確認します。
往路:往復運賃93,000円⇒片道93,000円÷2
復路ウィークデイ(X):往復運賃231,000円⇒片道231,000円÷2
復路でS/Oが1回あるため、Standard B運賃の「途中降機」の欄を確認し、クアラルンプール行:シンガポールで往路・復路各1回可(1回につき10,000円)となっているため、+10,000円。
最後に特定便追加運賃があるかどうかを確認。
Saver L運賃の往路または復路でJL035/JL036、JL037/JL038を利用している場合は、追加代金が必要ですが、往路のSaver L運賃ではJL723利用のため、今回は追加代金不要になります。
まとめると、
往路
93,000円÷2
復路
231,000円÷2+10,000円
以上から、選択肢(a)が正解。
問7. 以下の条件(1.〜 3.)において、往路・復路ともSaver L運賃を適用した場合の運賃算出のための計算式はどれか。
※資料はこちらから
往路 + 復路
a:93,000円×1/2 + 86,000円×1/2+6,500円
b:103,000円×1/2 + 96,000円×1/2+6,500円
c:93,000円×1/2 + 93,000円×1/2+6,500円+10,000円
d:103,000円×1/2 + 103,000円×1/2+6,500円+10,000円
解答:b
この問題は国内線とオープンジョー(OJ)が含まれた旅程です。
旅程がややこしく見えますが、落ち着いて普段通り運賃計算をしましょう。
往復共にSaver L運賃を利用しているため、実はシンプルな問題。
最初に旅程を書き起こします。
往復共に同じ予約クラスのため、資料の「運賃計算規定」の条件を確認します。
「指定経路型運賃であり、距離計算、HIPチェックは適用しない」と記載があるため、マイレージチェックやHIPチェックは不要となります。
条件の確認ができたら、運賃表を確認します。
往路はSaver L運賃のKULの欄を確認します。
往路:往復運賃93,000円⇒片道93,000円÷2
復路はSaver L運賃のSINの欄を確認します。
復路:往復運賃86,000円⇒片道86,000円÷2
特定便追加運賃があるかどうかを確認。
Saver L運賃の往路または復路でJL035/JL036、JL037/JL038を利用している場合は、追加代金が必要。
今回、復路がSaver L運賃でJL036を利用しているため、+6,500円。
最後に国内線の追加代金を確認。
往路で札幌から羽田、復路で羽田から札幌の旅程となるため、往復10,000円の追加代金が必要となります。
まとめると、
往路
(93,000円+10,000)÷2
復路
(86,000円+10,000)÷2+6,500円
以上から、選択肢(b)が正解。
問8. 上記問7.の運賃を適用した航空券に関する次の記述のうち、正しいものをすべて選びなさい。
a:この航空券を 2020年6月17日(水)に発券後、日本航空が2020年9月1日(火)に日本政府の認可を受け、2020年9月15日(火)出発分から当該旅行の航空運賃の改定をした場合においても、航空運賃の差額調整は行われない。
b:この航空券を2020年10月10日(土)に予約完了した場合、2020年10月12日(月)までに発券しなければならない。
c:この航空券に適用する運賃で最も長い旅行日数の旅程を手配する場合、SIN−HND間JL036便の旅行開始日は 2021年10月17日(日)、HND−CTS間JL505便の旅行開始日は2021年10月18日(月)となる。
解答:a、b
選択肢(a)は、資料2の「適用運賃」の条件を確認し、「運賃は、航空券の第一区間の旅行開始日に適用される、航空券発券日に有効な運賃を使用する。発券日から旅行開始日までの間に運賃の変更があった場合でも、発券日に有効な運賃が適用される。」と記載があることから、発券後に航空運賃の改定があった場合でも差額調整は行わないため、正しい。
選択肢(b)は、「予約・発券」の条件を確認し、「②予約は最初の国際線搭乗日の5日前までに行う。③発券はJLプレートを使用し、以下の期限までに行う。予約が最初の国際線搭乗日の29日以前:予約完了後7日以内、予約が最初の国際線搭乗日の28日〜5日前:予約完了後3日以内、ただし、最初の国際線搭乗日の5日前まで」と記載があることから、往路国際線の出発日が10月17日(10月16日ではない)で予約が往路国際線出発日の7日前の10月10日にした場合、発券は最初の国際線搭乗日の5日前までとなることから、10月12日までに発券を行わなければならないので、正しい。
選択肢(c)は、最長旅行期間の数え方がポイントになります。最長旅行日数の数え方は旅行開始日から数えるため、札幌発の10月16日から数えます。そのため、「12ヵ月・開始」の条件の場合、JL036便の日付けは翌年の10月16日でなければなりません。そのため、選択肢(c)は誤り。
以上となります。
国際航空運賃の計算はとても複雑で確認事項が非常に多いです。
1問5点もあり、8問で40点もありますが、試験当日はミスなく満点取れるように準備しましょう。
国際航空運賃の8問を30分で解くことを目標にして取り組みましょう!
それでは、良い一日を!